◆ 人間は自然の一部だ (東京新聞【本音のコラム】)
たまたま、生命誌研究者・中村桂子さんの講演を聞く機会があった。
「地球上の全生物は祖先を一つにする仲間であり人間(ヒト)もその中に含まれる」
「現存の生物はすべて三八億年の歴史をもつ」
「人間は生き物であり、自然の一部である」
長い時間と多様な生き物たち。この広い視野から、わたしは自分を見直すことはなかった。「万物の霊長」などと威張り、自然を征服するなどといって、破壊してきたのが人間の歴史だ。
微細な生き物への愛(いと)おしい視線が石牟礼道子さんの作品と重なる。
早速、『中村桂子コレクションⅢかわる』を入手した。
「傍若無生物」という言葉があった。
「傍若無一人」のように、ほかの生き物にたいして、勝手に振る舞う行為は自然という仲間を失う。
原発事故、新型コロナ、二酸化炭素の増大などの元兇(げんきょう)だ。
「原発は絶対安全」「原発では事故が起きない」。
なぜこの技術だけが決して事故が起きない、といい切ってきたのか。
科学者、技術者が自分も生活者としての視点で、自分が関わる科学や技術を評価せず、被害者のことを考えていなかった。
効率一辺倒は、生きものには合わない。
生きるということは過程そのものであり、結果だけを求めることは、いのちをないがしろにすることにつながる。
いま、差し迫った状況だからこそ、中村さんの主張が耳に入りやすい。
『東京新聞』(2021年4月27日【本音のコラム】)
鎌田 慧(かまたさとし・ルポライター)
たまたま、生命誌研究者・中村桂子さんの講演を聞く機会があった。
「地球上の全生物は祖先を一つにする仲間であり人間(ヒト)もその中に含まれる」
「現存の生物はすべて三八億年の歴史をもつ」
「人間は生き物であり、自然の一部である」
長い時間と多様な生き物たち。この広い視野から、わたしは自分を見直すことはなかった。「万物の霊長」などと威張り、自然を征服するなどといって、破壊してきたのが人間の歴史だ。
微細な生き物への愛(いと)おしい視線が石牟礼道子さんの作品と重なる。
早速、『中村桂子コレクションⅢかわる』を入手した。
「傍若無生物」という言葉があった。
「傍若無一人」のように、ほかの生き物にたいして、勝手に振る舞う行為は自然という仲間を失う。
原発事故、新型コロナ、二酸化炭素の増大などの元兇(げんきょう)だ。
「原発は絶対安全」「原発では事故が起きない」。
なぜこの技術だけが決して事故が起きない、といい切ってきたのか。
科学者、技術者が自分も生活者としての視点で、自分が関わる科学や技術を評価せず、被害者のことを考えていなかった。
効率一辺倒は、生きものには合わない。
生きるということは過程そのものであり、結果だけを求めることは、いのちをないがしろにすることにつながる。
いま、差し迫った状況だからこそ、中村さんの主張が耳に入りやすい。
『東京新聞』(2021年4月27日【本音のコラム】)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます