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「戦争史観」批判

2011年09月07日 | 日の丸・君が代関連ニュース
 ◎ 「戦争史観」批判
鎌田慧(ルポライター)

 『東京新聞』(九月三日)によると、石原都知事は定例会見で、「漢字が読める、自分の言葉をもっている」との理由で、野田新首相を「なかなかいい」と褒めたそうだ。日本の首相も安くなったものだ。背景に靖国擁護の新首相誕生への好感がある。
 そのあと、知事の公約である、「破壊的な教育改革」とは、「なにを破壊すべきか」との質問がだされた。「決まってるじゃないですか。戦争に対する史観を一方的に強制してきたんだから。私たちがやってきた近代の歴史は間違いですか?」と知事が言い放ったそうだが、記者団から反論はなかったのだろうか。
 「戦争史観を一方的に強制してきた」歴史を繰り返さない、というのが、戦後教育の出発点だったはずだ。石原さんはこれが気にくわない、破壊する、といっている。
 日本近代の歴史はまちがいか?という大ざっぱな問いかけで、「間違いではなかった」といわせようとするのは、強制というべきものだ。歴史にはいいところもあったし、まちがいもあった、という冷静さが必要だ。
 国民を戦争に駆り立てた歴史教育は、あきらかなまちがいだった、とひとりも記者は反論しなかったのだろうか。石原知事が批判する「戦争史観」とは、「戦争は悪だ」と決めつけることだそうだが、そのどこがまちがっているのか。
 『東京新聞』(2011/9/6【本音のコラム】)

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