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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

☆ 自民党プロジェクトチーム案に依拠した学術会議つぶしの「方針」の撤回を要求

2023年01月16日 | 平和憲法

  【声明】
 ☆ 日本学術会議つぶしを阻止し、平和と学問の自由を擁護しよう

安全保障関連法に反対する学者の会

 日本学術会議は、2022年12月8日および21日に臨時総会を開催し、12月6日および21日に内閣府が示した「日本学術会議の在り方についての方針」とその「具体化検討案」の説明をうけ、審議検討を行いました。
 総会は、同方針が日本学術会議の職務の独立性およびその保障としての会員選考の自主性に照らして疑義があり、「日本学術会議の存在意義の根幹」に関わるとして、政府に再考を求める声明を採択しました。
 私たち安全保障関連法に反対する学者の会は、この声明に賛同し、以下のように意見を表明いたします。

 2020年10月、菅前首相が第25期会員候補者6名の任命を拒否したことに対して、私たちはこの措置が日本学術会議法に反して違法・不当であることを批判し、同措置の明確な説明と6名の即時の任命を要求しました(10月14日抗議声明)
 さらに岸田内閣の発足に際しても政権に同じ要求を行いました(2021年10月1日声明)
 この間、政府は、世論によって任命拒否が大きく批判されるなか、逆にこれを利用して学術会議の改革を言い出し、2020年12月に自民党プロジェクトチームは、学術会議を国の機関から民間の法人に変更するなどの改革案を発表します。
 これに対して、学術会議は、日本学術会議法が保障し、かつ、国際的にも承認されるナショナル・アカデミーとしての5条件の維持を大前提とする改革案を提示し、すでに自主的な運営の改善を進めてきました。

 今回の内閣府の方針(以下「方針」)は、学術会議改革の改正法案を今月開会される2023年通常国会中に提出すると宣告し、具体案を示しています。
 その内容は、学術会議の自主改革案を考慮せず、これまでの対話や合意も無視し、「国家機関としての存置」を認めつつも、それ以外は自民党プロジェクトチーム案の内容を盛り込むものとなっており、実質的に「存置」の意義を失わせるものです。
 さらには、法改正後3年ないし6年後のフォローアップによって「存置」そのものを見直すことも明らかにしています。
 「方針」は、任命制度の「適正・円滑化」を言い、あたかも6名の任命拒否は適正だったかのごとく構えていますが、任命拒否の違法性・不当性は揺るぎません
 そのうえ、会員選考のすべてに関し拘束力ある意思を表明できる第三者委員会の設置など、学術会議による会員選考の自主性をふみにじる案を示しています。
 あまつさえ、学術会議によって本年秋の改選のため次期会員選考手続が、現行制度のもとですでに開始しているにもかかわらず、1年半ほどの会員の任期延長措置によって次期会員選考を新制度で行うことを断言しています。問答無用の対応としかいいようがありません。

 「方針」は、科学的助言機関である学術会議の組織と活動のあり方につき、法改正のために様々な具体的な方策を提示していますが、そこでは「政府等と問題意識や時間軸等を共有」することが強調されています。
 法によって保障された学術会議の職務の独立性は、助言の前提である「問題意識や時間軸等」が自主的に科学的見地により形成されることが当然であり、国際的に認められた本質的なことがらです。にもかかわらず、「方針」はこれを無視しています。
 「方針」の種々の改革方策の狙いが、政府と問題意識や時間軸等を「共有する」との名目で、その実、時々の政府の意向を忖度し追従する政府に使い勝手のよい科学者組織への変質であることは、まったく明白です。

 おりしも、岸田政権は、12月16日「安保3文書」の閣議決定によって、「抑止力」たる「反撃能力」と称して敵基地攻撃能力の拡大強化を防衛力整備の核心とし、増税や軍事国債を財源とする防衛費倍増の計画を決定しました。
 日本は、これにより専守防衛をこえて他国領域攻撃の軍事力を常備し、同時に防衛費について米中につづく軍事大国となります。
 国家安全保障戦略は、「強化すべき国内基盤」に「知的基盤」をあげ、政府と企業・学術界との実践的な連携強化を指示しており、軍需産業の振興とそのための科学技術の動員、軍事研究の推進は主要課題とされます。
 憲法9条の平和主義は、安倍政権による集団的自衛権の制度化に続いて決定的な危機に直面しています。

