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東京「君が代」第3次訴訟第1回最高裁要請原告要請書(3/3)

2016年04月07日 | 日の丸・君が代関連ニュース
最高裁第三小法廷 裁判官 殿
◎ 要 請 書
2016年4月4日
上告人 S

 1 はじめに
 私は、1985年4月に社会科教諭として入都し、現在、都立K高校定時制に勤務し、教員生活はすでに30年を数えます。うち20年あまりは野球部の指導に没頭し、ここ数年は演劇部の指導に力を入れてきました。
 こうした生活の中、今から13年前の2003年に突然、のちに「10・23通達」と呼ばれる都教委通達が出たことから、卒業式での「国歌」斉唱時に起立斉唱することを職務命令で強制されました。しかし私は、「君が代」のようにその評価自体に論争があるものを、権力をもって一律に受容させるやり方に同調することができず、職務命令に従いませんでした。それ以来、私は君が代不起立を理由に3回の処分を受けました。しかし、全都立学校の校長に「国歌起立斉唱命令」を出すように求める「10・23通達」は未だ失効していないことから、私は今後も新たな処分を受ける恐れがあり、日々圧迫を受けて過ごしています。
 ちなみに私は現在、4年生の担任で卒業学年となるため、「国歌起立斉唱」の踏絵を迫られる時期がまた確実に近づいています。
 しかし、これに加えて私は今回、予期せぬ圧迫と損害に苦しめられることになりました。これは本件訴訟の先行訴訟である東京君が代裁判・一次訴訟、二次訴訟においては発生していなかった事態であり、本件三次訴訟における重要な争点となるべき点であると考えることから、今回はこの点について事情を説明し、本件訴訟において裁判所が適正な判断をされることを要請するものです。
 2 再処分の強行および戒告処分による損害について
 本件三次訴訟においては、昨年1月16日の一審判決で減給処分の取消し判決が出ましたが、その後、都教委はたいへん異常な対応をしてきました。
 都教委は、私を含む21名の控訴を断念した二週間後に、21名のうち在職中の9名のみに対し減給分の給与と遅延損害金の支払いに関する手続き書面を送付してきました。これに対して我々は21名一律の対応を行うように求めましたが、都教委側は、3月の給与支給日に減給分の給与の追給を一方的に行い、遅延損害金を東京法務局に供託してしまいました。
 その後都教委は、定年退職直前の原告1名だけに対して事情聴取を行い、退職前日の3月30日に戒告発令を発令しました。つまり差別的な給与清算は、退職前に再処分を強行するためのものだったのです。
 その後の4月8日には、私にも都庁で事情聴取が行われましたが、廊下に5~6名の職員が警備する厳戒体制の中で奥の部屋に通され、3名の都教委職員によって面接試験のような形で聴取が行われました。
 その内容は、8年前の卒業式に関する事実経過を確認するものでした。8年前に全く同じ内容で事情聴取を受けていた上に人事委員会審理でも裁判でも事実関係に争いがないと確認されたことなのにと、私は呆れました。
 私は「2007年の経過について事情を聴くのであれば、この時の当事者であった校長にも同じように事情聴取を行っているのか?」と尋ねたところ、「それはしていない」との返答でした。
 担任業務で非常に多忙な新年度のスタートの時期にこのような無駄な出張を強いられたことは非常に迷惑で、この日は仕事が終わらす、勤務時間を超えて終電時間を気にしながら残業せざるを得ない状況に追い込まれ、肉体的にも精神的にも大きな損害を受けました。
 そして、4月28日に人事部の職員が来校し、戒告処分が発令されましたが、「都教委は、私たちをここまでして叩くのか…。」と暗澹たる思いがしました。
 その後、6月30日に夏のボーナスが支給され、これに先立って給与明細書と、戒告処分は勤勉手当が100分の20減額される規定があることを示す書類が配られました。そこでこの書類をもとに計算すると、実に74,609円もの減額がなされていることがわかりました。以前の減給処分の際の月給の減額が5万円に満たないものであったのに対して、今回7万円を超える減額がなされたことは、非常にショックでした。戒告処分が実質的に減給処分になっているとなっているということは、裁判所にきちんと理解していただきたいところです。
 3 戒告処分を是認した判決の誤り
 最後に、最高裁が本件一次・二次訴訟において戒告処分は是認したことが、その後の下級審判決でも踏襲されていることによって起こっている問題について述べます。
 一つは、処分を背景にした職務命令体制が依然として継続していることです。私は処分を受けるたびに、何度も「服務事故再発防止研修」を受けさせられましたが、この研修で都教委から繰り返し言われるようになったのが、「通達は合憲・合法であると最高裁が認めた」従って「教員は通達に基づく職務命令に従う義務がある、だから従え」ということでした。最高裁判決は、都教委にこのように利用されているのです。
 最高裁判決には、「戒告処分については違法とまでは言えないが、当不当の問題はある」として、「この紛争の当事者間での話合いによる早期解決が望まれる」という意見もありましたが、判決後の都教委の態度は「減給はダメでも戒告なら適法だ」と言うのですから、通達自体の違憲違法性か、戒告処分の違法性を裁判所が認定しない限り、都教委の方針が変わることはなく、この紛争は際限なく続くと思われます。
 そして二つめは、この紛争に「再処分」という新たな問題が加わったことです。なお私は、これは「二重処分」であると考えます。
 私は2007年に減給処分を受けましたが、このとき被った損害は、減給による経済的損害だけではなく、多くの職員に圧迫を受けながら行われた屈辱的な事情聴取や処分発令、服務事故再発防止研修や課題提出の強制が繰り返されたことなど、物理的精神的負担をたびたび強いられ、その精神的損害は多大なものでした。
 そしてこれらは、処分の取消と給与の是正、遅延損害金の支払いだけで慰謝されることはなく、処分が取り消されたのちも癒されることのない深い傷となって残っています。そこに新たに懲戒処分を加えた行為が、今回の再処分です。
 一度「減給処分」という拳で叩かれた私には、叩かれた痛みがいつまでも残っているのに、「あれはなかったことにする」と言われた直後に「戒告処分」という別の拳で叩かれたのです。裁判で勝利したのに、なぜまた叩かれなければならないのでしょうか?まったくもって理不尽です。
 違法行為を犯した都教委は、この件について反省するどころか、戒告処分を「適法」とした裁判所の判断をこのように悪用しているのです。
 東京「君が代」裁判一次訴訟ならびに二次訴訟最高裁判決には、紛争の解消に向けて当事者の良心に期待するという思いが滲み出ていましたが、一方の当事者である都教委に良心的な対応を期待できない現在、裁判所におかれましては、「『10・23通達』に基づく戒告処分が違法である」と厳格な判断を示していただき、本件紛争の解決が実現することを強く望みます。
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