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22007/04/12(木) (4,27 記) 損害賠償請求事件、判決
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原告 増田都子
訴訟代理人 弁護士 和久田修
被告 土屋敬之
古賀俊昭
田代博嗣
展転社こと相澤宏明
主文
被告らは、原告に対し、連帯して76万円・・・金員を支払え。・・・・・
事実及び理由
・・・ 第2 事実の概要
本件は、原告が、被告土屋敬之、被告古賀俊昭、及び田代博嗣らが共著し、被告展転社こと相澤宏明が発行した書籍に記載された記述により名誉を毀損され、プライバシーを侵害されたとして、その慰謝料等の支払いを求めた事案である。・・・・
・・・・第4 争点に対する判断
(2) 第2表現について
第2記述には、「洗脳」という語が使用されているところ、同表現は生徒に原告の政治思想に沿う思想を持つよう誘導しているとの意味で用いていると認められる。また、原告は、公立中学校における社会科教諭であり、教育現場においては政治的中立性が求められる社会的地位にあったというべきである。
そうすると、上記表現を含む第2表現は、、教師である原告に対し、原告が生徒に特定の政治的思想を持つよう誘導していると評価するものであるから、原告の社会的評価を低下させるものといえる。
したがって、第2表現によって、原告の名誉は毀損されたと認めることができる。
(3) 第3表現について
第3記述は、原告が紙上討論において、政治的立場に偏りのある参考資料を提供し、原告の政治的思想に反対する意見を持つ生徒にはさらに偏った参考資料を提供し、生徒に自己の政治的思想に近い意見を形成するよう誘導していたことから、原告は教師ではなくアジテーターすなわち扇動者であるとの意味で第3表現を記述したこと、また第3表現における「マインドコントロール」との語は、上記原告の指導方法を指す意味で用いているものといえる。
そして、原告は公立中学校の教師であり、その原告をして教師ではなくアジテーターであると表現することは、原告の社会的評価を低下させることが明らかである。また教師が政治的に偏った参考資料しか提供しない方法によって指導をしたとの事実は、教師の不適格性を示す事実であるから、原告がそのような指導をしたとの記述は、原告の社会的評価を低下させると認められる。
したがって、第3表現によって、原告の名誉は毀損されたと認められる。
(4) 第4表現について
第4表現は、原告が、原告の意見に反対する一部の生徒の意見を無視していたこと、そのような指導をすることは生徒が少数意見を持つことを萎縮させ適当でないことの趣旨が記述されており、第4表現は、したがって、原告が教育者として不適格であるとの趣旨で表現したものといえる。
そして、教師が生徒の意見を無視したとの表現は教師の不適格性を具体的に指摘しているのであるから、原告が公立中学校教諭であり政治的中立性が求められる地位にあることに照らせば、第4表現は原告の社会的評価を低下させるものといえる。
したがって、第4表現によって、原告の名誉は毀損されたものと認められる。
(5) 第5表現について
第5記述は、被告らは、原告が生徒に対して特定の政治的思想を押し付けたことの責任を免れるため、生徒に自発的に考えさせる体裁を整えた上で原告の望む特定の政治的思想に沿うように生徒に意思形成するよう誘導したとの趣旨の記述であり、第5表現は教師である原告が、生徒に特定の政治的思想に沿うように意思形成をすることを誘導したとの表現を含むものであって、原告の教師としての不適格性を具体的に指摘しているものだから、原告の社会的評価を低下させると認められる。
したがって、第5表現によって、原告の名誉は毀損されたと認められる。
(6) 第6表現について
第6記述は、原告が紙上討論授業において昭和天皇の戦争責任を肯定する資料を参考資料として生徒に提供し、これにより反皇室思想を生徒に植え付けており、これが憲法、教育基本法、学習指導要領に反するとの趣旨の記述であり、第6表現は、原告が学習指導要領に反する授業をした教師との表現を含むものであって、原告の教師としての不適格性を具体的に指摘しているものである。そうであれば原告の社会的評価は、第6表現により、低下したと認められる。
したがって、第6表現によって、原告の名誉は毀損されたと認められる。
http://ip.tosp.co.jp/NIki/TosNK100.asp?I=fujita63&P=0
