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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

君が代不起立<思想信条に関わる個人情報>

2007年11月09日 | 日の丸・君が代関連ニュース
 ◎ 神奈川県<思想信条に関わる個人情報>破棄命令

 10月29日朝刊各紙は、神奈川県個人情報保護審査会の答申を大きく報じた。卒入学式での国歌斉唱時における不起立教員氏名報告は、センシティブな「『思想、信条』に関する個人情報」に該当するので条例違反、との明快な判断である。

■ 不起立行為は思想信条の発露!!
 県教委側は、校長に報告を求めたのは不起立の事実のみでその「理由」についての記載はないから条例に違反しないと主張したが、審査会は県個人情報保護条例第6条制定の趣旨は「内面の思想そのものまで統制しようとした過去の苦い経験を踏まえたもの」とした上で、「第6条において原則禁止とする思想信条とは、その人の政治的信念及び個人の人格形成の核心を為す人生観、世界観が発露した情報がこれに当たるものであると解されることから、意義申立人が国歌斉唱時に起立しなかった理由が記載されていないことをもって、直ちに本件情報が思想信条に該当しないと言うことは出来ないと解される」と明確に判示した。
 君が代強制反対が「思想信条」であることまでは、9.21難波判決は言うに及ばず、2.27ピアノ裁判最高裁判決等でも認められているが、原告敗訴の判決の場合、不起立不伴奏行為は一般的に精神活動と不可分とは言えないとして、信念と行為をことさらに切り離してきた。今回の「答申」は、不起立行為を信念の発露とストレートに認めた点で画期的である。

■ 県教委のあがき
 しかし「答申」は、「なお本件情報は、条例第6条において原則禁止とされている思想信条に該当する情報という面を有する」としながらも、「同時に実施機関が行う教職員の服務に関する事務に係る情報としての側面をも有するものと認められる」と両論併記し、実施機関は「予め審議会の意見を聴くことが相当である」と追記している。
 「審議会」とは、異議申立案件を審査する「審査会」とは別に、条例の運用・改正など実施機関の諮問に応える機関で、兼子仁(東京都立大学名誉教授)を会長に15人の外部委員から構成されている。
 県教委は、一旦「審査会」の答申を受け入れ過去に収集した個人情報を破棄するとしたものの、来年度に向けて不起立教員の氏名報告を、改めて「審議会」に諮問する意向を示している。「服務に関する情報収集」は例外規定に該当すると解釈される余地があると見ているのだ。問題は未だ決着していない。11月8日にはかながわ労働プラザで定例の「審議会」が行われる。

■ 公務員の「服務」は「思想良心」を制約するか?
 ちなみに、東京都の個人情報保護条例にも第4条に「思想信条」に関わる個人情報の収集を制限する条項がある。知事が任命する審査会の顔ぶれ(西谷剛(國學院大學法科大學院教授)を会長とする13名の委員で構成)を見ると、提訴する気も起きないというところか。
 先行事例では、2004年9月大阪府枚方市で「市審査会」が、不起立教員の氏名報告は条例違反であるとの答申を出したが、県教委は「答申」を無視し調査を続行したため、教員らが提訴したケースがある。2007年4月26日大阪地裁の判決は、氏名削除を認めたものの、市教委の7点指導は合法とした(控訴審判決が11/16に予定されている)。地公法上の「服務」が、憲法の中でも特に優越する自由である「思想良心の自由」を制約するというような逆立ちした法律解釈に、いい加減決着を付けて欲しい。(H)

『YOU SEE 2007年11月6日 No.219』から

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