『尾形修一の教員免許更新制反対日記』から
◆ 更新制、文科省交渉の報告
第3回「日の丸・君が代」裁判全国学習・交流集会で行われた文部科学省交渉に行って来ました。様々な課題に関して交渉しましたが、僕は特に「教員免許更新制」に関する事項を取り上げると言うので参加した次第です。
事前に質問項目を提出していました。大項目を書いておくと、以下のようになります。
1.日の丸・君が代問題
2.大阪府・市条例関係
3.国際人権関係
4.教科書関係
5.教員免許更新制関係
文部省関係者は若手官僚ばかりで、デジカメを持って行ったんだけど写真を撮るまでもないかなと思いました。
最初、1や2は主に地方で起こっている問題を取り上げたこともあり、文科省と教育委員会の法的な権限問題のような答弁が多く、かみ合わないというか、論点がずれているというか、問題意識の差というべきか、答えになってないような感じでした。
まあ、東京都の「10.23通達」や大阪の教育関係の各条例に「問題意識」を持っていては文科省官僚をやっていられないかもしれませんが。
教員免許更新制に関しては、質問事項は資料として最後に載せますが、大きく言うと「被害救済問題」と「今後の制度設計問題」。今後の制度設計は中教審でも課題とされているところで、「10年研修」と「更新制」の二重負担問題などを問題として取り上げておきました。その課題は文科省として認識しているのは確認できました。
問題は「被害」。熊本で昨年度1名、東京で今年度4名の失職者が出ていることは、各教育委員会より報告を受けて承知しているとのことでした。失職という事態になることは、答弁者も公務員なので重大性は理解していると言ってました。防止策、救済策はできることがあるか検討しているとのことを言ってました。(僕は今後の制度設計はともかく、東京の失職者の「救済」が今は一番重要だと思っています。本人だけではなく、都教委や国にも責任があるのは明白だと思っているので。)
「3月31日に遡って失職」は法的に有効かという質問には、最初は有効と言ってましたが、「3.31には免許が有効なはずで、4月にならなければ失職しないはずではないか。3.31日付で失職と言う辞令は法的には無効なのではないか」と再質問したところ、「検討させてほしい」とのこと。
さらに「3.31に遡ることができるなら、1.31に遡って更新申請を受理することも可能なのではないか」との追加質問にも「検討させて欲しい」とのことでした。
その後、各県からの参加者から、更新制そのものの意義についてなど質問が相次ぎ、ある程度「更新制が教師の資質向上に役立っていない現状」を伝える機会になったのではないかと思っています。
時間のない中で「更新制そのものの持つ非教育的問題」はあまり触れることはできませんでしたが、少なくとも「失職を防げなかった制度上の欠陥」があるという問題意識は伝えられたと思います。
なお今回は敢えて触れませんでしたが、私立学校や管理職教員などに「全員調査」を文科省が行ったら、大変な実態がもっと明らかになると思っています。ただ教育現場を混乱させるのは本意ではないので、やれとは言いませんが。ただ公立学校の教員のみ細かく調査され失職につながったのは納得できない感じを持っています。以上、簡単な報告。
※教員免許更新制の関する事前質問は以下の通り。
『尾形修一の教員免許更新制反対日記』(2012年08月10日)
http://blog.goo.ne.jp/kurukuru2180/e/f983f0b8ea8bdba2e632e2e625202ed1
◆ 更新制、文科省交渉の報告
第3回「日の丸・君が代」裁判全国学習・交流集会で行われた文部科学省交渉に行って来ました。様々な課題に関して交渉しましたが、僕は特に「教員免許更新制」に関する事項を取り上げると言うので参加した次第です。
事前に質問項目を提出していました。大項目を書いておくと、以下のようになります。
1.日の丸・君が代問題
2.大阪府・市条例関係
3.国際人権関係
4.教科書関係
5.教員免許更新制関係
文部省関係者は若手官僚ばかりで、デジカメを持って行ったんだけど写真を撮るまでもないかなと思いました。
最初、1や2は主に地方で起こっている問題を取り上げたこともあり、文科省と教育委員会の法的な権限問題のような答弁が多く、かみ合わないというか、論点がずれているというか、問題意識の差というべきか、答えになってないような感じでした。
