噂の欠陥マンションが、業界団体から優秀事業として表彰されていたという。ブラックジョークとしか言いようがない。
また、土壌汚染を隠蔽してマンションを販売し書類送検された不動産会社が、「誠実な企業」大賞を受賞していただと。こんなひどいブラックジョークがあるだろうか。
この不動産会社と同系列の自動車メーカーは、人命事故が重なってもなお欠陥車隠しをやっていた。
この記事と同日のニュースに、損保各社(20社以上!)が、保険金不当不払いで業務改善命令を受ける、とある。
先に業務停止命令を受けた生保会社も、上記と同系列だ。
財界人は教育問題にも口を出すようだが、恥ずかしくないのか。
日本の「自由経済」は、アダムスミスの言う「俗流・曲解」自由経済(ローブロー・闇討ち・騙し討ち何でもあり)そのものではないか。「フェアプレー」が理解できない経済人は、自由競争に参加する資格がない。
全都立高で「人命尊重」を訴える全校集会を開くそうだが、業界団体も高校生に戻って、口先だけではない「人間の尊厳、公共の利益、社会的公正」の倫理を学び直したら如何。幼児レベルの知性しか持たない経済人に自由競争させるのは、余りに危険で恐ろしい。
ついでに言えば、「選ぶ側のチェックこそ必要」は、余計だろう。これでは、騙されたた側の「自己責任」論が浮上しかねない。「強者の正義」がまかり通る日本社会は、資本主義以前の「野生の生存競争」に逆戻りしつつあるのだから。
耐震偽造マンションも輝いた
業界団体「賞」事情
なれ合い、順繰りで受賞
「選ぶ側」のチェックこそ必要
「○○賞受賞」と聞けば、何がしか権威がありそうだが、マンションの耐震強度偽造問題で、偽造が発覚した都内のマンションは、業者でつくる社団法人から「優秀事業賞」を受賞していた。世の中にはピンからキリまでさまざまな賞があるが、あげる人、もらう人それぞれの実態はー。
問題のマンションは東京都江東区の「グランドステージ住吉」。姉歯建築設計事務所が偽造した耐震構造計算書を使って建設され、建築主のマンション販売会社「ヒューザー」が今年五月、社団法人「日本住宅建設産業協会」から「優秀事業賞」を受けていた。「リーズナブルな価格でニカ月で完売したこと」(受賞理由)などが、業界内の評価を得たという。
協会はマンション事業者を会員とする一種の業界団体で、今回の問題発覚で一転、ヒューザーに対して「今後、賞を取り消すこともある」などとしている。
この賞に限らず、住宅関連情報誌やマンション販売会社の広告では、「○○賞受賞」といった記載をよく見かける。これについて、都内のある一級建築士は「私も自治体が出す『まちなみ景観賞』といった賞をいくつももらったが、数ある建築、建設関係の賞はその半分以上は応募すれば賞が取れるようなものばかりだ」と打ち明ける。
例えば業界でもっとも権威がある「建築学会賞」などの場合、審査員が明記され、現場まで見に行くといった審査にかかわる地道な作業もある。しかし、多くの賞は建設会社や建築士側が自薦で応募しないと受賞できず、「応募者も選考者もなれ合いなので、順繰りで賞が回転するだけ」(一級建築士)なのだという。
何ともお粗末だが、他業界に目を向けてみると-。不祥事を起こした企業が、それ以前に"立派"な賞を受賞していたケースも次々出てくる。
産業廃棄物を土壌埋め戻し材「フェロシルト」として販売していたとして、三重県警の家宅捜索を受けた石原産業は、ほかの三社とともに昨年、「エコプロダクツ大賞」(財務省など六省庁が後援)を受賞。受賞対象の光触媒の生成過程で、フェロシルトの原材料が生まれたとされる。
大阪市内のマンション建設現場の土壌汚染を隠蔽し、販売したとして宅地建物取引業法違反容疑で大阪府警から書類送検された三菱地所は一昨年、「誠実な企業」大賞(木村剛・KFi社長らによる同賞審議委員会が選考)を受賞していた。
こうなると、企業や商品に対する「賞」とは何なのかという疑問も浮かぶ。
例えば、日本酒。独立行政法人酒類総合研究所による「全国新酒鑑評会」の「金賞」は最高の権威とされるが、日本酒のネット通販を行う木川屋商店(山形県)の高橋修一氏は「鑑評会に出されるのはいわば賞を取るためだけに造られた酒で、市販の酒とは違う。鑑評会で賞を取れる酒は、米は山田錦を○%、酵母は○○と傾向が非常に偏っていて、金賞だからうまいかといえば必ずしもそうではない」と指摘。
「金賞の傾向に合わなくてもうまい酒を造る蔵元はたくさんある。消費者は過度に賞にとらわれない方がいい」と助言する。
