パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

「日の丸・君が代」問題等全国ネットの形成へ<その6>(28)

2015年05月29日 | 日の丸・君が代関連ニュース
 <転送歓迎>(重複ご容赦)・「都教委包囲首都圏ネットワーク」・「新芽ML」の渡部です。
 ==================
  【僕、国歌歌わないもん】(石原慎太郎)
 ==================
  東京五輪に 【国旗も国歌も必要ない】(ビートたけし)
===================
  対米従属で「世界征服」を夢想するデマゴギー政治家安倍首相を倒そう!
 ======================


 本日(5月28日)東京高裁(須藤典明裁判長)で、▲ 河原井純子さん、根津公子さんに対する画期的な「逆転勝訴」判決(都教委の裁量権逸脱で違法、損害賠償も認める)が出されました。
 この裁判は、2007年3月の卒業式で「君が代」不起立により、河原井さんには3ヶ月、根津さんには6ヶ月の停職処分が出されたことに対し二人が訴えたものです。
 少し長くなりますか、以下、判決文からいくつかの要点を紹介します。

 まず、根津さん対してなされた「停職6月」が妥当かどうかについての高裁の判断です。
 「停職処分は、・・処分それ自体によって一定の期間における教員としての職務の停止及び給与の全額不支給という直接的な職務上及び給与上の大きな不利益を与える処分であって、将来の昇給等にも相応の影響が及ぶだけではなく、
 職員の懲戒に関する条例によれば、停職期間の上限は6月とされていて、停職期間を6月とする本件根津停職処分を科すことは、控訴人根津が更に同種の不起立行為を行った場合に残されている懲戒処分は免職だけであって、次は地方公務員である教員としての身分を失うおそれがあるとの警告を与えることとなり、その影響は、単に期間が倍になったという量的な問題にとどまるものではなく、身分喪失の可能性という著しい質的な違いを控訴人根津に対して意識させざるを得ないものであって、極めて大きな心理的圧力を加える結果になるものであるから、十分な根拠をもって慎重に行われなければならないものというべきである。
 そして、控訴人根津において過去に懲戒処分や文書訓告の対象となったいくつかの行為は、既に前回根津停職処分において考慮されている上、本件根津不起立は、以前に行われた掲揚された国旗を下ろすなどの積極的な式典の妨害行為ではなく、国歌斉唱の際に着席したという消極的な行為であって、気分を害した参加者がいることは否定できないものの、その限度にとどまるもので、特に式典が混乱したこともないから、
 停職期間3月という前回根津停職処分を更に加重しなければならない個別具体的な事情は見当たらないというべきであって、控訴人根津がこれまでにも同種の行為を繰り返していることを考慮したとしても、前回根津停職処分の3月の停職期間を超える処分を科すことを正当なものとすることはできないというべきである。」
 「以上によれば、本件根津停職処分において停職期間を6月とした都教委の判断は、具体的に行われた非違行為の内容や影響の程度等に鑑み、社会通念上、行為と処分との均衡を著しく失していて妥当性を欠くものであり、懲戒権者としての都教委に与えられている裁量権の合理的な範囲を逸脱してなされたものといわざるを得ず、違法なものというべきである。」
 以上のようにここでは「停職期間6月」は「違法なもの」として都教委は断罪されています。
 またこの中には「次は地方公務員である教員としての身分を失うおそれがあるとの警告を与えることとなり」とも述べられていますが、大阪の奥野さんへの<警告書>などはとんでもない大阪府教委の裁量権逸脱と言えるでしょう。
 次に、都教委の機械的な加重処分と思想信条の自由の問題が述べられている部分があります。
 「都教委は、・・・・国歌斉唱時に起立しなかった教職員に対して、職務命令違反として、1回目は戒告、2回目は給与1月10分の1を減ずる減給、3回目は給与6月の月額10分の1を減ずる減給、4回目は停職1月、5回目は停職3月、6回目は停職6月の各処分を行っており、このような機械的な運用は、もともと機械的に一律に加重処分して処分を行うことには慎重な検討をを要請していた本件国会審議答弁における各答弁内容や本件処分量定を定めた趣旨に反するものといわざるを得ない。
 しかも、このような学校における入学式、卒業式などの行事は毎年恒常的に行われる性質のものであって、しかも、通常であれば、各年に2回ずつ実施されるものであるから、仮に不起立に対して、・・戒告から減給、減給から停職へと機械的に一律にその処分を加重していくとすると、教職員は、2、3年間不起立を繰り返すだけで停職処分を受けることになってしまい、仮にその後にも不起立を繰り返すと、より長期間の停職処分を受け、ついには免職処分を受けることにならざるを得ない事態に至って、
 自己の歴史観や世界観を含む思想等により忠実であろうとする教員にとっては、自らの思想や信条を捨てるか、それとも教職員としての身分を捨てるかの二者択一の選択を迫られることになり、そのような事態は。もともとその者が地方公務員としての教職員という地位を自ら選択したものであることを考慮しても、日本国憲法が保障している個人としての思想及び良心の自由に対する実質的な侵害につながるものであり、相当ではないというべきである。」
 ここでは最後に、機械的な加重処分は、「日本国憲法が保障している個人としての思想及び良心の自由に対する実質的な侵害につながる」と述べています。
 要するに、都教委は(実質的に)憲法違反を犯していると述べているのです。
 また、田中聡史さんへの「再発防止研修」や大阪市の不起立3回で免職などという条例はまさに憲法違反と言えるでしょう。
 さらに損害賠償に関しては次のように述べている部分があります。

