◆ 米軍基地と核工場 (東京新聞【本音のコラム】)
鎌田 慧(かまたさとし・ルポライター)
福島原発事故から十一年。事故後の悲惨は続いている。それでもいまだ原発は残存している。
それどころか、ロシアから原油が入らなくなると宣伝、戦争を奇貨として再稼働のピッチを上げようとする輩(やから)もいる。
しかし、戦争の危機と原発の危機との一体化を、明確に示したのがロシアのウクライナ侵攻だった。
事故があった三月十一日、経済産業省前と東京電力本社前でふたつの抗議集会があった。その両方に参加。
十三日は八戸市(青森県)での「さようなら原発・核燃集会」(ユーチューブ・ライブ)に出席した。
福井県知事は防衛大臣と面会して原発地帯防衛のための自衛隊配備を陳情した。
が青森県下北半島には沖縄・嘉手納につぐ三沢米空軍基地がありすぐ北側に使用済み核燃料再処理工場がある。
試運転開始から十五年。事故続きで本格生産は疑問視されている。それでもすでに高レベル放射性物質で汚染されている。
米空軍基地とプルトニウム工場とが並んでいる間に、米空軍所属F16の射爆場がある。爆弾投棄の訓練が行われなんどかの墜落事故があった。
「下北核半島」は斉藤光政さんとの共著のタイトルだが、ここは日本で最も危険な地域だ。
三十年以上運動を続けている「あおもりネット」共同代表の浅石紘爾弁護士、大竹進医師、市民運動家の山田清彦さんなどとの集会だった。(ルポライター)
『東京新聞』(2022年3月15日【本音のコラム】)
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