《大阪ネットワークニュースから》
◆ 吹田の「君が代」暗記率調査
元大阪府立高校校教員 グループZAZA 梅原 聡
◆ 「君が代」暗記率調査の報道
吹田市で、自民党の市議からの質問に答えるために「君が代」の暗記率調査が行われたと報道されたのは今年6月。こんなことまでするのかと、驚かれた方も多かったでしょう。
小学校教員から、子どもに「君が代」を暗記しているかどうか手をあげさせてしまったとの報告があって、組合からの抗議や三つの組合の合同での市教委と協議などが行われてきました。
報道後は、さまざまな市民団体・個人がそれぞれに抗議・要望・質問などを届ける形で、市教委に働きかけを続けていました。
抗議活動への取材等も含めて、その後も報道は続き、6月20日付の信濃毎日の社説では政治の教育への介入について、7月3日付朝日の社説では子どもの内心の自由に関して主に論じられ、全国的に関心を持たれる事態になっていました。
◆ 市民からの抗議と市教委の対応
市民団体等への説明は、
「調査は市議の質問を受けてのものだが、市教委として必要と考えている」
「調査方法などの指示が不十分で、人権への配慮が欠けたことは反省しているが、調査すること自体は問題がない」
「市議からの質問が政治介入だとは考えていない」
「市議から同様の質問があった場合は、慎重に検討する」
というもので、調査の方法がまずかっただけというのが彼らのスタンスでした。
7月7日、皆さんからいただいたお名前も含めて、850名を超える賛同者名を添えて、保護者・市民有志による抗議・要請文を提出しました。
このとき、50名近い市民が教育委員会へ押しかけ、学校教育室長が市民に対応する場が持たれました。
この日の協議では、子どもを小中学校に通わせる保護者の方々からの発言を皮切りに、市民がそれぞれの思いをぶつけ、教育委員長を務めた方も発言されました。
この協議の中で、それまでとは異なる回答がありました。
ひとつは、調査が市議の質問に答えるためだけに行われたというニュアンスの回答がなされた点、もうひとつは、「このような調査を十分検討せずに行ってしまったことは反省している。今後は、暗記の人数や率を問うような調査は行わない」と明言した点です。
「君が代」暗記率調査が必要なものではなかったことや、市議におもねる形で調査が行われたことを認めた発言だと思います。これらの回答を引き出せたことは、市民が声をあげたことによる大きな成果だと考えています。
◆ 暗記調査以降の動きと今後の課題
暗記率調査の問題をきっかけに、市民団体と組合、一般市民が緩やかなまとまりをつくって、これまでに引き出せたことの確認や、不十分な点の追及などを行っていこうと動き出しました。
その中で、今回の問題の発端となった市議がユーチューブ動画(吐き気のするようなネトウヨ的動画)に吹田市のマスコットキャラクター「すいたん」を不正使用していた件が話題になりました。
再三の抗議にも削除を求めようとしない市に対して、住民監査請求を行うことを決め、監査結果で市の対応は不適切であるという意見を引き出しました。
これを受けて、市は市議に対して動画の削除を要請し、市議は渋々動画を削除することになったのです。
アベ葬儀の際の半旗掲揚問題や、今回の「君が代」暗記率調査問題を契機とした市民の協同の動きは、議会・行政と市民の関係性の活性化にも向いています。とりあえず、議会等の傍聴・報告などを積極的にやろうと呼びかけを始めました。
このような地道な活動から、各地での様々な動きと連携して、市民が主役の住民自治を取り戻したいと思っています。
『大阪ネットワークニュース 第30号』(2023年12月17日)
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