 「停職処分は、減給とは異なって、単に経済的な不利益があるだけではなく、一定の期間、その職務が停止されるという職務上の不利益を伴い、しかも、戒告や減給と比較すると、処分を受けたことが外部からも認識することができるものであることや、
 教員の場合は、停職期間中は教室等で授業をすることができず、教壇に立てないことによって、児童生徒との継続的な人格的触れ合いをすることもできなくなり、ひいては教育活動に欠かすことができない児童生徒との信頼関係の維持にも悪影響を及ぼすおそれがあり、長くなればなるほど影響も大きくなることを考えると、
 本件各処分を受けたことにより控訴人らは精神的な苦痛も受けているものというべきである。
 しかも、控訴人らは、本件各処分による停職期間経過後に復職しても、児童生徒との間で当然に信頼関係が回復されるわけではなく、控訴人らにおいて児童生徒との信頼関係を再構築して、再び円滑に人格的な接触を図ることができるようになるまでには、やはり精神的な苦痛を受け、相応の努力を要するものと考えられることなどの事情を総合的に考慮するならば、
 本件各処分によって控訴人らが被った上記のような精神的苦痛は、本件各処分が取り消されたことによって図られる財産的な損害の回復によって当然に慰謝されて回復することになるものではないというべきである。」
 「都教委において、控訴人河原井につき停職3ヶ月、控訴人根津につき停職6月としたことは、いずれも裁量権の合理的な範囲を逸脱したものとして違法というべきであり、そのような処分によって控訴人らが受けた精神的苦痛については損害賠償によって慰謝されるべきものと考えるが、・・(他方において職務命令には違反したとして)・・本件各処分によって控訴人らが被った精神的苦痛に対する慰謝料は、控訴人らそれぞれに対して10万円とするのが相当である。」
 ここでは、教育活動との関係において、「精神的苦痛」を認め、それは「財産的な損害の回復」だけでは慰謝されず、「慰謝料」を払うべきだと述べています。
 以上のように、今回の判決は、一方では確かに「職務命令」と原則的には「戒告」処分まで認め、かつ根津さんに関しては停職3ヶ月まで認めているのですが、内容的には河原井・根津さんらの大きな勝利と言って良いでしょう。
 この勝利判決を受けた報告集会で、河原井さんは、
 「すべての処分が取り消されないと完全勝利はない。しかし、一歩一歩階段を上っていると思っている。判決を生かさなければならない」と述べ、
 根津さんは、
 「まさかこんな判決が出るとは思わなかった。良かった。これで田中さんも救われる。『10・23通達』が根本から覆る、最高裁判決も覆る可能性がある」と述べました。
 二人には「河原井さん根津さんらの『君が代』解雇を許さない会」から、抵抗の「白バラ」が贈られました。
 全国の仲間のみなさん!
 日本が急速に「戦争する国」に向かおうとしている現在、今回の判決は私たちに<大きな希望と勇気>を与えてくれたと思います。
 また、「諦めず闘うことの大切さ」を教えてくれたと思います。
 <希望もて丘越え行けば花ざかり>です。
 ともに連帯して闘いを堅持して行きましょう!!

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 ▲ 「第5回『日の丸・君が代」問題等全国学習交流会」
 <日時>2015年8月2日(日) 10:00~16:00 (終了後銀座デモ)
           8月3日(月) 午前 文科省交渉(予定)
 <場所>日比谷図書館文化会館地下ホール
 <内容>学習・交流と講演
   講演「戦争する国は学校からーいま教育とファシズムを考える」
   講師:池田浩士さん(ドイツ文学者評論家京都大学名誉教授 ファシズム論の第一人者)
  10時開場10時20分開会
  昼食休憩後13時30分午後の部17時デモ行進
 <資料代>500円
 <主催>「日の丸・君が代」問題等全国学習交流集会実行委員会
       「日の丸・君が代」強制反対予防訴訟をひきつぐ会 再雇用拒否撤回第二次訴訟団 「君が代」不当処分撤回を求める会 河原井さん・根津さんらの「君が代」解雇をさせない会 東京都障害児学校労働組合 アイム’89東京教育労働組合 多摩島しょ地区教職員組合 「日の丸・君が代」強制に反対し子どもと教育を守る会 東京教育の自由裁判をすすめる会 板橋高校卒業式事件から「表現の自由」をめざす会 「日の丸・君が代」の法制化と強制に反対する神奈川の会 個人情報保護条例を活かす会(神奈川) 許すな!「日の丸・君が代」強制止めよう!安倍政権の改憲・教育破壊全国ネットワーク(準備会) 東京「君が代」強制解雇裁判をひきつぐ会 都教委包囲首都圏ネット 千葉高教組「日の丸・君が代」対策委員会 
 連絡先:永井(090-7015-3344)


 ※地図の入ったチラシが以下をクリックすると見られます。
http://homepage2.nifty.com/kaikosasenaikai/image/zenkokusyuukai20150802-03.pdf
*********************************************************
「都教委包囲首都圏ネットワーク」のブログのアドレス
  http://houinet.blogspot.jp/
「千葉高教組『日の丸・君が代』対策委員会」のホームページ
 http://homepage3.nifty.com/hinokimi/

コメント    この記事についてブログを書く
« 恩師の嘆き「アベ君の歴史と... | トップ | 処分撤回を求めて(355) »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日の丸・君が代関連ニュース」カテゴリの最新記事