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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

民間企業は、学校の公設民営化解禁を手ぐすね引いて待ち構えている

2012年08月15日 | こども危機
 《止めよう!教育の民営化・非正規職化-6- 公立学校ブランディング事業》
 ■ 学校の丸ごと民営化を狙う 被災地が最大のターゲットに


 ■ 授業の外注化で学校を「高付加価値化」
 三井住友グループ系のコンサルト会社である(株)日本総研が、「公立学校ブランディング事業」なるものを売り込んでいる。
 公立学校の授業や部活を民間企業に外注化して「高付加価値化」するというビジネスだ。
 日本総研はこれまで、文科省の教育バウチャー制度の調査研究や世田谷区の教育ビジョンの策定を受注してきた実績がある。
 同社のサイトに「自治体様向け」「学校法人様向け」のプレゼン資料がアップされている。
 自治体向けには「子育て世代の地域への定住・流入につながり、地域が活性化する」、企業向けには「教育分野における新たなビジネスチャンスが提供される」がうたい文句になっている。
 「現役世代(子育て世代)の人口流出に直面している自治体」「公立学校の統廃合を控えている自治体」というように、被災地がそのターゲットとして狙われている。
 「ブランディングの方向性」としては、「トップ校のみ重点的に引き上げる」「プレミアム・ブランド創設型」などが示され、外注化による「公立学校の質の差別化」=学校の格差化をそそのかしている。
 ■ 「公設民営」解禁に手ぐすね引く資本
 「公立学校における民間主体の関与方法」として6パターンを示している(下参照)。
公立学校における民間主体の関与方法
①特定の授業や部活を外注化する方式
②地域運営学校(コミュニティースクール)の委員として企業が参画する方式
③学校施設を学校法人に売却・貸与して私立学校として運営する「公私協力学校」方式
④自治体・民間が新たな学校法人を設立する方式
⑤私立学校や学習塾、コンサルティング会社らが教育行政自体に参画して学校管理や教員資質向上を進める方式
⑥(義務教育段階では認められていないので「参考」扱いだが)公立学校の管理運営を包括的に外部委託する方式

 公立学校に民間企業が関与することで「児童生徒の囲い込みが容易になり」、「公私協力学校方式で実質的に地域の公立小中学校を系列化することが可能です」というように、①の一部外注化も、丸ごと民営化の突破口として位置づけられている。
 ③④の「公私協力学校」方式の場合、教職員は一旦解雇・選別再雇用となる大阪市の職員基本条例や大阪府の分限条例の「民営化(事業譲渡・移管)による分限処分」条項は、こうしたケースを想定して盛り込まれたものだ。
 企業向けの資料では、アメリカで営利企業が運営する公立学校が急増していることを紹介して「今後、特区等で公立小中学校の管理運営の包括委託が可能になれば、民間主体にとって大きなビジネスチャンスになる」と強調している。民間企業は、学校の公設民営化解禁を手ぐすね引いて待ち構えている
 ■ 文科省も「創造的復興教育」で民営化推進
 要注意なのは、②の地域運営学校だ。政府の復興基本方針では「今後5年間でコミュニティースクールの数を全公立小中学校の1割に拡大する」という方針が打ち出されている。
 その主な狙いは、民間企業の参画による授業や補習の外注化推進にあることは間違いない。
 そして文部科学省は、第2期教育振興基本計画に「『創造的復興教育』の推進」という方針を盛り込もうとしている。
 「東北の地から未来型の教育モデルづくりを促進し、かつ全国に広げていく必要がある」というが、その柱がNPOや企業など「多様な主体による協働型の教育」だ。
 「創造的復興教育」の正体は、被災地を突破口に教育の民営化・外注化、教育労働者の非正規職化・ボランティア化を進める新自由主義攻撃だ。
 05年のハリケーン・カトリーナで壊滅的被害を受けたニューオーリンズ市は、復興特区として大資本に差し出され、公立学校の4分の3が民営化され、7千人の教員が解雇された。これを被災地から始めようとしているのだ。日本版「ショックドクトリン(惨事便乗型資本主義)」を許すわけにはいかない。
『教育労働者全国通信』第23号(2012年7月1日)

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