◆ 関西生コン支部弾圧の違法性
国連人権理事会恣意的拘禁作業部会へ申入れ (週刊新社会)
私たち生コン支部を支援する会(鎌田慧、佐高信、宮里邦雄、海渡雄一、内田雅敏、藤本泰成、菊池進、勝島一博)は、生コン支部事件で長期勾留されている6名の被告人に対する拘禁が自由権規約9条が禁止する恣意的拘禁に当たるとして恣意的拘禁作業部会に申し立てを行った。
恣意的拘禁作業部会は、国連人権理事会のもとに置かれた機関で、国連加盟国の市民が、人権侵害と自由権規約9条が禁止している恣意的な拘禁を受けたと考える場合に、個別ケースについて申し立てを行うことができ、政府からも意見を聞いた上で、恣意的な拘禁に当たると考えられる場合には、改善のための勧告を行うという制度である。
自由権規約9条1項は、「すべての者は、身体の自由及び安全についての権利を有する。何人も、恣意的に逮捕され又は抑留されない。何人も、法律で定める理由及び手続によらない限り、その自由を奪われない」と定めている。
国連の人権理事会は、恣意的な拘禁には、法的な根拠を欠く違法拘禁、政治弾圧ケース、公正な裁判が保障されない場合、審査抜きの長期行政拘禁、差別的拘禁の5類型が含まれると定めている。
◆ 労働活動抑圧の目的
生コン支部に対する一連の刑事事件、組合員に対する刑事拘禁は、労働組合活動に対する抑圧を目的としている。犯罪とされている行為のすべては労働組合の活動であり、コンプライアンス活動、争議現場におけるビラ配布などの活動が対象とされている。労働争議中に、組合員でない者が操業のために運転する車両の横に立ち、争議行為への協力を求めた行為までもが威力とされている。
警察は、捜査の過程で、組合員とその家族に対して、労働組合からの脱退を求めており、脱退した者は、その後は逮捕されない。労働組合の破壊が目的であることは明らかだ。
申立書では、組合員のSさんが腰痛の痛みにもかかわらず、長時間の取り調べを継続されたことなどにも言及した。
自由権規約9条3項は、被疑者の速やかな裁判官への引致、勾留は裁判への出頭の確保のためにのみ認められることを定めている。
日本の刑事手続きでは、裁判官の勾留決定後も被疑者を警察に拘禁し、取調を続けることができるが、この代用監獄は9条3項に反し、被拘禁者に対する警察拘禁は48時間以内に制限されるべきであるとされている。
日本では、一つの刑事事件について23日間に及ぶ起訴前勾留が可能であり、この期間を通して朝から晩まで捜査機関(警察・検察官)による取調が強制される。
そして、事件を細分化すれば、このプロセスを繰り返し、取調期間を次々に延長していくことが可能である。
また、起訴前の保釈制度もなく、「罪証隠滅のおそれがあること」が、保釈の拒否の理由とされている。
組合幹部らについては、多くの者たちが、共謀についての罪証隠滅の恐れを理由に保釈を拒否され、今も拘禁が継続されている。不必要に長期の拘禁が行われている。
◆ 「威力」「共謀」曖昧な概念
威力業務妨害罪における「威力」や共犯者訴追の根拠とされる「共謀」の概念は、曖昧かつ広範に過ぎ、法的根拠が欠けていることも主張した。
対象者の訴追の根拠とされる威力業務妨害罪(刑法234条)の構成要件は「威力を用いて人の業務を妨害した者」とされている。
長期勾留されている組合幹部は事件現場には臨場しておらず、いずれも「共謀共同正犯」として責任を問われている。
このような「威力」、「共謀」などの概念は、いずれもきわめて曖昧で、広汎な概念であり、このような事実がないことを証明することには大きな困難が伴う。
このような拘禁は、法的根拠のない拘禁に当たりうる。
◆ 早期の国連の勧告を求める
私たちは、生コン支部に対する刑事弾圧と拘禁の継続は、自由権規約9条に反するとして、7月に国連への申し立てを行った。
ワーキンググループは、政府に反論を求め、必要があれば、当方に追加情報の提供が求められるという。
申し立てに理由があると認められれば、勧告が発せられる。
手続きの進行経過は申立人側にはよくわからないようであるが、政府側からは、生コン支部への偏見を煽るような情報も提出される可能性がある。
必要と思われる裁判状況などの情報を追加で提出するなど、早期の勧告が得られるように努力していきたい。
『週刊新社会』(2019年9月24日)
国連人権理事会恣意的拘禁作業部会へ申入れ (週刊新社会)