自動車業界で、日本カーオブザイヤーとは別に、RJCカーオブザイヤーを十五年前に設立したモータージャーナリスト三本和彦氏は「賞を出す側が外部からの評価に堪えられるかどうかが、いつも問われている」と話す。三本氏によれば、自動車雑誌の広告を見ていれば、その年の日本カーオブザイヤーの受賞車は分かるのだという。「投票委員を決める実行委員が自動車雑誌の編集長クラスだから、影響がないわけがない。RJCはそういう影響から自由になり、本当にいい車を表彰している」
その上で、こう語る。「われわれが選んだ車は一度もリコールがない。それは誇りにしたい。消費者は、だれがどのように選んでいるのか、それをよく考えて商品選びの参考にしてほしい」
『東京新聞』2005/11/23「ニュースの追跡」
損保各社に業務改善命令へ
金融庁、週内に一斉処分
保険金支払い漏れで
金融庁は23日、保険金の支払い漏れのあった損害保険各社に対し、週内にも一斉に業務改善命令を出す方針を固めた。これまで支払い漏れが発覚したのは20社を超えており、その大半が処分対象となる見通しだ。
同庁は各社の支払いの管理体制や経営陣、監査によるチェック体制が不十分だったとし、再発防止策の提出を求め体質改善を促す必要があると判断した。損害保険会社が一斉に行政処分を受けるのは異例。
処分の対象は、東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおい損害保険など国内大手が軒並み含まれる。
業界では、自動車保険に付随する代車手配費用など「特約」の見落としを中心に大量の支払い漏れが発生。金融庁は9月末に、外資系を含む全損保48社に対し、過去3年間の支払い漏れの件数や内容の報告を求めた。該当した各社は「事務ミス」などとしていたが、同庁は商品の複雑化に対応する査定などの不備を重視。支払い漏れのなかった社との管理体制の格差が大きいことも、処分に踏み切る一因となったとみられる。
これまで支払い漏れが表面化したのは、国内損保の公表分に限っても18社約16万件、金額は約68億円に上る。
金融庁は10月、保険金を不当に支払わなかったとして、明治安田生命保険に対し業務停止命令を発動している。
『東京新聞』2005/11/23朝刊
また、土壌汚染を隠蔽してマンションを販売し書類送検された不動産会社が、「誠実な企業」大賞を受賞していただと。こんなひどいブラックジョークがあるだろうか。
この不動産会社と同系列の自動車メーカーは、人命事故が重なってもなお欠陥車隠しをやっていた。
この記事と同日のニュースに、損保各社(20社以上!)が、保険金不当不払いで業務改善命令を受ける、とある。
先に業務停止命令を受けた生保会社も、上記と同系列だ。
財界人は教育問題にも口を出すようだが、恥ずかしくないのか。
日本の「自由経済」は、アダムスミスの言う「俗流・曲解」自由経済(ローブロー・闇討ち・騙し討ち何でもあり)そのものではないか。「フェアプレー」が理解できない経済人は、自由競争に参加する資格がない。
全都立高で「人命尊重」を訴える全校集会を開くそうだが、業界団体も高校生に戻って、口先だけではない「人間の尊厳、公共の利益、社会的公正」の倫理を学び直したら如何。幼児レベルの知性しか持たない経済人に自由競争させるのは、余りに危険で恐ろしい。
ついでに言えば、「選ぶ側のチェックこそ必要」は、余計だろう。これでは、騙されたた側の「自己責任」論が浮上しかねない。「強者の正義」がまかり通る日本社会は、資本主義以前の「野生の生存競争」に逆戻りしつつあるのだから。
耐震偽造マンションも輝いた
業界団体「賞」事情
なれ合い、順繰りで受賞
「選ぶ側」のチェックこそ必要
「○○賞受賞」と聞けば、何がしか権威がありそうだが、マンションの耐震強度偽造問題で、偽造が発覚した都内のマンションは、業者でつくる社団法人から「優秀事業賞」を受賞していた。世の中にはピンからキリまでさまざまな賞があるが、あげる人、もらう人それぞれの実態はー。
問題のマンションは東京都江東区の「グランドステージ住吉」。姉歯建築設計事務所が偽造した耐震構造計算書を使って建設され、建築主のマンション販売会社「ヒューザー」が今年五月、社団法人「日本住宅建設産業協会」から「優秀事業賞」を受けていた。「リーズナブルな価格でニカ月で完売したこと」(受賞理由)などが、業界内の評価を得たという。
協会はマンション事業者を会員とする一種の業界団体で、今回の問題発覚で一転、ヒューザーに対して「今後、賞を取り消すこともある」などとしている。