22007/04/12(木) (4,27 記) 損害賠償請求事件、判決
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原告 増田都子
訴訟代理人 弁護士 和久田修
被告 土屋敬之
古賀俊昭
田代博嗣
展転社こと相澤宏明
主文
被告らは、原告に対し、連帯して76万円・・・金員を支払え。・・・・・
事実及び理由
・・・ 第2 事実の概要
本件は、原告が、被告土屋敬之、被告古賀俊昭、及び田代博嗣らが共著し、被告展転社こと相澤宏明が発行した書籍に記載された記述により名誉を毀損され、プライバシーを侵害されたとして、その慰謝料等の支払いを求めた事案である。・・・・
・・・・第4 争点に対する判断
(2) 第2表現について
第2記述には、「洗脳」という語が使用されているところ、同表現は生徒に原告の政治思想に沿う思想を持つよう誘導しているとの意味で用いていると認められる。また、原告は、公立中学校における社会科教諭であり、教育現場においては政治的中立性が求められる社会的地位にあったというべきである。
そうすると、上記表現を含む第2表現は、、教師である原告に対し、原告が生徒に特定の政治的思想を持つよう誘導していると評価するものであるから、原告の社会的評価を低下させるものといえる。
したがって、第2表現によって、原告の名誉は毀損されたと認めることができる。
(3) 第3表現について
第3記述は、原告が紙上討論において、政治的立場に偏りのある参考資料を提供し、原告の政治的思想に反対する意見を持つ生徒にはさらに偏った参考資料を提供し、生徒に自己の政治的思想に近い意見を形成するよう誘導していたことから、原告は教師ではなくアジテーターすなわち扇動者であるとの意味で第3表現を記述したこと、また第3表現における「マインドコントロール」との語は、上記原告の指導方法を指す意味で用いているものといえる。
そして、原告は公立中学校の教師であり、その原告をして教師ではなくアジテーターであると表現することは、原告の社会的評価を低下させることが明らかである。また教師が政治的に偏った参考資料しか提供しない方法によって指導をしたとの事実は、教師の不適格性を示す事実であるから、原告がそのような指導をしたとの記述は、原告の社会的評価を低下させると認められる。
したがって、第3表現によって、原告の名誉は毀損されたと認められる。
(4) 第4表現について
第4表現は、原告が、原告の意見に反対する一部の生徒の意見を無視していたこと、そのような指導をすることは生徒が少数意見を持つことを萎縮させ適当でないことの趣旨が記述されており、第4表現は、したがって、原告が教育者として不適格であるとの趣旨で表現したものといえる。
そして、教師が生徒の意見を無視したとの表現は教師の不適格性を具体的に指摘しているのであるから、原告が公立中学校教諭であり政治的中立性が求められる地位にあることに照らせば、第4表現は原告の社会的評価を低下させるものといえる。
したがって、第4表現によって、原告の名誉は毀損されたものと認められる。
(5) 第5表現について
第5記述は、被告らは、原告が生徒に対して特定の政治的思想を押し付けたことの責任を免れるため、生徒に自発的に考えさせる体裁を整えた上で原告の望む特定の政治的思想に沿うように生徒に意思形成するよう誘導したとの趣旨の記述であり、第5表現は教師である原告が、生徒に特定の政治的思想に沿うように意思形成をすることを誘導したとの表現を含むものであって、原告の教師としての不適格性を具体的に指摘しているものだから、原告の社会的評価を低下させると認められる。
したがって、第5表現によって、原告の名誉は毀損されたと認められる。
(6) 第6表現について
第6記述は、原告が紙上討論授業において昭和天皇の戦争責任を肯定する資料を参考資料として生徒に提供し、これにより反皇室思想を生徒に植え付けており、これが憲法、教育基本法、学習指導要領に反するとの趣旨の記述であり、第6表現は、原告が学習指導要領に反する授業をした教師との表現を含むものであって、原告の教師としての不適格性を具体的に指摘しているものである。そうであれば原告の社会的評価は、第6表現により、低下したと認められる。
したがって、第6表現によって、原告の名誉は毀損されたと認められる。
http://ip.tosp.co.jp/NIki/TosNK100.asp?I=fujita63&P=0
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