《東京「君が代」第3次訴訟12・24第3回口頭弁論<4>求釈明書》
東京地方裁判所 民事第11部甲A係 御中
「報告集会」 《撮影:平田 泉》
1.戦前において、君が代については、「初等科修身 二」(1942(昭和17)年)に、「『天皇陛下のお治めになる御代は、千年も萬年もつづいておさかえになりますやうに。』といふ意味で、國民が、心からおいはひ申しあげる歌であります。」と説かれているが、被告東京都教育委員会としては、現時点で君が代の歌詞をどのような意味と解釈しているのか。
2.現時点での歌詞の意味が、「天皇陛下のお治めになる御代は、千年も萬年もつづいておさかえになりますやうに。」という意味から変更されているとしたら、以下の点について明らかにされたい。
(1) 「君が代」における「君」はどのような意味か。
なお、敗戦後、文部省(当時)は「君」とは「君と僕」の関係における「君」(すなわちYou)と説明したことがあったが、被告東京都教育委員会は同じ意味と考えているか。
(2) 「君が代」の歌詞の意味が、上述した「初等科修身 二」の変わっているというのであれば、 歌詞の意味が変更された時期は何時か。
(3) 歌詞の意味の変更についてどのような手続が踏まれているのか。
(4) 歌詞の意味の変更に関与したのはどのような組織か、また、その構成員は誰か。
(5) 歌詞の意味の変更に東京都教育委員会は関与しているか。関与しているとすれば、どのような関与か。
(6) 歌詞の意味の変更に際して、どのような意見が出され、どのような議論が成されたのか。
(7) 変更された歌詞の意味が、現在、広く国民の共通理解となっていると考えているか。考えているとしたら、その根拠は何か。
3.答弁書における「国旗及び国歌に対する正しい認識」について
(1) 被告は、答弁書187ページにおいて、「国旗及び国歌に対する正しい認識とは」として、「『君が代』は、日本国憲法の下においては、日本国民総意に基づき天皇を日本国及び日本国民統合の象徴とする我が国の末永い繁栄と平和を祈念した歌であること、を理解すること」としているが、「日の丸」と「君が代」が1945年8月15日以前にどのような意味を持ち、役割を果たしてきたかを生徒に理解させることも、「国旗及び国歌に対する正しい認識」をもたせることになるのか。
(2) 「平和を祈念した歌であることを理解する」というが、これは君が代の歌詞のどこから導き出されるのか。
(3) 君が代の歌詞の意味について、生徒にどのように教えることが「正しい認識」をもたせることになるのか。
(4) 学習指導要領には、君が代の歌詞の意味についての記載があるか。あるとすれば、どのようなものか。
4.「国旗及び国歌を尊重する態度を育てること」について
(1) 「君が代」の現在の歌詞の意味内容が生徒に理解されない場合には、君が代を尊重する態度を育てることはできないと考えるが、どうか。
(2) 卒業式・入学式等の儀式行事以外の場面(例えば授業等)において、「日の丸」「君が代」について生徒にどのように指導することが、「国旗及び国歌に対する正しい認識をもたせ、それを尊重する態度を育てること」になると考えているのか。
(3) 卒業式・入学式等の儀式行事以外の場面(例えば授業等)において、「国旗及び国歌に対する正しい認識をもたせ、それを尊重する態度を育てる」ための教育と同時に、憲法19条の思想・良心の自由についての教育を行うことに、支障があるのか。あるとすればどのような支障か。
5.特に「卒業式等における国旗・国歌の指導」について
(1) 「起立・斉唱」以外にどのような指導を考えているか。それとも、卒業式等においては「起立・斉唱」させることだけが「指導」になるのか。
(2) 答弁書189ページによれば、「起立・斉唱は、特定の思想の強制でもなく、国旗・国歌への尊崇でも敬意の念の強制でもない」とのことだが、「国旗掲揚・国歌斉唱時」において、生徒や教職員は「国旗・国歌に対する尊崇や敬意の念」を持たなくても、単に起立・斉唱さえすればいいのか。
(3) そうでないとすれば、どのような考えをもって起立・斉唱を指導することに何を期待しているのか。
(4) 起立しない生徒に対して、起立させるような指導をしているか。現場の校長・教頭・教師にどのような指導をさせているのか。
