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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

教育実践だけでは解決できない体罰の社会的背景

2013年04月05日 | こども危機
  《教育労働者全国通信 第39号》
 ■ 「体罰アンケート調査」による教育破壊に団結して反撃を!


 桜宮高校「体罰」問題・生徒の「自死」を契機に、学校と教職員がバッシングされ、全国の小中高等学校で体罰アンケート調査が行われています。暴行事件に仕立て上げるかのような調査項目を子どもと親から回答させている例もあります。
 大津「いじめ問題」や大阪市立桜宮高校「体罰問題」での生徒の死は、辛く悔しくてなりません。だからこそ、いま始まっていることの本質を明らかにする必要があると思うのです。
 ◎ 橋下の狙いは教育の民営化と労組つぶし
 市立桜宮高校体育科は、カリキュラムと結びついた強い部活を特色としてつくられ、教育労働者は成果を求められ、土日も働き、評価で競争を強いられてきました。
 橋下市長は、府知事時代から、体罰容認発言を繰り返してきました。にもかかわらず、橋下市長は、すべてを学校と教職員の責任にして、当該教員の懲戒免職、傷害・暴行罪での書類送検、校長を始め教員の入れ替え・配転を強行しました。
 「体育科を奪わないで、支えてくれる先生を奪わないで」という高校生たちの訴えも踏みにじりました。この問題をテコにして、事実上、教育行政の権限を握り、重大な事案が起こった場合に市長に調査権を付与する条例も成立させました。
 橋下市長は、学校選択制や学力テストの公表で、目標に達しない学校は、教員入れ替え、公設民営化、廃校にする米英型の教育の民営化攻撃を進めています。橋下市長は、生徒や教育のことなどどうでもいいのです。生徒の死さえ利用して、「教育の民営化」攻撃を実行に移そうというのです。
 安部政権の教育再生実行会議は、いじめ問題を「道徳の教科化」で解決するという提言を出しました。続いて、いじめ・体罰問題をテコに「教育委員会制度改革」をうちだそうとしています。その最大の狙いは、教育の民営化による組合つぶしであり、その尖兵を務めているのが橋下市長です。
 ◎「指導力不足」のせいにする日教組本部は許せない
 体罰アンケートは、ささいな子どもとのふれあいまで、「暴力事件」に仕立て上げる危険があります。教育労働者と生徒・保護者を分断し、不信を増幅させるものです。教育労働者を萎縮させ、職場での自由闊達な討論で批判しあい課題をのりこえていく職場の団結を奪うことで、教育破壊を一層深刻化させるものです。
 1月の日教組全国教研では加藤委員長が、いじめ、自死は、「教師の指導力のなさ」のせいだと組合員に「反省」を迫りました。しかし、これは個人の責任ではありません。
 学力テストによる競争と選別や、教員評価制度の導入こそ、教育破壊の最大の元凶です。これに対して新たな勤評・学テ闘争を提起しなかった日教組本部にこそ、重大な責任があるのです。職場の闘う団結を取り戻すことが、教育現場に生起するさまざまな矛盾を解決していく力となるのです。
 ◎ 1人の首切りも許さない!労働組合の闘いを
 いじめや荒れが広がる背景には、貧困と格差の拡大、青年の半数が非正規職のワーキングプアに追いやられ、子どもたちが将来に希望をもてない状況があります。教育実践だけでは解決できない、社会変革なしには展望できない性質の問題でもあるのです。そのような闘いを呼びかけ、闘いの先頭に立つことこそが、労働組合の果たすべき役割のはずです。
 ある教職員組合では、体罰調査の結果を理由に、校長が講師の組合員を呼び出し事情聴取をしたことに対して、「処分・解雇のための調査絶対反対」と組合全体で反撃し、講師の仲間への処分・雇い止め攻撃を許さず闘っています。
 1人へのパワハラや処分や解雇、賃下げは、民営化・全員解雇の始まりです。「みんなは1人のために、1人はみんなのために」団結して反撃すれば勝てるのです。
 (投稿・関西K)

『教育労働者全国通信 第39号』(2013.3.20)

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