=立川テント村通信=
☆ 朝雲レポート(2/2~3/16号)
★トップ記事は「空自 偵察航空隊を新編」。三沢基地でグローバルホーク3機による無人機専門部隊の運用を開始する。
しかし、購入したのはセンサーが古い旧型ブロック30だという。それでもグローバルホーク3機で630億円、年間の維持費は100億円もかかるという高価な兵器だ。
米国の言いなりになって、売れ残り兵器の在庫整理をやっているのが自衛隊ではないかという批判が保守系の軍事評論家からも出ていたはずで、計画見直しの動きもあったはずだが。(2月2日)
★コラム「春夏秋冬」は「ブティックと私」と軍事と関係無さそうな表題。書いているのはコシノジユンコ。
たまにこういう誰もが知る有名人が「朝雲」に登場するのだが、ファッションデザイナーらしく「日本でブティックと言う言葉を最初に使ったのは私」など内容は軍事と全然縁がないコラムだった。
その後の号のコラムでもファッションの話ばかりだったが、人寄せパンダの役割で書いてもらっているのだろうか。(2月2日)
★「朝雲寸言」では少子化対策の話。子供が減れば国防も危ういと言うが、自衛隊がいつも定員割れでやめる人が多い理由は考えないらしい。(2月2日)
★1面に「防衛費11年連続増」の大見出しが踊る。グラフも載っているが、この11年ずつと増え続けているのは確かだが、昨年度から今年度にかけては急増。一気に一兆四千億円も増えているのだ。増税だけでまかなえるかどうかも怪しい。コロナ対策だけでも大変だったのに、政治家の頭は戦争のことでいっぱいらしい。(2月9日)
★「時の焦点」では、政治評論家の藤原志郎が来日したイェンス・ストルテンベルグNATO事務総長と岸田首相が会見したことについて触れる。両者の会談は5年ぶりだそうだが、「対中露で連携を強めろ」と勇ましい。「力による現状変更を認められない」とは戦争のことだろうが、ベトナム戦争やイラク戦争でも同じことを言うべきだったのでは?(2月9日)
★コラム「春夏秋冬」でも慶応大准教授の鶴岡路人がNATO事務総長が慶応大で講演を行ったことについて書いている。
学生から「NATOの拡大がウクライナ戦争につながったのでは?」という質問が出た。当然の質問と思うが、事務総長は「危険な考え方だ。小国の選択肢を大国が決め、気に入らなければ軍事侵攻していいという世界に戻りたくない」と答えたと言う。だが、そういう横暴はNATOの中心軸の米国がやってきたことではないのか。(2月16日)
★5面は新兵器の記事が並ぶ。ドローンにも対応可能な英国のスカイセイバーミサイル、日本は極超音速滑空兵器などへの対処能力向上のための研究闘発費8968億円を計上したなどの記事。
その隣の連載「技術が光る」ではガソリンエンジンを搭載して発電、140分もの長時間飛行可能な民生用ドローンの記事が載る。もちろん軍事転用へ期待する記事だ。こういうものは戦争の道具にして欲しくない。(2月23日)
★1面で大きな扱いではないが「日中が4年ぶり安保対話」という記事が載る。2月22日に外務省で行われ、防衛政策局次長や外務省審議官、中国からは国防部少将や外務次官にあたる職員が参加した。
双方の安保政策を提示し合い、「海空連絡メカニズム」のホットライン運用を春から開始することへ向けて調整をすることで合意したという。
現実の政治・外交ではこういう地味な折衝もあるということは知っておいた方がいい。(3月9日)
★1面左側の連載記事「2023年防衛費・重要施策を見る」では、海自が初めて哨戒艦4隻を建造することについて触れている。1900トンで乗組員30人程度というから大きな船ではないが、島嶼防衛に使うのか。海保の巡視船は3500トンなど大型のものが増えているが、組み合わせて運用?(3月9日)
★1面の小さな記事だが岡防衛審議官が米タイ共同演習「コブラゴールド23」視察の後、ラオスを訪問。国防副大臣と会談し、災害救助や人道支援で意見交換をやったという。ラオスは中国との関係が深いが、外交では他の周辺国との様々な駆け引きもある。(3月16日)
『立川テント村通信』(2023年4月1日)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます