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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

秘密保護法やだネット長野

2014年06月15日 | 平和憲法
  =連載 労働現場から問う秘密法4=
 ◆ 秘密法反対に生きる ”村の記憶”
日比野敏陽(ジャーナリスト/新聞労連委員長)

 「長野県は戦前、満州に多くの人を送り出しました。特に学校の先生たちはこぞって教え子を満州に送ったのです。政府のかけ声を鵜呑みにして」。
 長野県阿智村役場で働く女性は、今年3月に名古屋市で開催された秘密保護法廃止を求める市民交流集会でこう語った。
 長野県は「満蒙開拓団」を全国一多く送り出した県だ。とりわけ県南部の伊那谷からは多くの開拓者が海を渡った。阿智村には人口の2割近くが満州に渡った旧村もある。敗戦によって多くの人が犠牲になった。
 虚妄の極みだった満蒙開拓に多くの人が身を投じたのはなぜか。「満州では大地主になれる」。政府による宣伝が行われ、山間の農家の二男、三男たちは魅せられた。その背景には貧困もあった。

『秘密保護法やだネット長野』http://www.himitsuyadane.com/

 特定秘密保護法の廃止を求める意見書の採択が全国の自治体議会で相次いでいる。その数は4月5日時点で108(朝日新聞)。
 その中でとりわけ多いのが長野県で16自治体にのぼる。廃止ではないが、見直しや慎重な運用を求める意見書も含めれば県内で40を超える市町村が採択している。
 特徴的なのは阿智村をはじめ比較的小規模な自治体で危機感が強まり、住民有志による運動が始まっていることだ。
 阿智村では「特定秘密保護法の廃止を求めるあちの会」が発足。学習会や署名集めに取り組んでいる。こうした運動は全県的な広がりを見せ、「秘密保護法やだネット長野(やだネット)」となっている。
 その原動力について地元紙記者は「多くの悲劇を生んだ満蒙開拓団の歴史が『二度と国にだまされてはならない』という県民の思いにつながっているのではないか」と説明する。
 現代でも権力は平然と嘘をつく。それがまた一つ、明らかになった。沖縄返還交渉に携わり、「沖縄密約」にも関わったとされる米国の元高官モートン・ハルペリン氏が5月初旬に来日し「日本政府は『秘密保護法がないと米国と安全保障の情報共有ができない』と説明したが、そのような事実はない」と明言。日本政府の説明は虚偽だったことを暴露したのだ。
 ハルペリン氏によると、米国の歴代政権が「日本には強力な秘密保護法制がないから協力できない」と言ったことはないと指摘。
 「オバマ政権が取り組んだ核戦略の再検討でも米国は日本との十分な協議を行った」と話した。
 ハルペリン氏は秘密保護法が一般人やジャーナリストも処罰対象にしていることなどから「自分が知る中では最悪」と酷評した。
 安倍政権が「(秘密保護の国際標準原則である)ツワネ原則は民間が作ったもので国際的に認知されていない」と主張していることについても「ツワネ原則には遵守義務はないが、多くの国とNGOが話し合い、最良の取り組みを集めたものだ」と指摘。
 「民主国家を名乗るなら、秘密保護法が国際基準を大きく逸脱している理由を安倍首相は国民に説明する責任があるはずだ」と指摘する。安倍首相はこの問いに、どう応えるのだろうか。
『労働情報』888号(2014/6/1)
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