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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

都立高の今(下)

2008年04月09日 | 暴走する都教委
 ◆ 「のむ・うつ・かう」のスパイラル
 ~心ある教員が沈みかかった舟から逃げるように辞めていく

若杉 倫(都立高校教員)

 嘱託のお一人が「来年は続けないことにしました」とひっそりと身を引いた。一方継続を選択したもうお一人も「この歳で勤務が週一日増えるのは予定もしていなかったし体力的にキツイ」と不安を漏らしている。また別の職場の方は特例で残った「13日再雇用」の継続を申請したところ、介護のための通院を証明する山のような書類の提出を迫られて、思わず「そんな非人道的扱いを受けるなら辞めます」と喉元まで出かかったと言う。
 高齢者の勤労権・生活権どころではない。東京都は「権利から恩恵へ」逆行したかのようだ。労使対等には到底ほど遠い。

 新制度では、校長が都に出す再任用の「推薦書」に、「上司の命令に従う」「上司の指示を正しく理解する」などの評価項目が設けられ、忠誠度で選別する意図が明白となっている。
 既に現制度の下でも「君が代不起立者」を選別不採用したが、2月7日東京地裁で「不採用は裁量権の逸脱・濫用」との原告勝訴の判決が出た。ところがそれを誠実に受け止めるどころか、ならば理由さえ付ければいいのだろうと言わんばかりの厚かましい制度改悪である。

 年末の各紙では、教職員の病気休職が14年連続増加しそのうち61%が精神疾患と報じられた。多摩地区のある「進学校」では病気休職が5人、同じく「困難校」では8人だそうだ。授業は講師でまかなえても、校務分掌や部活動は残った教員で掛け持ちしなければならない。こうなると職場は過労死へのスパイラルにはまりこんでいく。

 私たちの業界の「のむ、うつ、かう」は、「精神安定剤を飲み、鬱病に苦しみ、業界からの脱出を夢見て宝くじを買う」ことである。
 高校の定年前退職者数が、67人(04年)から128人(06年)と2年で倍増している。まるで沈みかかった船から逃げるように、無味乾燥な仕事量に押しつぶされ、精神的に追い詰められて、心ある教員が現場から離れていく。「10・23通達」こそ職場荒廃の元凶である。

『週刊新社会』(2008/3/25)

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