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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

産経新聞のコラムに沿った教科書選定を都教委が指示

2013年01月10日 | 暴走する都教委
  月刊誌『創』2012年12月号から転載
 ◆ 「一部自治体で君が代強制」言及の教科書~教育委員会の圧力で採択ゼロに
永野厚男(教育ライター)

 高校教科書の採択は専門性の高さや生徒の多様化から、学校が選定した教科書が教育委員会の会議でそのまま採択されてきた。これは戦後半世紀超続いていたが今夏、東京と横浜で大異変が生じた。
 実教出版発行の旧教育課程用の『高校日本史A』教科書(以下、旧『日A』)は、「国旗国歌法」に関し、「国民に国旗掲揚、国歌斉唱などを強制するものではないことを国会審議で明らかにした」などと、「政府答弁」を中心に記述。
 13年度新1年生から使用される、同社発行の『高校日本史A』教科書(以下、新『日A』)は、これに「しかし、一部の自治体で公務員への強制の動きがある」と加筆し、文科省の検定に合格した。
 現在、1~3年(定時制は4年)までのいずれかの学年で、旧『日A』を使用している都立高校は28校。うち、1年生は6校が使用している(28校の内訳は、「1年だけ使用」「1年で必修、3年も選択で使用等、複数学年が使用」など、多様)。
 東京都教育委員会が8月23日の定例会で、13年度使用都立高校用教科書の採択を決定した際、公表した採択結果によると、この旧『日A』を13年度の2年生以上で採択するのは29校と、ほぼ横ばい。だが13年度新1年生用の新『日A』の採択は、ゼロにされた。なぜ6校がゼロに? この経緯を取材した。
 都立高校で使用する教科書は、各出版社から送られる見本本を、各校の教科担当教員が調査研究し一社に選定。調査票に出版社名等と選定理由を記入し、教科書選定委員会(委員は校長と各教科代表ら)に提出。同委員会は調査票記入事項をそのまま選定理由書に記載し、都教委事務局(指導部)に提出する。そして都教委指導部による集計後、教育委員会の会議(木村孟委員長)に報告され、6名の教育委員が報告通り全校一括採択する、というシステムだった。
 だが今年は、4月頃の校長らの会合で、都教委高校教育指導課(以下、高指課)の増渕達夫課長(54歳)が「新聞記事に留意し教科書選定理由をきちんと説明できるように」と述べた際、新『日A』の”日の君”記述を非難する4月13日付『産経新聞』の「おかしな教科書検定」と題する「編集委員・安藤慶太」名の記事だけ紹介。
 この続きは9月11日、「子どもと教科書ネット」が都内で開いた緊急集会で、都立高校のA教員が「高指課が校長らに電話で圧力をかけ続けた執拗さと学校現場の混乱」を、以下の通り暴いた。
 ◆高指課が6月下旬、「新『日A』は、都教委の教育方針と合わないので注意してほしい」1回目の電話。その後、地理歴史科教員と管理職(校長・副校長)とで「都教委が問題視するのは”日の君”問題だろうが、全体的に他社に勝っており、新『日A』を選定する」と合意した。
 ◆7月13日頃、高指課が2回目の電話。校長は「新『日A』は全体として使い易いと判断した」と回答。
 ◆7月18日、高指課が3回目の電話。校長が教員らに「新『日A』を選定しても、都教委が不採択にすると面倒になる。代りの教科書を考えてもらいたい」と発言。だが教員側と管理職が一緒に全4社の教科書を読み比べると、副校長が「一長一短あるが、新『日A』が学習し易い」と認めてくれ、変更しなかった。
 ◆7月19日、高指課からの4回目の電話後、校長は「都教委で不採択になると学校が混乱する。変えてもらえないか」と提案。教員側は「教科として自主規制する考えはないが、校長の指示・判断であれば、従わざるを得ない」と答えざるを得なかった。
 緊急集会ではB教員も、関連し「高指課からの電話は『変えないとマスコミに騒がれる』等、脅迫めいたものもあるのに、増渕氏は『情報提供だ。誘導はしていない』とうそぶいている」「校長も『私も変えたくないが、結果的に変えざるを得なくなり残念』と言っていた」などと告発した。
 ある都民が8月23日、「現在旧『日A』を使用している都立高校の、13年度使用日本史Aの調査票」を情報公開請求したところ、都教委は通常2週間で(9月6日まで)開示しなければならないのに、延長を重ねた末、10月9日付の非開示決定通知書を郵送してきた。非開示理由は「情報公開条例第7条5号の『都の機関内部における審議、検討又は協議に関する情報であって、公にすることにより、率直な意見交換、意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ・・・がある』ため」だと言う。
 都教委は一方で、「選定理由書は出す」と言うが、新『日A』以外の教科書に書き換えた選定理由書だけを見ても無意味。増渕氏ら高指課による実教出版への営業妨害、教育への不当な介入を暴くには、書き換え前の調査票を出させ比較することが必須だ。都民は近く都教委に異議申立てをする、と語る。
 この新『日A』と旧版『高校日本史B』(以下『日B』。13年度2年生以上が使用)は、「日本の侵略加害の事実を記述する教科書を『自虐的』と非難する立場の人々が執筆した教科書が現れたことなどに対して、アジア諸国からも強い批判が起こった。・・・この教科書の採択をめぐって大きな市民運動がおこった」とも記述。
 横浜市立高校の教科書は、「各校の校長が市教委の教科書取扱審議会に提出した報告書に基づき、審議会事務方の幹事が答申案(素案)を出し、審議会で答申を確定する」システムだ。幹事の三嶽昌幸・市教委首席指導主事は今夏、報告書に新『日A』と『日B』を書いた4校を山川出版に書き換え、そのまま採択させた。これは同市立中学で採用している「つくる会」系教科書を意識した不当介入だ。
 参考に
  →都教委による『高校日本史A』教科書採択妨害事件を明らかにする集会が、1月19日(土)夜6時半から、中野ゼロ西館小ホール(中央線等・中野駅南口徒歩約7分)であります。

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