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言論・表現の自由を守る会、個人通報制度即時批准求め外務省要請

2016年05月21日 | 人権
 言論・表現を守る会は19日、日本政府外務省に個人通報制度を即時批准するよう要請しました。
安倍晋三 内閣総理大臣
岸田文雄 外務大臣
岩城光英 法務大臣
◎ 自由権規約「個人通報制度」(第1選択議定書)の即時批准と
拷問等禁止条約第22条の即時受諾宣言
および
子どもの権利条約・女性差別撤廃条約・人種差別撤廃条約・
障害者権利条約・社会権規約の個人通報制度批准を求める要請書
2016年5月19日
言論・表現の自由を守る会
 昨年歴史的な公職選挙法改正が行われ来月6月19日、18歳から20歳までの若者に選挙で投票する権利が保障されることとなりました。
 選挙において投票権を行使できる年齢を17歳やそれ以下でもなく19歳以上でもなく18歳以上とした法的根拠は、こどもの権利条約(※)にあります。
 こどもとは「18歳未満のすべての者」であり、よって「成年とは、18歳以上のすべての者をいう」のです。
 ※第1条「この条約の適用上、こどもとは、18歳未満のすべての者をいう。」

 日本国憲法前文冒頭は、「日本国民は、正当に選挙された国会における代表を通じて行動し」とはじまっています。
 これは、法律を決めることができるのは国会議員だけであり、正当な選挙を行うことによって、国民一人ひとりの願いに沿う法律をつくり、その実現のために働く国会議員が存在し活動することによって、国民の望む法律を国会で決めることができるからです。
 国会議員を当選させること、もしくは自らが立候補し当選することによって、その国会議員を通じた代議員制によって、こどももしょうがいしゃも女性も若者もお金のない人も高齢者もすべての市民一人一人が、戦争のない平和な社会、自らが望む社会・経済・文化をつくることに参画していく権利を保障しているのです。
 憲法第15条3項において、「公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する」とすべての成年者の普通選挙権を保障しています。
 日本は今年12月18日、ようやく国際連合加盟60年目を迎えようとしています。

 第2次世界大戦侵略国である日本は、国連創設から10年以上もの間、加盟を承認されず1956年の国連総会でようやく国連加盟を認められたのです。
 日本国憲法第98条第2項において、「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」と厳格に規定しています。
 さらに、憲法第97条で、「この憲法が日本国民に保証する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在および将来の国民に対し、犯すことのできない永久の権利として信託されたものである。」
 と「基本的人権の本質」を規定し、憲法第11条では「基本的人権の享有」について、第13条「個人の尊重・幸福追求権」を保障しています。
 1948年12月10日、第3回国連総会の決議として「世界人権宣言」が、人権尊重におけるすべての人民とすべての国とが達成すべき共通の基準として宣言されました。それは、全ての国の人々が持っている市民的、政治的、経済的、社会的、文化的分野にわたる多くの権利を内容としています。
 他方、国際人権規約「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」(社会権規約)「市民的および政治的権利に関する国際規約」(自由権規約)は世界人権宣言に示された諸権利の大半を承認し、それをより詳細に規定しています。
 日本では1979年、国会で国際人権規約の批准を議決し、6月21日に両規約を批准しています。その国会の衆参両外務委員会で、自由権規約第一選択議定書も早期に批准しようという決議が議論され、全会派一致で決議しています。
 しかし、それから37年間も経た現在、政府は批准の閣議決定すらしていません。

 個人通報制度早期批准を決議した当時も、そして現在も自民党政権です。

 この37年間に日本政府は、女性差別撤廃条約、子どもの権利条約、人種差別撤廃条約等重要な人権条約を批准し、昨年、障害者権利条約も批准しています。
 しかし、個人通報制度を批准していないため、日本の裁判所において人権条約違反を適応した判例が一例もありません。
 また、国会で法律を制定する際に、全て憲法とともに国際人権条約に照らして議論しなければならないにもかかわらず全く考慮されていません。
 それどころか「悪法も法のうち」とばかりに、憲法はもとより国際人権条約に明確に違反している法律の制定を強行し、「改正」の名の下に改悪に次ぐ改悪を強行し、経済のグローバル化に歯止めがかからずエスカレートしています。
 さらに、警察・検察だけではなく裁判所も重大な人権侵害を重ねています。

 憲法とともに人権条約違反の秘密保護法と戦争法を強行採決した上、国会では政権与党が、刑事訴訟法の改悪まで強行しようとしています。
 フクシマ核惨害と東日本大震災の被害者も阪神淡路大震災の被災者も苦難の中に難民状態に置かれたままの上、さらに熊本震災が発生し、余震は1500回になろうとしています。
 69人もの方が亡くなり、大学生が未だ行方不明ですが捜索活動が中断されたままです。住宅被害7万5063戸、畑も道路も地割れや液状化や地盤沈下などの全容が把握されないまま、想像を絶する事態であるにも関わらず、いまだ政府は、社会権規約委員会(2001年第2回日本政府報告書審査・2013年社会権規約第3回日本政府報告書審査に対する最終見解)の勧告を実施する方向に転換していません。
 日本のこの事態は人道問題であり、日本市民のみならず国際社会においても危機的な事態です。
 この事態を打開するためには、37年前からの宿題である自由権規約個人通報制度をはじめ、その後日本政府が批准している人権条約に備わっている個人通報制度を批准することこそ今国会の最優先課題です。
 国連では2006年に機構改革を行い、人権尊重の取り組みを強化し、その流れを加速しています。
 この改革の目玉は、人権理事会の設置と国連の全加盟国が、人権理事国を優先的に、お互いがお互いを審査するという普遍的定期的審査(UPR)です。
 日本はすでに2012年10月、2回目の審査を受け約80か国から勧告を受けています。
 その中で、個人通報制度批准を求めた勧告は第1回(2008年)から各参加国が日本政府に勧告し、第2回目(2012年)の審査では、6か国(下記参照)が日本政府に対し、個人通報制度批准を勧告しています。
○オーストリア:「日本が批准した人権諸条約及び議定書で個人通報制度を設けているものについて、人権侵害に関する個人通報制度を受け入れるための必要な措置をとることを検討すること」
○スロベニヤ:「個人通報制度に関する子どもの権利条約第3選択議定書の早期批准を検討すること」
○ハンガリー:「日本が批准している各人権条約の選択議定書の批准」

○ポルトガル:「社会権規約選択議定書に署名すること」

○ブラジル:「女性差別撤廃条約選択議定書の批准を検討すること」

○韓国:「関連の条約を批准することにより、個人通報を受理し審査する機関の権能を高めること」
 自由権規約委員会は、1993年に行った第3回日本政府報告書審査で個人通報制度批准についてコメントし、1998年第4回日本政府報告書審査、2008年第5回及び2014年第6回日本政府報告書審査における総括所見において毎回、第一選択議定書を批准することを求め勧告しています。
 拷問禁止委員会は日本政府に対し、拷問等禁止条約の個人通報制度を定めている条約第22条を受諾する旨の宣言を行うよう繰り返し求めています。(下記参照)
○2007年 第1回政府報告書審査における最終所見
 パラグラフ27:「委員会は・・条約第22条に規定する宣言を行い、委員会が個人通報を受理し検討する権限を有することを認めることを検討するよう勧告する」
○2013年 第2回政府報告書審査における総括所見
 パラグラフ26:「委員会は、また、締約国に対して、条約第22条に規定された宣言を行うことを検討するよう勧告する」
 日本は立法・行政・司法の三権分立が確立しておらず、未だ法の支配が実現していません。我が国において、法の支配を実現し、三権(立法・行政・司法)分立を確立するためには、個人通報制度を批准することが不可欠です。
 熊本震災によって決定的に証明されているように、日本は地震動乱期に入っています。熊本震災の被災者の救援策の抜本的強化と復興と、更なる災害対策において、自衛隊を軍隊(army)としてではなく災害救助隊として活用することが不可欠です。
 フクシマ核惨害により健康被害を受け、難民状態となっている多くの人々の命と人権を守ることが大変急がれています。
 この課題を実現するためには、日本政府が個人通報制度を批准し、日本において法の支配を実現し、さらにアジアにおいて法の支配を実現することが不可欠です。
 国連が日本政府の協力も得て推進しているのは、国家の安全保障ではなく人間の安全保障であり、防災の主流化です。
 これを実現するためには、人権条約を踏まえた勧告を実施することが不可欠です。

 社会権規約委員会は、第二回日本政府報告書審査において、原発問題と震災弱者および二重ローンの問題について日本政府に対して勧告しています。第3回政府報告書審査では、フクシマと東日本大震災の問題で勧告し、国連人権理事会健康に関する特別報告者アナンド・グローバー氏が日本政府に対して勧告(2013年5月人権理事会)した内容を実施するよう推奨しています。
 ただちに個人通報制度を批准し、これらの勧告の実施に踏み出す時です。

 世界銀行は5月16日、気候変動や人口の増加、大都市の無計画な住宅建設などによって災害が増加することに対し、「世界には十分な備えがない」と警告する報告書を発表しました。温暖化や急激な都市化などによって13億人に洪水の危機を指摘しています。
 アジアに位置し歴史的責任を持つ日本政府は、自国のみにとどまらず、アジアの人々の命と人権を守るためにも、武力による支配ではなく、法の支配を実現することによってアジアの人々と国際社会に貢献することが不可欠です。
 国連人権理事会と人権条約機関での活躍を根幹に据え、連携し、アジアにおいて法の支配を実現するためにリーダーシップをとること、それは実現可能であり、地球規模の課題を解決する唯一の道であると考えます。
 日本の市民が、アジアと国際社会の中で生きていく希望ある道はここにあります。

 自由権規約「個人通報制度」(第一選択議定書)の即時批准と拷問等禁止条約第22条の即時受諾宣言および、子どもの権利条約・女性差別撤廃条約・人種差別撤廃条約・障害者権利条約・社会権規約の個人通報制度批准を直ちに閣議決定し、速やかに批准することを求めます。
以上

『言論・表現の自由があぶない! - Yahoo!ブログ』(2016年5月20日)
http://blogs.yahoo.co.jp/jrfs20040729/28008534.html
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