まあ、東京都の「10.23通達」や大阪の教育関係の各条例に「問題意識」を持っていては文科省官僚をやっていられないかもしれませんが。
教員免許更新制に関しては、質問事項は資料として最後に載せますが、大きく言うと「被害救済問題」と「今後の制度設計問題」。今後の制度設計は中教審でも課題とされているところで、「10年研修」と「更新制」の二重負担問題などを問題として取り上げておきました。その課題は文科省として認識しているのは確認できました。
問題は「被害」。熊本で昨年度1名、東京で今年度4名の失職者が出ていることは、各教育委員会より報告を受けて承知しているとのことでした。失職という事態になることは、答弁者も公務員なので重大性は理解していると言ってました。防止策、救済策はできることがあるか検討しているとのことを言ってました。(僕は今後の制度設計はともかく、東京の失職者の「救済」が今は一番重要だと思っています。本人だけではなく、都教委や国にも責任があるのは明白だと思っているので。)
「3月31日に遡って失職」は法的に有効かという質問には、最初は有効と言ってましたが、「3.31には免許が有効なはずで、4月にならなければ失職しないはずではないか。3.31日付で失職と言う辞令は法的には無効なのではないか」と再質問したところ、「検討させてほしい」とのこと。
さらに「3.31に遡ることができるなら、1.31に遡って更新申請を受理することも可能なのではないか」との追加質問にも「検討させて欲しい」とのことでした。
その後、各県からの参加者から、更新制そのものの意義についてなど質問が相次ぎ、ある程度「更新制が教師の資質向上に役立っていない現状」を伝える機会になったのではないかと思っています。
時間のない中で「更新制そのものの持つ非教育的問題」はあまり触れることはできませんでしたが、少なくとも「失職を防げなかった制度上の欠陥」があるという問題意識は伝えられたと思います。
なお今回は敢えて触れませんでしたが、私立学校や管理職教員などに「全員調査」を文科省が行ったら、大変な実態がもっと明らかになると思っています。ただ教育現場を混乱させるのは本意ではないので、やれとは言いませんが。ただ公立学校の教員のみ細かく調査され失職につながったのは納得できない感じを持っています。以上、簡単な報告。
※教員免許更新制の関する事前質問は以下の通り。
(1)被害実態と救済について
①教員免許更新制の実施以後、熊本県や東京都で「失職者」が出るなどの事態が生じていることを把握しているか?特に、東京都では実施2年目が終わった今年度途中で正規教員だけで4人(講師等を含めると7人)もの「失職者」が出ていることをどう考えるか?
②更新講習は終了しているものの更新手続きをしていないというだけで免許が失効し、失職につながるという現行制度は、あまりにも不利益が大きいと思うが、救済措置を考えるべきではないか?
③救済措置がない現状は、制度の欠陥というべき状態ではないか。再発防止策および今後の制度改正の方向性を示してほしい。
④年度途中で失職者が出た場合、東京都では「3月31日に遡って失職」という措置を取っているが、法的に問題はないか。その場合、本来は免許が失効していた教員が教えていた期間の学習活動はそのまま認められるのか?
(2)「10年研修」との関連性について
①2002年の教育公務員特例法改正により、いわゆる「10年研修」が制度化された。更新制導入後も「10年研修」は残されたため、若手教員には二重の負担になっている。これは現場の多忙化をもたらす要因の一つだと考えないか?
②今後も更新制が続行されるなら、「10年研修」を廃止または凍結する考えはないか?
(3)これからの免許制度の見直しについて
①教員免許制度の全面的再検討は、中教審の「教員の資質能力向上特別部会」のまとめも発表されたが、文科省として今後どのようにすすめる見通しを持っているか?
②教員免許制度の今後の在り方については、大学における教員養成のみならず学校現場にも大きく影響するものと思うが、教員の声を聞き生かしていく考えはあるか?
『尾形修一の教員免許更新制反対日記』(2012年08月10日)
http://blog.goo.ne.jp/kurukuru2180/e/f983f0b8ea8bdba2e632e2e625202ed1
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