生コン支部を支援する会・弁護士 海渡雄一(かいど・ゆういち)
私たち生コン支部を支援する会(鎌田慧、佐高信、宮里邦雄、海渡雄一、内田雅敏、藤本泰成、菊池進、勝島一博)は、生コン支部事件で長期勾留されている6名の被告人に対する拘禁が自由権規約9条が禁止する恣意的拘禁に当たるとして恣意的拘禁作業部会に申し立てを行った。
恣意的拘禁作業部会は、国連人権理事会のもとに置かれた機関で、国連加盟国の市民が、人権侵害と自由権規約9条が禁止している恣意的な拘禁を受けたと考える場合に、個別ケースについて申し立てを行うことができ、政府からも意見を聞いた上で、恣意的な拘禁に当たると考えられる場合には、改善のための勧告を行うという制度である。
自由権規約9条1項は、「すべての者は、身体の自由及び安全についての権利を有する。何人も、恣意的に逮捕され又は抑留されない。何人も、法律で定める理由及び手続によらない限り、その自由を奪われない」と定めている。
国連の人権理事会は、恣意的な拘禁には、法的な根拠を欠く違法拘禁、政治弾圧ケース、公正な裁判が保障されない場合、審査抜きの長期行政拘禁、差別的拘禁の5類型が含まれると定めている。
◆ 労働活動抑圧の目的
生コン支部に対する一連の刑事事件、組合員に対する刑事拘禁は、労働組合活動に対する抑圧を目的としている。犯罪とされている行為のすべては労働組合の活動であり、コンプライアンス活動、争議現場におけるビラ配布などの活動が対象とされている。労働争議中に、組合員でない者が操業のために運転する車両の横に立ち、争議行為への協力を求めた行為までもが威力とされている。
警察は、捜査の過程で、組合員とその家族に対して、労働組合からの脱退を求めており、脱退した者は、その後は逮捕されない。労働組合の破壊が目的であることは明らかだ。
申立書では、組合員のSさんが腰痛の痛みにもかかわらず、長時間の取り調べを継続されたことなどにも言及した。
自由権規約9条3項は、被疑者の速やかな裁判官への引致、勾留は裁判への出頭の確保のためにのみ認められることを定めている。
日本の刑事手続きでは、裁判官の勾留決定後も被疑者を警察に拘禁し、取調を続けることができるが、この代用監獄は9条3項に反し、被拘禁者に対する警察拘禁は48時間以内に制限されるべきであるとされている。
日本では、一つの刑事事件について23日間に及ぶ起訴前勾留が可能であり、この期間を通して朝から晩まで捜査機関(警察・検察官)による取調が強制される。
そして、事件を細分化すれば、このプロセスを繰り返し、取調期間を次々に延長していくことが可能である。
また、起訴前の保釈制度もなく、「罪証隠滅のおそれがあること」が、保釈の拒否の理由とされている。
組合幹部らについては、多くの者たちが、共謀についての罪証隠滅の恐れを理由に保釈を拒否され、今も拘禁が継続されている。不必要に長期の拘禁が行われている。
◆ 「威力」「共謀」曖昧な概念
威力業務妨害罪における「威力」や共犯者訴追の根拠とされる「共謀」の概念は、曖昧かつ広範に過ぎ、法的根拠が欠けていることも主張した。
対象者の訴追の根拠とされる威力業務妨害罪(刑法234条)の構成要件は「威力を用いて人の業務を妨害した者」とされている。
長期勾留されている組合幹部は事件現場には臨場しておらず、いずれも「共謀共同正犯」として責任を問われている。
このような「威力」、「共謀」などの概念は、いずれもきわめて曖昧で、広汎な概念であり、このような事実がないことを証明することには大きな困難が伴う。
このような拘禁は、法的根拠のない拘禁に当たりうる。
◆ 早期の国連の勧告を求める
私たちは、生コン支部に対する刑事弾圧と拘禁の継続は、自由権規約9条に反するとして、7月に国連への申し立てを行った。
ワーキンググループは、政府に反論を求め、必要があれば、当方に追加情報の提供が求められるという。
申し立てに理由があると認められれば、勧告が発せられる。
手続きの進行経過は申立人側にはよくわからないようであるが、政府側からは、生コン支部への偏見を煽るような情報も提出される可能性がある。
必要と思われる裁判状況などの情報を追加で提出するなど、早期の勧告が得られるように努力していきたい。
『週刊新社会』(2019年9月24日)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます