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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

都立高で税金による宿泊自衛隊入隊勧誘

2014年09月13日 | 暴走する都教委
 ◆ 学校を戦場の入口にさせない
   ~都教委の高校生“自衛隊訓練”に住民監査請求

永野厚男(教育ライター)

 本誌4月号で詳述した通り、東京都教育委員会は防災教育推進校に指定した都立高校からピックアツプし、2013年度から自衛隊駐屯地内での2泊3日の“宿泊防災訓練”を強制している。これに対し、「自衛隊をウオッチする市民の会」の60人が7月25日、支出した費用の返還など必要な措置を勧告するよう求める住民監査請求書を都監査委員会に提出した。
 都教委は12年度から定時制などを除く179の全都立高校に“宿泊防災訓練”を強制。連携先のーつに「自衛隊東京地労協力本部」を明示した(【注1】参照)ため、同年度から数校の校長が校内(体育館等)で行う1泊2日の“宿泊防災訓練”に自衛隊を招いている。
 そして都教委と都立田無工業高校の池上信幸校長(都教委“防災教育”担当統括指導主事から昇任)の主導で、13年7月26日から陸上自衝隊朝霞駝屯地での2泊3日の“宿泊防災訓練”を強行した(【注2】参照)。
 監査請求書提出後の記者会見と報告会で、稲田和敏弁護士は「参加させられた生徒(ラグビー部などの34人)や引率教員の往復バス代・食費・宿泊費等や、都教委高校教育指導課の(江本敏男課長含む)8名の職員の費用はすべて税金。池上佼長名の申込書は“隊内生活体駿”と明記。体験入隊自体が自衛隊の広報活動の一環であり,地方財政法や自衛隊法に照らして、都がその費用を負担して行うものではなく、不当かつ違法である。高校生の入隊勧誘であり、学校を戦場の入口にさせないという思いで提出した」と述べた。
 “訓練”2日目の13年7月27日、早朝から監視活動をしていた坂本茂さんは「扇風機1台しかない隊舎で寝不足の生徒を自衛隊は、朝5時に非常呼集。着隊式・離隊式では隊員が敬礼を披露。隊舎への移動も行進訓練で、隊員が『気を付け。回れー右』など号令をかけていたが、これでぱ実際の災害時は逃げ遅れてしまう」と、“防災”名目の軍事訓線の実態を暴露。
 坂本さんは続けて「朝霞駐屯地では07年11月、上官から顔を殴られるなどの暴行を受けた陸上自衛隊新人男性2士(当時19歳)が飛び降り自殺した。今年5月にも女性隊員(33歳)が飛び降り自殺しており、教育の場として相応しくない」と語った。
 都教委は今年2月、江東区の都の体育館で田無工業高校の2年生ほぼ全員の148人対象に迷彩服戦闘服等隊員13名らによる2泊3日の“訓練”を行った(【注3】参照)のに続き、11月には都立大島高校の2年生全員に陸上自衛隊武山駐屯地(神奈川県横須賀市)での“訓練”を行うとしており、今回の監査請求が歯止めにつながるか、が注目される。
 なお、朝霞駐屯地での自殺事件は他にも少なからず発生しているが、07年事件は両親が起こした訴訟で、前橋地裁(大野和明裁判長)が13年10月、国に220方円の支払いを命じる判決を出している。
 
【注1】自衛隊連携“訓練”の端緒を開いたのは,石原慎太郎都知事(当時)。“教育再生・東京円卓良い議”第1回会合(11年11月16日)で、「商社に入っても『海外出張は嫌だ』とか,そんな人間が出てくるとどうしようもない。そういうものの是正や立て直しには、私は今度…高校卒業後、韓国のまねではないが、兵役か警察か消防に2年間ぐらい強制的に行ったらどうだと言ったんです」と放言した。猪瀬直樹副知事(当時)も同調。これを受け都教委は、12年2月に策定した『都立高校改革推進計画第一次計画』で、“宿泊防災訓練”の連携先に消防や警察、大学、研究所等の他、自衛隊を明示した。
【注2】13年11月27日の都議会文教委員会で、野党議員に自衛隊連携“訓練”を行う根拠法令を問われた都教委の金子一彦指導部長は、「防衛に関する知識の普及及び宣伝を行う」と規定した防衛省設置法第4条17号に基づき実施した、と答弁。さらに「防衛の中に防災が含まれる」という苦し紛れの見解も示した。
【注3】報道には非公開の“訓練”初日、自衛隊東京地方協力本部渉外広報室長の瀧澤健二・三等陸佐が講話で使用したパワーポイント(坂本さんが情報公開で入手)は、「機関銃を手に、鉄兜・迷彩戦闘服で突撃する自衛隊員らの写真」が7枚もある。“防災”とは名ばかりだ。
『マスコミ市民』(2014年9月号)

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