(5) 起立しても斉唱しない生徒に対しては、どのような指導をしているか。現場の校長・教頭・教師にどのような指導をさせているのか。
(6) 起立しない保護者に対して、起立させるような指導をしているか。現場の校長・教頭・教師にどのような指導をさせているのか。
(7) 起立しても斉唱しない保護者に対しては、どのような指導をしているか。現場の校長・教頭・教師にどのような指導をさせているのか。
6.「日の丸」「君が代」あるいは外国も含めて、「国旗及び国歌に対する正しい認識をもたせ、それを尊重する態度を育てること」のために、東京都教育委員会が行っている具体的な施策があれば、明らかにされたい。
7.君が代伴奏CDについて
(1) 国旗国歌法成立後、東京都教育委員会は、オーケストラ伴奏版、ピアノ伴奏版、歌入り・歌なし等数種類の君が代伴奏CD(もしくはテープ)を作成し、全都立校に配布した事実はあるか。
(2) あるとすれば、その配布の目的は、入学式・卒業式等における君が代斉唱時の伴奏用か。それ以外に目的があったとすればそれは何か。
(3) 卒業式・入学式等におけるCD伴奏による君が代斉唱が行われた期間は、何時から何時までか。
(4) CD伴奏による君が代斉唱に何か支障があったか。あったとすればどのような支障か。
(5) CD伴奏ではなく、音楽専科教諭による君が代のピアノ伴奏でなければならない理由は何か。
…原告からの求釈明に対して、被告都側代理人は「事実に関する釈明以外は釈明するしないを含めて検討の上回答する」と、及び腰であった。
しかし都側は、『君が代』は「平和主義や国民主権の理念の象徴」であるとの一義的な解釈の下に、児童・生徒に正しい認識を持たせると主張し、教員への起立斉唱命令を正当化しているのであるから、そのように一義的解釈が存在するなら求釈明事項はすべて「事実」に関わる確認であって、回答を避ける理由は見当たらない。
もし回答できないとするなら、逆に解釈が「多義的」であって、画一的命令になじまないことを自ら認めることになる。
東京地方裁判所 民事第11部甲A係 御中
◎ 求 釈 明 書
2010年12月24日
原告らは、主張準備のため、以下の事項について釈明を求める。「報告集会」 《撮影:平田 泉》
1.戦前において、君が代については、「初等科修身 二」(1942(昭和17)年)に、「『天皇陛下のお治めになる御代は、千年も萬年もつづいておさかえになりますやうに。』といふ意味で、國民が、心からおいはひ申しあげる歌であります。」と説かれているが、被告東京都教育委員会としては、現時点で君が代の歌詞をどのような意味と解釈しているのか。
2.現時点での歌詞の意味が、「天皇陛下のお治めになる御代は、千年も萬年もつづいておさかえになりますやうに。」という意味から変更されているとしたら、以下の点について明らかにされたい。
(1) 「君が代」における「君」はどのような意味か。
なお、敗戦後、文部省(当時)は「君」とは「君と僕」の関係における「君」(すなわちYou)と説明したことがあったが、被告東京都教育委員会は同じ意味と考えているか。
(2) 「君が代」の歌詞の意味が、上述した「初等科修身 二」の変わっているというのであれば、 歌詞の意味が変更された時期は何時か。
(3) 歌詞の意味の変更についてどのような手続が踏まれているのか。
(4) 歌詞の意味の変更に関与したのはどのような組織か、また、その構成員は誰か。
(5) 歌詞の意味の変更に東京都教育委員会は関与しているか。関与しているとすれば、どのような関与か。
(6) 歌詞の意味の変更に際して、どのような意見が出され、どのような議論が成されたのか。
(7) 変更された歌詞の意味が、現在、広く国民の共通理解となっていると考えているか。考えているとしたら、その根拠は何か。
3.答弁書における「国旗及び国歌に対する正しい認識」について
(1) 被告は、答弁書187ページにおいて、「国旗及び国歌に対する正しい認識とは」として、「『君が代』は、日本国憲法の下においては、日本国民総意に基づき天皇を日本国及び日本国民統合の象徴とする我が国の末永い繁栄と平和を祈念した歌であること、を理解すること」としているが、「日の丸」と「君が代」が1945年8月15日以前にどのような意味を持ち、役割を果たしてきたかを生徒に理解させることも、「国旗及び国歌に対する正しい認識」をもたせることになるのか。
