《月刊救援から》
◆ 無謀なサンゴ移植強行を許さない
菅政権の暴走を止めよう!
地方自治体・住民の意思を全く尊重しない、環境保全に逆行する国・沖縄防衛局の傍若無人さ、ならず者ぶりが横行している。
八月六日の最高裁判決を受けて、県が二八日、大浦湾に生息する約四万群体のサンゴの特別採捕(移植)許可を出した翌日、防衛局は直ちにサンゴ移植作業を開始した。
水温の高い夏場や台風の季節を避けるという県の許可条件を無視し、「『考慮する』とはあるが夏場にやってはいけないとは書いていない」と勝手な屍理屈を持ち出し強行したのだ。
これに対し県は翌三〇日、条件が守られていないとして、採捕許可を撤回した。
先の最高裁判決でさえ、生存率が二〇%と認めているように、サンゴ移植自体が無理な方策だ。
二〇一八年に現在埋立てが進められている辺野古区域から移植された絶滅危惧種のオキナワハマサンゴ九群体は既に五群体が死滅や消滅しており、その事実は防衛局も認めている。
ただでさえ難しいサンゴ移植を、杜撰なやり方で強行するなら許可が撤回されるのは当然のことだ。
しかし国・防衛局は、またもや「私人」に成りすまして、行政不服審査法に基づき、身内の農林水産大臣に審査を求め、同時に撤回効力を凍結する執行停止を求めた。
そして、農水相は、県が意見書を提出した翌日に早くも“シナリオ通り”執行停止を決めたのだ。農水相の執行停止を受け防衛局は直ちに工事を再開、一一日までにサンゴ約八三〇群体を辺野古の浜からニキロの沖合に移植した。
こんな荒っぽいやり方で、生育条件に敏感なサンゴが再生するはずがない。この作業を請け負っているのは東京・北上野に本社のある建設コンサルト会社の㈱エコーだ。
国の不当、違法な事業のお先棒を担ぐ同社への抗議も必要だ。
移植の終わった近辺には新護岸の建設が始まった。埋め立て用土砂の陸揚げに使う予定だ。
こうして繰り返される国・防衛局の強引で違法な手法、環境保全など全く眼中にない軍事基地建設ありきの暴走に激しい怒りがこみ上げる。断じて許してはならない。
◆ 沖縄での新型コロナの爆発的な感染拡大が止まらない。
七月下旬から第五波が襲来し、八月に入り一日の感染確認者数が平均で五〇〇人を超え、二五日には八〇九人という過去最多を更新した。人口が沖縄の約一〇倍ある東京で八○○○人が感染しているという数だ。二三日時点での直近一週間の一〇万人当たりの感染者は三一〇名と全国一だ。
離島である沖縄にコロナが持ち込まれたのは当然島外からだ。それは「本土」でありアメリカ・米軍だ。
昨年四月中旬以降は、一日の感染者がゼロの日もあった沖縄で、七月一一日、普天間基地とキャンプ・ハンセンで七日から一一日までに六一名の感染者が確認されていることが初めて公表された。以降も増え続け、八月二七日には一〇基地で計三六八人となった。
一方で県民の一日の感染者は七月二二日までは二名前後だったが、二三日に五名、二四日に一〇名と徐々に増え始め、八月七日に一〇〇名となった。GoToキャンペーンで「本土」から多くの観光客が訪れたことも無関係ではないだろう。
米軍での感染状況も再三の県からの聞い合わせに対して十分な情報が寄せられていない。脆弱な沖縄の医療現場は崩壊の状態にあると言われている。
しかし菅政権は、どこまでも無策、無能であり、有効な対策を講じる考えすらない。
こうした「緊急事態」の中で、辺野古の埋め立て工事だけは着々を進められている。
工事関係者からの感染者も後を絶たない。反対する住民に接触する機会のある警備会社の職員はマスクをせず、効果に疑問のあるフェイスシールドを装着しているだけだ。これは異常な光景ではないだろうか?
