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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

全国ネット準備会資料から 大阪の闘い(1)

2014年08月26日 | 日の丸・君が代関連ニュース
   =大阪における2014年卒・入学式の状況=
 ◆ 府教委の「ロ元チェック」通知を事実上撤回させる!
   不起立処分の累積加重阻止、山田肇さんの戒告処分取消しをかちとる!

「日の丸・君が代」強制反対!不起立処分を撤回させる大阪ネットワーク

 大阪府教委の「口元チェック」通知など、執拗な「日の丸・君が代」強制の中でとりくまれた2014年卒・入学式をめぐる闘いは、いくつかの大きな成果をあげることができました。具体的には、
 ① 府教委の「口元チェック」通知を事実上撤回させたこと、
 ② 2回目の「君が代」不起立者への累積加重処分を阻止したこと、
 ③ 山田肇さんの戒告処分取消しをかちとったことなどです。
 しかし、学校現場での「日の丸・君が代」強制は、職務命令による執拗な起立強制と式場からの排除策動に見られるようにますます激しくなっており、「思想・良心・信教の自由」が踏みにじられる状況が続いています。
 ◆ 「口元チェック」通知と職務命令による執拗な起立強制
 大阪府教委は、1月14日、教育振興室長通知を出し、府立学校において校長から「式場内にいる教職員全員」に「起立・斉唱」の職務命令を出させました。これは2012年1月17日付教育長通達を根拠とするものです。
 この通知の中で、昨年9月に続き、不起立・不斉唱について「教頭・事務(部)長」に現認を命じました。また、首席等(「等」には事務主査が含まれる)に現認の補助を命じることができるとしました。いわゆる「口元チェック」通知です。
 府立学校の現場では、この職務命令による執拗な起立強制がおこなわれました。校長は卒業式当日まで、卒業生担任などに再三再四「起立・不起立」の意思表明を迫りました。「起立する」と明言しない教職員に対しては「呼名を別のものにやらせる」「式場に入れない」「担任が式に出られない理由を自分がクラスの生徒に説明する」と恫喝するなど、「思想・良心・信教の自由」を全く無視した起立強制をおこなったのです。
 そして、いくつかの学校では「起立しない」可能性がある教職員を式場から一方的に排除しました。そのために、卒業生担任でありながら「式場の体育館入口まで生徒を誘導した後、卒業式終了まで外で待機させられ、式終了後に生徒を迎えに行って、教室でHRをおこなう」という事態まで生じたのです。
 大阪市教委も各校長から職務命令を出させるとともに、不起立した教職員がいても「現認しない」など、徹底して不起立者をゼロにする体制をとりました。
 ◆ 2回目の不起立者への累積加重処分を阻止
 このような厳戒態勢の中でも、不起立を含むさまざまな抵抗のとりくみが展開されました。卒業式については、府立学校で6校6名が不起立を「現認」され、3月27日に処分が出されました。
 うち2名は2回目の不起立でしたが、いずれも戒告処分でした。昨年の処分においては、2回目の不起立者に減給処分が出されていたことと比べると、今回累積加重処分を阻止したことは大きな意義があります。
 処分発令の日には、「日の丸・君が代」強制反対大阪ネットの呼びかけで、府庁別館前において処分抗議、被処分者激励のアクションがおこなわれました。
 また、入学式においても、府立学校において2校2名が不起立を「現認」され、そのうち府立支援学校の1名に対して、5月1日に戒告処分が出されました。処分辞令は従来とは異なり勤務校で手渡され、近日中に2回の研修があると予告されたとのことです。
 もう1名については、事情聴取をめぐる攻防が続けられており、5月23日に府教委が設定した事情聴取に向けて、さらなるとりくみが必要です。
 ◆ 懲戒処分差止め訴訟・仮の差し止め請求のとりくみ
 このように減給処分という累積加重処分を阻止できたのは、昨年減給処分を受けた奥野さん、辻谷さんが既に減給取消裁判を起こしていることに加え、本年2回目の不起立となった梅原さんが、処分に先立って「懲戒処分差止め訴訟・仮の差し止め請求」を提訴したことが大きな力になったことは間違いありません。
 この「懲戒処分差止め訴訟・仮の差止め請求」は、累積加重処分を食い止めるために、あらかじめ「君が代」処分撤回弁護団によって準備されたものです。卒業式での「不起立」の翌日には大阪地裁に提訴し、記者会見もおこなって新聞各紙・テレビなどで報道されました。
 「仮の差止め請求」は、府教委の言い分をそのまま認めて、
 ①府教委が機械的に累積加重処分をするという処分量定基準を持っていないので、梅原さんへの処分が必ず減給以上になるとはいえないこと、
 ②処分の重さを「戒告および減給1ヶ月」と「減給2ヶ月以上、停職、免職」とに分けて、梅原さんへの処分は「戒告および減給1ヶ月」になる可能性が高いから「重大な損害」には当たらないこと
 を理由として棄却されましたが、梅原さんと弁護団はただちに大阪高裁に即時抗告をおこない、結果として減給以上の処分を阻止することができました。
 ◆ 大阪府人事委員会で山田肇さんの戒告処分取消し裁決
 これまでの被処分者のうち11名が大阪府人事委員会、豊中市公平委員会や大阪地裁に処分撤回の訴えをおこしています。この11名はグループZAZAをつくって、さまざまな活動にとりくんできています。
 大阪府人事委員会では今年3月に初めての裁決が出されました。この裁決によって、高槻の山田肇さんの戒告処分が取り消されました
 高槻市教委が、府教委に上げる処分内申について、事前にも事後にも教育委員会議での議決を経ていなかったという「重大な手続きミス」が理由です。
 高槻市教委は、この採決後にあわてて市議会議員全員に釈明の文書を出し、「当時の事務手続きにっいて問題があるという認識はなかった」と自らずさんな処分の実態を認めざるをえませんでした。この通りならば、これまでの高槻市での教職員処分はすべて違法であったという可能性があるということです。
 しかし一方では、この裁決は山田さんの再任用合格取消しについては申立を棄却しました。これはきわめて不当です。
 山田さんは戒告処分を理由として再任用合格を取り消されたのですから、処分自体がなかったことになる以上、再任用されるのが当然だからです。山田さんは裁判の場に闘いを移す意向を表明されています。私たちはこの闘いを引き続き支援していきます。
 ◆ 府教委の「口元チェック」通知を事実上撤回させる
 府教委は、3月25日の教育委員会議で、不起立・不斉唱の現認については「各校の状況に応じて、校長・准校長の裁量と責任において実施することとする」と改め、不斉唱と不起立を別々に記載する報告用紙も一本化されました。
 これは「口元チェック」について事実上撤回したものであり、全国の皆さんから寄せられた8000筆に及ぶ署名の提出、大阪ネットに参加する大阪教育合同労組など組合の交渉、弁護士団体の反対声明など、反対運動が拡がっていった成果に他なりません。
 ◆ 府立A高校の教員・卒業生・保護者が人権侵害救済申立て
 7月1日、大阪府立A高校の教員3名、今年春の卒業生、その保護者の5名が、卒・入学式における府教委および校長の人権侵害行為に対して、大阪弁護士会に人権侵害救済申立をおこないました。一つの学校での事例で、教員、卒業生、保護者が一緒に人権侵害救済申立をおこなうのは全国でも例がなく、マスコミからも注目を浴びました。
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