(2) 「平和を祈念した歌であることを理解する」というが、これは君が代の歌詞のどこから導き出されるのか。
(3) 君が代の歌詞の意味について、生徒にどのように教えることが「正しい認識」をもたせることになるのか。
(4) 学習指導要領には、君が代の歌詞の意味についての記載があるか。あるとすれば、どのようなものか。
4.「国旗及び国歌を尊重する態度を育てること」について
(1) 「君が代」の現在の歌詞の意味内容が生徒に理解されない場合には、君が代を尊重する態度を育てることはできないと考えるが、どうか。
(2) 卒業式・入学式等の儀式行事以外の場面(例えば授業等)において、「日の丸」「君が代」について生徒にどのように指導することが、「国旗及び国歌に対する正しい認識をもたせ、それを尊重する態度を育てること」になると考えているのか。
(3) 卒業式・入学式等の儀式行事以外の場面(例えば授業等)において、「国旗及び国歌に対する正しい認識をもたせ、それを尊重する態度を育てる」ための教育と同時に、憲法19条の思想・良心の自由についての教育を行うことに、支障があるのか。あるとすればどのような支障か。
5.特に「卒業式等における国旗・国歌の指導」について
(1) 「起立・斉唱」以外にどのような指導を考えているか。それとも、卒業式等においては「起立・斉唱」させることだけが「指導」になるのか。
(2) 答弁書189ページによれば、「起立・斉唱は、特定の思想の強制でもなく、国旗・国歌への尊崇でも敬意の念の強制でもない」とのことだが、「国旗掲揚・国歌斉唱時」において、生徒や教職員は「国旗・国歌に対する尊崇や敬意の念」を持たなくても、単に起立・斉唱さえすればいいのか。
(3) そうでないとすれば、どのような考えをもって起立・斉唱を指導することに何を期待しているのか。
(4) 起立しない生徒に対して、起立させるような指導をしているか。現場の校長・教頭・教師にどのような指導をさせているのか。
(5) 起立しても斉唱しない生徒に対しては、どのような指導をしているか。現場の校長・教頭・教師にどのような指導をさせているのか。
(6) 起立しない保護者に対して、起立させるような指導をしているか。現場の校長・教頭・教師にどのような指導をさせているのか。
(7) 起立しても斉唱しない保護者に対しては、どのような指導をしているか。現場の校長・教頭・教師にどのような指導をさせているのか。
6.「日の丸」「君が代」あるいは外国も含めて、「国旗及び国歌に対する正しい認識をもたせ、それを尊重する態度を育てること」のために、東京都教育委員会が行っている具体的な施策があれば、明らかにされたい。
7.君が代伴奏CDについて
(1) 国旗国歌法成立後、東京都教育委員会は、オーケストラ伴奏版、ピアノ伴奏版、歌入り・歌なし等数種類の君が代伴奏CD(もしくはテープ)を作成し、全都立校に配布した事実はあるか。
(2) あるとすれば、その配布の目的は、入学式・卒業式等における君が代斉唱時の伴奏用か。それ以外に目的があったとすればそれは何か。
(3) 卒業式・入学式等におけるCD伴奏による君が代斉唱が行われた期間は、何時から何時までか。
(4) CD伴奏による君が代斉唱に何か支障があったか。あったとすればどのような支障か。
(5) CD伴奏ではなく、音楽専科教諭による君が代のピアノ伴奏でなければならない理由は何か。
以上
…原告からの求釈明に対して、被告都側代理人は「事実に関する釈明以外は釈明するしないを含めて検討の上回答する」と、及び腰であった。
しかし都側は、『君が代』は「平和主義や国民主権の理念の象徴」であるとの一義的な解釈の下に、児童・生徒に正しい認識を持たせると主張し、教員への起立斉唱命令を正当化しているのであるから、そのように一義的解釈が存在するなら求釈明事項はすべて「事実」に関わる確認であって、回答を避ける理由は見当たらない。
もし回答できないとするなら、逆に解釈が「多義的」であって、画一的命令になじまないことを自ら認めることになる。
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