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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

森友学園籠池元理事長も灘中に「抗議葉書」を送っていた

2017年08月08日 | こども危機
 ◆ 教科書検定制度にも「忖度」
   政治的圧力あえぐ教科書
(日刊スポーツ)


 鋭い視点で斬り込むMBSテレビのドキュメンタリーシリーズ「映像’17」。今回は「教育と愛国~教科書でいま何が起きているのか」と題したドキュメンタリーを30日深夜0時50分(関西ローカル)から放送する。
 同番組が教育と政治の関係の取材を重ねていくと、国政を大きく揺るがした、ある人物の名前にぶつかった。
 学校法人「森友学園」の籠池泰典前理事長……。
 昨春、籠池氏はある歴史教科書を採用した中学校に「反日教育をするのか」実名で“抗議”のハガキを送っていた。
 ハガキの差出人には「籠池泰典」の直筆の名前があり、裏面には「この度、御校が採用しました歴史教科書は、中学生用に唯一、慰安婦問題(事実とは異なる)を記した反日極左の教科書であるという情報が入りました」
 「将来性のある若者に反日教育をする目的はなんなのでしょうか?」「歴史教科書の採用を即刻中止することを望みます」。
 同じ文面のハガキは籠池氏からだけではなく、地方都市の市長などからも届いていた。匿名も含めその数、1校につき200枚以上。
 同番組は送り主の1人、山口県防府市の松浦正人市長にインタビューした。山口県は安倍晋三首相のおひざ元。松浦市長は首相の教育政策に賛同する「教育再生首長会議」を立ち上げた人物だった。
 「なぜハガキを送ったのか? 正しい教科書を出さなければいけませんよ、という声を発信した。この教科書は、ちょっと偏ったことが書いてあるとの情報を耳にしました。20から30通は送った」と認めた上で「圧力として受け取られる方もいらっしゃるかもしれないが、そうだったら『ごめんなさいね』というしかないですね。圧力を受けたとおっしゃるならね」。
 標的にされた教科書についても取材すると、「考え、議論する」歴史を目指す先生たちが集まり、新たな中学の歴史教科書をつくった経緯があった。
 従来のように年代順に大きな出来事を並べ、暗記させるのではなく、人間の営みを軸に歴史はどうやってつくられてきたのかを、じっくり考えさせ、ときには疑問がわくように編集されている。
 中学の歴史教科書から消えていた日本軍慰安婦の記述を十数年ぶりに復活させたが、政府の公式見解に沿った内容にとどめている。
 昨年から全国の難関と言われる私立中学校で多く使われるようになった。採用についてある校長は「より深い学習に到達することを目指す『アクティブ・ラーニング』に適した教材である」とその理由を述べている。
 さらに実態に迫るため、この歴史教科書を採用した複数の学校に授業風景の撮影を申し込んだが、すべて断られた。
 その背景に学校に送られてきた大量のハガキがあった。昨春、この教科書を採用すると決めた学校には、日中戦争当時の白黒写真ハガキを使って「反日」「この教科書を採用するな」といった匿名や学校OBを名乗る差出人不明の人たちからハガキが次々届いた。
 さらに続いて籠池氏、松浦市長らの名前でこの歴史教科書に載せた日本政府の談話が事実に反するとして「反日教育をやめろ」と同じ文面のハガキが届いていた。教育現場への組織的な動きだった。
 番組では教育と政治の舞台裏に迫るために文部科学省の教科書検定制度も取り上げる。森友学園のキーワードになった「忖度(そんたく)」。教科書検定制度にも「忖度」があるとする関係者の証言も引き出す。
 来年度から小学校で正式な教科に格上げされる「道徳」の教科書で、題材に登場した「パン屋」が和菓子を扱う「お菓子屋」に修正されたのは、国が「伝統と文化の尊重、国や郷土を愛する態度に照らし扱いが不適切」という検定意見をつけたからだった。
 さらに老舗の教科書会社の元編集者が13年前の倒産劇を語る。きっかけは「子供たちに戦争の現実に向き合ってほしい」と盛り込んだ教科書の慰安婦の記述だった。
 教科書を巡っては慰安婦の教科書の記述が大きな議論を呼んだ後、沖縄戦の「集団自決」の扱いがクローズアップされた。
 高校歴史教科書を対象とした06年度検定で沖縄戦での集団自決を巡り、「軍の強制があった」とする趣旨の記述に意見が付き、教科書会社各社が修正・削除。その後、沖縄県民らの強い反発があって文科省が教科書会社に軌道修正を促した経緯がある。
 沖縄県渡嘉敷村で生まれた元理科教諭で村の教育委員長を務めた吉川嘉勝さん(78)は72年前の沖縄戦での「集団自決」を振り返る。
 「日本軍が配った手りゅう弾で、村長の掛け声を合図に生き地獄になった」。現場にいた吉川さん母の命がけの言葉で生き残った
 「島の人たちは、戦争だから仕方なかったと黙ってきた。それをね、軍の強制はなかった話だとか…。はっきりいって胸が裂けそうな怒りを感じた」
 番組内では吉川さんが教科書検定への強い思いを語る。

 MBS報道局番組部の斉加尚代ディレクター(52)は言う。
 「いったい教科書検定制度はどうなっているのだろうか。その仕組みをしっかり視聴者に伝えたい。それが最初の思いでしたが、教科書を取材しているうちに政治的な動きが気になりだし、結果的にかなり政治的な動きを追うことになりました」。
 さらに「取材を通じ、教育現場も萎縮しているのではないかと。見えない政治的な圧力に教科書があえいでいるように感じました」と話した。
 安倍政権下で進められた「教育改革」。番組が進むにつれ、政治と教育の点と線がつながっていく。籠池氏がなぜハガキを送ったのか。「国や郷土を愛する心」を盛り込んだ教科書を警戒する声がなぜあがるのか。その謎が解き明かされる。
『日刊スポーツ』(2017/7/28)
https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/1863533.html
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