この賞に限らず、住宅関連情報誌やマンション販売会社の広告では、「○○賞受賞」といった記載をよく見かける。これについて、都内のある一級建築士は「私も自治体が出す『まちなみ景観賞』といった賞をいくつももらったが、数ある建築、建設関係の賞はその半分以上は応募すれば賞が取れるようなものばかりだ」と打ち明ける。
例えば業界でもっとも権威がある「建築学会賞」などの場合、審査員が明記され、現場まで見に行くといった審査にかかわる地道な作業もある。しかし、多くの賞は建設会社や建築士側が自薦で応募しないと受賞できず、「応募者も選考者もなれ合いなので、順繰りで賞が回転するだけ」(一級建築士)なのだという。
何ともお粗末だが、他業界に目を向けてみると-。不祥事を起こした企業が、それ以前に"立派"な賞を受賞していたケースも次々出てくる。
産業廃棄物を土壌埋め戻し材「フェロシルト」として販売していたとして、三重県警の家宅捜索を受けた石原産業は、ほかの三社とともに昨年、「エコプロダクツ大賞」(財務省など六省庁が後援)を受賞。受賞対象の光触媒の生成過程で、フェロシルトの原材料が生まれたとされる。
大阪市内のマンション建設現場の土壌汚染を隠蔽し、販売したとして宅地建物取引業法違反容疑で大阪府警から書類送検された三菱地所は一昨年、「誠実な企業」大賞(木村剛・KFi社長らによる同賞審議委員会が選考)を受賞していた。
こうなると、企業や商品に対する「賞」とは何なのかという疑問も浮かぶ。
例えば、日本酒。独立行政法人酒類総合研究所による「全国新酒鑑評会」の「金賞」は最高の権威とされるが、日本酒のネット通販を行う木川屋商店(山形県)の高橋修一氏は「鑑評会に出されるのはいわば賞を取るためだけに造られた酒で、市販の酒とは違う。鑑評会で賞を取れる酒は、米は山田錦を○%、酵母は○○と傾向が非常に偏っていて、金賞だからうまいかといえば必ずしもそうではない」と指摘。
「金賞の傾向に合わなくてもうまい酒を造る蔵元はたくさんある。消費者は過度に賞にとらわれない方がいい」と助言する。
自動車業界で、日本カーオブザイヤーとは別に、RJCカーオブザイヤーを十五年前に設立したモータージャーナリスト三本和彦氏は「賞を出す側が外部からの評価に堪えられるかどうかが、いつも問われている」と話す。三本氏によれば、自動車雑誌の広告を見ていれば、その年の日本カーオブザイヤーの受賞車は分かるのだという。「投票委員を決める実行委員が自動車雑誌の編集長クラスだから、影響がないわけがない。RJCはそういう影響から自由になり、本当にいい車を表彰している」
その上で、こう語る。「われわれが選んだ車は一度もリコールがない。それは誇りにしたい。消費者は、だれがどのように選んでいるのか、それをよく考えて商品選びの参考にしてほしい」
『東京新聞』2005/11/23「ニュースの追跡」
損保各社に業務改善命令へ
金融庁、週内に一斉処分
保険金支払い漏れで
金融庁は23日、保険金の支払い漏れのあった損害保険各社に対し、週内にも一斉に業務改善命令を出す方針を固めた。これまで支払い漏れが発覚したのは20社を超えており、その大半が処分対象となる見通しだ。
同庁は各社の支払いの管理体制や経営陣、監査によるチェック体制が不十分だったとし、再発防止策の提出を求め体質改善を促す必要があると判断した。損害保険会社が一斉に行政処分を受けるのは異例。
処分の対象は、東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおい損害保険など国内大手が軒並み含まれる。
業界では、自動車保険に付随する代車手配費用など「特約」の見落としを中心に大量の支払い漏れが発生。金融庁は9月末に、外資系を含む全損保48社に対し、過去3年間の支払い漏れの件数や内容の報告を求めた。該当した各社は「事務ミス」などとしていたが、同庁は商品の複雑化に対応する査定などの不備を重視。支払い漏れのなかった社との管理体制の格差が大きいことも、処分に踏み切る一因となったとみられる。
これまで支払い漏れが表面化したのは、国内損保の公表分に限っても18社約16万件、金額は約68億円に上る。
金融庁は10月、保険金を不当に支払わなかったとして、明治安田生命保険に対し業務停止命令を発動している。
『東京新聞』2005/11/23朝刊
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