◆ 大量無効票追及にも 杉並区選管開き直り
今年7月の参院選で、全国的にも突出して多い無効票が出た杉並区。区選挙管理委員会が選挙区と比例代表の投票用紙を同時に渡し、有権者を混乱させたのが主な原因だ。区議会でも選管の責任を問う声が出たが、選管は区民に謝罪するどころか、「責任を取るつもりはない」とまで開き直った。一体どうなっているのか。(山川剛史)
◆ 区議の”天上がり”「問題意識なし」
「選管の議事録を見たが、二票を同時に渡すことの危険性を話し合った形跡がない。選挙後もなぜこんな事態を招いたのか検証もしておらず、区民には何の説明もない。職務怠慢だ。選管委員全員の辞職を求める」
十三日の本会議で、須黒奈緒区議(みどりの未来)がこう迫った。しかし、押村貞子選管委員長は開会からずっと出席しているのに答弁せず。事務局が「委員長は先週答弁しており、それと重複する部分もある」と珍妙な理由を持ち出して代理で登壇し、こう言い放った。
「事務局では二票同時交付による混乱の可能性について議論した。広報や現場での注意喚起で対応しようとしたが、想定を超える無効票が出てしまった。今後の選挙は、今回の反省を踏まえて対応するが、法に違反した選挙執行ではなく、責任を取るつもりはない」
閉会後、押村委員長本人に自らの責任や、検証の有無などについて問うと、「この問題については、委員会の外でいろいろ話し合っている。選挙前も選挙日程がなかなか確定しない中で、各会場を回って検討を重ねた」と、最大限の努力をしたと強調した。
ただ、参院選前後に開かれた選管の議事録や傍聴した住民の話を総合すると、少なくとも公式の場はこんな様子だ。
▽五月の選管臨時会で二票同時交付を決めているが、混乱についての議論はなく、むしろ事務経費の削減が議題に
▽選挙後初めての八月四日の会合で、押村委員長から「新聞(本紙)に報じられたように批判をいただいた。このことについては残念」と言及があったのみ
▽ほかの会合でも、参院選についての議論は、住民から出された選挙の効力への異議申し立てについて、棄却の決定をしたのみ…。
一般質問最終日の十四日も堀部康区議(無所属)が、二票同時交付を禁じるルール作りなどを求め、再三にわたって委員長の見解を求めたが、答弁は事務局任せ。ついに立ち上がろうとはしなかった。
これには傍聴の住民たちもこらえ切れず、「何しに来ているんだ」「答弁する能力もないなら罷免だ」と怒りのヤジが飛んだ。
実は選管委員長には月額約三十万円、委員にも同約二十四万円の報酬が支払われている。区民の選挙権を守るための支出だが、一連の対応からは正常に機能しているのかどうか疑問も浮かぶ。
複数の区議は、自戒を込めてこう話す。
「選管の委員らは一人を除いて区議OB。大会派が話し合って決めるいわば区議の“天上がり”ポストだ。『次は自分が報酬をもらう番』と思っている識員もいる。そんな状況では、選挙権をどう守るかなんて問題意職も生まれない。今回の無効票問題は、選管のあり方自体を見直す機会にしなければ」
※杉並区の大置無効票問題
参院選、区長選、区議補選のトリプル選挙となり、杉並区選管は会場の広さや記載台が足りないとして、本来なら4回の投票に分けるのを、参院選と区長・区議補選の2回で実施。
結果、選挙区と比例代表、区長と区議の候補者名を取り違えるなどのケースが続出した。白紙投票は除き、3選挙合わせて2万9000票近くが無効に。参院選では、3年前と比べて選挙区は5.7倍、比例代表は17.1倍に激増。
同じくトリプル選挙だった大津市は投票を4回に分けており、無効票率は全国平均並みだった。
『東京新聞』(2010/9/15【ニュースの追跡】)
今年7月の参院選で、全国的にも突出して多い無効票が出た杉並区。区選挙管理委員会が選挙区と比例代表の投票用紙を同時に渡し、有権者を混乱させたのが主な原因だ。区議会でも選管の責任を問う声が出たが、選管は区民に謝罪するどころか、「責任を取るつもりはない」とまで開き直った。一体どうなっているのか。(山川剛史)
◆ 区議の”天上がり”「問題意識なし」
「選管の議事録を見たが、二票を同時に渡すことの危険性を話し合った形跡がない。選挙後もなぜこんな事態を招いたのか検証もしておらず、区民には何の説明もない。職務怠慢だ。選管委員全員の辞職を求める」
十三日の本会議で、須黒奈緒区議(みどりの未来)がこう迫った。しかし、押村貞子選管委員長は開会からずっと出席しているのに答弁せず。事務局が「委員長は先週答弁しており、それと重複する部分もある」と珍妙な理由を持ち出して代理で登壇し、こう言い放った。
「事務局では二票同時交付による混乱の可能性について議論した。広報や現場での注意喚起で対応しようとしたが、想定を超える無効票が出てしまった。今後の選挙は、今回の反省を踏まえて対応するが、法に違反した選挙執行ではなく、責任を取るつもりはない」
閉会後、押村委員長本人に自らの責任や、検証の有無などについて問うと、「この問題については、委員会の外でいろいろ話し合っている。選挙前も選挙日程がなかなか確定しない中で、各会場を回って検討を重ねた」と、最大限の努力をしたと強調した。
ただ、参院選前後に開かれた選管の議事録や傍聴した住民の話を総合すると、少なくとも公式の場はこんな様子だ。
▽五月の選管臨時会で二票同時交付を決めているが、混乱についての議論はなく、むしろ事務経費の削減が議題に
▽選挙後初めての八月四日の会合で、押村委員長から「新聞(本紙)に報じられたように批判をいただいた。このことについては残念」と言及があったのみ
▽ほかの会合でも、参院選についての議論は、住民から出された選挙の効力への異議申し立てについて、棄却の決定をしたのみ…。
一般質問最終日の十四日も堀部康区議(無所属)が、二票同時交付を禁じるルール作りなどを求め、再三にわたって委員長の見解を求めたが、答弁は事務局任せ。ついに立ち上がろうとはしなかった。
これには傍聴の住民たちもこらえ切れず、「何しに来ているんだ」「答弁する能力もないなら罷免だ」と怒りのヤジが飛んだ。
実は選管委員長には月額約三十万円、委員にも同約二十四万円の報酬が支払われている。区民の選挙権を守るための支出だが、一連の対応からは正常に機能しているのかどうか疑問も浮かぶ。
複数の区議は、自戒を込めてこう話す。
「選管の委員らは一人を除いて区議OB。大会派が話し合って決めるいわば区議の“天上がり”ポストだ。『次は自分が報酬をもらう番』と思っている識員もいる。そんな状況では、選挙権をどう守るかなんて問題意職も生まれない。今回の無効票問題は、選管のあり方自体を見直す機会にしなければ」
※杉並区の大置無効票問題
参院選、区長選、区議補選のトリプル選挙となり、杉並区選管は会場の広さや記載台が足りないとして、本来なら4回の投票に分けるのを、参院選と区長・区議補選の2回で実施。
結果、選挙区と比例代表、区長と区議の候補者名を取り違えるなどのケースが続出した。白紙投票は除き、3選挙合わせて2万9000票近くが無効に。参院選では、3年前と比べて選挙区は5.7倍、比例代表は17.1倍に激増。
同じくトリプル選挙だった大津市は投票を4回に分けており、無効票率は全国平均並みだった。
『東京新聞』(2010/9/15【ニュースの追跡】)
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