埋め立て土砂の積み出し港である本部・塩川港では昨年は許可されなかった搬出用のベルトコンベアー設置が、「濁水対策が改善された」として四月から許可され、土砂搬出が加速化している。しかし、港をほぼ独占的に使用し、ダンプが騒音、振動、粉塵をまき散らす状況に住民から厳しい批判が起こっており、県の厳格な判断が求められている。
◆ 具志堅隆松さんが、戦没者追悼式が行われる東京・武道館周辺でハンガーストライキ
その埋め立てに沖縄戦の犠牲者の遺骨混じりの土砂を使うなと、これまで二度のハンストを行うなど、この問題を取り組んできた沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表の具志堅隆松さんが、八月一四、一五日、戦没者追悼式が行われる東京・武道館周辺でハンガーストライキを敢行した。
一旦は、コロナ感染の拡大を考慮して中止も検討したが、「一人でも多くの戦没者遺族に訴えたい」「マスコミに広く報道してもらいたい」というご本人の強い意志から実行された。
二日間雨が降りしきる中、心配された右翼の妨害もなく(中には訴えを聞いて賛同する人も)具志堅さんは最後までやり遂げた。
◆ 日本国内では禁止されているPFASを、米軍が公共の下水道に放出
沖縄住民の安全を脅かす米軍の横暴さも相変わらずだ。
在沖海兵隊は八月二六日、普天間飛行場の貯水槽から発ガン性の有害物質・有機フッ素化合物(PFAS)を含む汚染水を処理したうえで公共の下水道に放出し始めたと発表した。
米軍は、「汚染を取り除く処理を行い、暫定目標値に比べて約20倍きれいだ」というが、これまでは専門業者が焼却しており、知事なども強く反対していた。
米国防省自体が、危険性を認識しながら五年間も対策を怠ってきたと米連邦議員からも批判されているのだ。
PFASは日本国内では禁止されている。政府は直ちに使用をやめさせるべきだ。
コロナ感染が一向に収束せず、沖縄でも緊急事態宣言が九月一一日まで延長される(二七日現在)中、玉城デニー知事の「埋め立て設計変更申請・不承認」決定が遅れている。
発表に対応した行動も予定が立たず、「中だるみ」の傾向もある。
気持ちを引き締め、いつ出てもすぐさま行動できるよう準備を万全にしておきたい。
(中村利也/辺野古への基地建設を許さない実行委員会)
『月刊救援 629号』(2021年9月10日)
◆ 無謀なサンゴ移植強行を許さない
菅政権の暴走を止めよう!
地方自治体・住民の意思を全く尊重しない、環境保全に逆行する国・沖縄防衛局の傍若無人さ、ならず者ぶりが横行している。
八月六日の最高裁判決を受けて、県が二八日、大浦湾に生息する約四万群体のサンゴの特別採捕(移植)許可を出した翌日、防衛局は直ちにサンゴ移植作業を開始した。
水温の高い夏場や台風の季節を避けるという県の許可条件を無視し、「『考慮する』とはあるが夏場にやってはいけないとは書いていない」と勝手な屍理屈を持ち出し強行したのだ。
これに対し県は翌三〇日、条件が守られていないとして、採捕許可を撤回した。
先の最高裁判決でさえ、生存率が二〇%と認めているように、サンゴ移植自体が無理な方策だ。
二〇一八年に現在埋立てが進められている辺野古区域から移植された絶滅危惧種のオキナワハマサンゴ九群体は既に五群体が死滅や消滅しており、その事実は防衛局も認めている。
ただでさえ難しいサンゴ移植を、杜撰なやり方で強行するなら許可が撤回されるのは当然のことだ。
しかし国・防衛局は、またもや「私人」に成りすまして、行政不服審査法に基づき、身内の農林水産大臣に審査を求め、同時に撤回効力を凍結する執行停止を求めた。
そして、農水相は、県が意見書を提出した翌日に早くも“シナリオ通り”執行停止を決めたのだ。農水相の執行停止を受け防衛局は直ちに工事を再開、一一日までにサンゴ約八三〇群体を辺野古の浜からニキロの沖合に移植した。
こんな荒っぽいやり方で、生育条件に敏感なサンゴが再生するはずがない。この作業を請け負っているのは東京・北上野に本社のある建設コンサルト会社の㈱エコーだ。
国の不当、違法な事業のお先棒を担ぐ同社への抗議も必要だ。
移植の終わった近辺には新護岸の建設が始まった。埋め立て用土砂の陸揚げに使う予定だ。
こうして繰り返される国・防衛局の強引で違法な手法、環境保全など全く眼中にない軍事基地建設ありきの暴走に激しい怒りがこみ上げる。断じて許してはならない。
◆ 沖縄での新型コロナの爆発的な感染拡大が止まらない。
七月下旬から第五波が襲来し、八月に入り一日の感染確認者数が平均で五〇〇人を超え、二五日には八〇九人という過去最多を更新した。人口が沖縄の約一〇倍ある東京で八○○○人が感染しているという数だ。二三日時点での直近一週間の一〇万人当たりの感染者は三一〇名と全国一だ。
離島である沖縄にコロナが持ち込まれたのは当然島外からだ。それは「本土」でありアメリカ・米軍だ。
昨年四月中旬以降は、一日の感染者がゼロの日もあった沖縄で、七月一一日、普天間基地とキャンプ・ハンセンで七日から一一日までに六一名の感染者が確認されていることが初めて公表された。以降も増え続け、八月二七日には一〇基地で計三六八人となった。
一方で県民の一日の感染者は七月二二日までは二名前後だったが、二三日に五名、二四日に一〇名と徐々に増え始め、八月七日に一〇〇名となった。GoToキャンペーンで「本土」から多くの観光客が訪れたことも無関係ではないだろう。
米軍での感染状況も再三の県からの聞い合わせに対して十分な情報が寄せられていない。脆弱な沖縄の医療現場は崩壊の状態にあると言われている。
しかし菅政権は、どこまでも無策、無能であり、有効な対策を講じる考えすらない。
こうした「緊急事態」の中で、辺野古の埋め立て工事だけは着々を進められている。
工事関係者からの感染者も後を絶たない。反対する住民に接触する機会のある警備会社の職員はマスクをせず、効果に疑問のあるフェイスシールドを装着しているだけだ。これは異常な光景ではないだろうか?
埋め立て土砂の積み出し港である本部・塩川港では昨年は許可されなかった搬出用のベルトコンベアー設置が、「濁水対策が改善された」として四月から許可され、土砂搬出が加速化している。しかし、港をほぼ独占的に使用し、ダンプが騒音、振動、粉塵をまき散らす状況に住民から厳しい批判が起こっており、県の厳格な判断が求められている。
◆ 具志堅隆松さんが、戦没者追悼式が行われる東京・武道館周辺でハンガーストライキ
その埋め立てに沖縄戦の犠牲者の遺骨混じりの土砂を使うなと、これまで二度のハンストを行うなど、この問題を取り組んできた沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表の具志堅隆松さんが、八月一四、一五日、戦没者追悼式が行われる東京・武道館周辺でハンガーストライキを敢行した。
一旦は、コロナ感染の拡大を考慮して中止も検討したが、「一人でも多くの戦没者遺族に訴えたい」「マスコミに広く報道してもらいたい」というご本人の強い意志から実行された。
二日間雨が降りしきる中、心配された右翼の妨害もなく(中には訴えを聞いて賛同する人も)具志堅さんは最後までやり遂げた。
◆ 日本国内では禁止されているPFASを、米軍が公共の下水道に放出
沖縄住民の安全を脅かす米軍の横暴さも相変わらずだ。
在沖海兵隊は八月二六日、普天間飛行場の貯水槽から発ガン性の有害物質・有機フッ素化合物(PFAS)を含む汚染水を処理したうえで公共の下水道に放出し始めたと発表した。
米軍は、「汚染を取り除く処理を行い、暫定目標値に比べて約20倍きれいだ」というが、これまでは専門業者が焼却しており、知事なども強く反対していた。
米国防省自体が、危険性を認識しながら五年間も対策を怠ってきたと米連邦議員からも批判されているのだ。
PFASは日本国内では禁止されている。政府は直ちに使用をやめさせるべきだ。
コロナ感染が一向に収束せず、沖縄でも緊急事態宣言が九月一一日まで延長される(二七日現在)中、玉城デニー知事の「埋め立て設計変更申請・不承認」決定が遅れている。
発表に対応した行動も予定が立たず、「中だるみ」の傾向もある。
気持ちを引き締め、いつ出てもすぐさま行動できるよう準備を万全にしておきたい。
(中村利也/辺野古への基地建設を許さない実行委員会)
『月刊救援 629号』(2021年9月10日)
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