 日本学術会議は、日本の科学者の代表機関として創設以来、平和と学問の自由を擁護し、軍事研究を否定してきました。
 直近では、2017年3月「軍事的安全保障研究に関する声明」がこれを示しています。
 学術会議のこうした基本的立場は、岸田政権による「安保政策の大転換」と相いれません。
 「方針」は、まさに「大転換」に適合的な科学者組織に学術会議を改造することを狙いとし、そのような意味で学術会議つぶしを企図するものといわなくてはなりません。

 私たちは、岸田首相に対して、6名をただちに任命し日本学術会議との関係を正常化すること、同時に自民党プロジェクトチーム案に依拠した学術会議つぶしの「方針」の撤回を要求します。
 学術会議改革は、学術会議の自主改革を基本にして、広く国民との対話、そして政府との協議によって進めるべきです。
 安全保障関連法に反対する学者の会は、平和と学問の自由のために、市民とともに、安保3文書の実現を許さない運動を急速に大きくひろげ、学術会議つぶしの法案が国会に提出されるようなことになれば、これを断固阻止する闘いを進める決意です。

2023年1月14日

※安全保障関連法に反対する学者の会・呼びかけ人有志

青井未帆(学習院大学教授法学)、浅倉むつ子(早稲田大学名誉教授法学)、淡路剛久(立教大学名誉教授・弁護士民法・環境法)、
池内了(名古屋大学名誉教授宇宙物理学)、石田英敬(東京大学名誉教授記号学・メディア論)、市野川容孝(東京大学教授社会学)、
伊藤誠(東京大学名誉教授経済学)、上田誠也(東京大学名誉教授地球物理学/日本学士院会員)、上野健爾(京都大学名誉教授数学)、
上野千鶴子(東京大学名誉教授社会学)、鵜飼哲(一橋大学名誉教授フランス文学・フランス思想)、内田樹(神戸女学院大学名誉教授哲学)、
内海愛子(恵泉女学園大学名誉教授日本一アジア関係論)、大沢真理(東京大学名誉教授社会政策)、岡野八代(同志社大学教授西洋政治思想史・フェミニズム理論)、
小熊英二(慶應義塾大学教授歴史社会学)、戒能通厚(早稲田大学名誉教授法学)、加藤節(成践大学名誉教授政治哲学)、
金子勝(立教大学特任教授財政学)、川本隆史(国際基督教大学特任教授社会倫理学)、君島東彦(立命館大学教授憲法学・平和学)、
久保亨(信州大学特任教授歴史学)、栗原彬(立教大学名誉教授政治社会学)、小林節(慶磨義塾大学名誉教授憲法学)、
小森陽一(東京大学名誉教授日本近代文学)、齊藤純一(早稲田大学教授政治学)、酒井啓子(千葉大学教授イラク政治研究)、
佐藤学(東京大学名誉教授教育学)、島薗進(上智大学特任教授宗教学)、杉田敦(法政大学教授政治学)、
高橋哲哉(東京大学名誉教授哲学)、高山佳奈子(京都大学教授法学)、千葉眞(国際基督教大学名誉教授政治思想)、
中塚明(奈良女子大学名誉教授日本近代史)、永田和宏(京都大学名誉教授・京都産業大学名誉教授細胞生物学)、中野晃一(上智大学教授政治学)、
西崎文子(東京大学名誉教授歴史学)、西谷修(東京外国語大学名誉教授哲学・思想史)、野田正彰(精神病理学者精神病理学)、
浜矩子(同志社大学教授国際経済)、樋口陽一(憲法学者法学/日本学士院会員)、広田照幸(日本大学教授教育学)、
広渡清吾(東京大学名誉教授法学/日本学術会議元会長)、堀尾輝久(東京大学名誉教授教育学)、間宮陽介(京都大学名誉教授経済学)、
三島憲一(大阪大学名誉教授哲学・思想史)、水島朝穂(早稲田大学教授憲法学)、水野和夫(法政大学教授経済学)、
宮本憲一(大阪市立大学名誉教授滋賀大学名誉教授経済学)、宮本久雄(東京大学名誉教授・純心大学教授哲学)、山口二郎(法政大学教授政治学)、
山室信一(京都大学名誉教授政治学)、横湯園子(中央大学元教授、北海道大学元教授臨床心理学)、吉田裕(一橋大学名誉教授日本史)、
鷲谷いつみ(東京大学名誉教授保全生態学)、渡辺治(一橋大学名誉教授政治学・憲法学)、和田春樹(東京大学名誉教授歴史学)、

 


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