◆ 《週刊金曜日:特集》前代未聞の五輪
「観戦当日は混雑回避のため、会場最寄り駅の2駅前で降り、手荷物検査場を通って会場まで歩いてください」。観戦に児童を引率する教師が下見に行くと、東京都から委託された運営会社の係はこう説明したという。
◆ 「お国のため」の子どもをつくる?
~オリパラ教育の集大成はコロナ禍での観戦
今年4月、東京パラリンピック大会の車いすバスケットボール観戦に児童を引率する東京・杉並区立小学校の50代の教師が、会場の有明アリーナ(江東区)までの経路や会場などを下見した際、係から2駅前で電車を降りて歩くように言われた。
教師が2駅分歩いてみると10分強。子どもの足では倍はかかるだろう。当日は遮光用のA3の紙と500ミリリットルの水が配られると聞いた。が、猛暑ならそんな対策が役に立つか。しかもマスクを着けて歩く。
係からは、「手荷物検査場から会場へは人流を滞らせないよう一方通行になっており、後戻りはできません」とも説明された。
子どもの具合が悪くなっても引き返せない。
あきれたのは混雑を避けるため、「試合が始まってから到着し、試合が終わる前に帰ってください」と言われたことだ。
「いったい何のための観戦か。形だけなんだ」と思った。
「人生の糧となる掛け替えのないレガシーを残す」(東京都教育庁)との観戦目的が虚ろに響く。
同区立中学校に孫が通う女性(75歳)は教師から子どもを2駅分歩かせると聞き、「朝礼でも10分を超えると貧血で倒れる子が出るのに」と恐ろしくなった。
過去には中学生が部活中に熱中症で脳梗塞になった例がある。5月には板橋区の中学校で生徒と教職員24人がコロナ感染するクラスターも発生した。
そこで女性は保護者らに呼びかけ、6月18日に同区教育委員会教育長あてに観戦辞退を求める要望書を提出した。
このように保護者や市民らが声をあげたことが世論の批判を高め、観戦を中止する自治体が相次ぐ。
7月8日、政府や東京都、大会組織委員会などの5者協議で五輪は東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県では無観客と決まり、茨城県などを除き、子どもの五輪動員はなくなった。
しかし、パラリンピックについては五輪後の判断に先送りされた。
◆ 東京都が隠蔽?
6月20日付『しんぶん赤旗』日曜版は、「小池都政が『文書』隠ぺい」と報じた。
同紙が入手した大会組織委員会が5月に都や関係自治体に出した文書には、6月1日~23日が学校観戦の「チケットの追加キャンセル受付期間」とされており、埼玉県などは各市町村に連絡したが、都は6月15日現在も連絡せずに“隠蔽”したとする。
「会場を観客で埋めるため(略)観戦を強行しようとしているのでは」と、ある区幹部の推測を紹介している。
そこで筆者が都教育庁に隠した理由を聞くと、同庁指導部の神田恭司・主任指導主事は「隠してなどいません。都は他県より規模が大きく、観客上限数が決まる前に(各自治体に参加するか否かの)意向調査をしてもムダになる可能性があるので上限決定後にする予定でした。その文書は都には『参考情報』としてきました」と説明する。
「『参考情報』とその文書に書いてあったのか」と確認すると、「それは、組織委員会との口頭のやり取りの中で出た言葉」との答え。
そこで組織委は本当にそう言ったのか、筆者は組織委に確認したが「個別の状況は回答を控える」と拒否された。
この観戦は、東京オリンピック・パラリンピックの競技会場がある自治体が、大会組織委員会から児童生徒ら向けに観戦券を購入する「学校連携観戦」と呼ばれる。
都の場合はチケット代がオリンピックは1枚2020円、パラリンピックは競技により500円~2020円が公費で賄われ、予算は41億円だ。
観戦は、オリンピック・パラリンピック教育(オリパラ教育)の「集大成」と位置付けられており、6月21日に開かれた5者協議でも観客上限数とは「別枠」とされた。
都は、オリパラの理念が教育基本法や学習指導要領と「相通ずるものがある」とし、選手から体験談を聞いたり、都が作成した「読本」などでオリパラの理念や歴史などを学んだり、パラ種目を体験するなど、さまざまな教育を展開している。
都の場合、特別支援学校を含む全公立学校2300校の幼児・児童・生徒100万人が週に1時間、年間35時間ほどの授業を2016年から受けている(都教育庁オリパラ教育HP)。
◆ ボランティアを重視
「東京のオリパラ教育を考える有識者会議」(座長=真田久・筑波大学体育専門学群学群長)の「最終提言」(15年12月)は、重点的に育成すべき資質として以下の5点を挙げる。
元高校教師(社会)の渡部秀清さん(73歳)は「子供たちが原動力」とは、「学校中心に『お国のため』というムーブメント(運動)をつくり出した戦前と同じです」と批判する。
スポーツ庁は「オリパラ・ムーブメント全国展開事業」(図参照)なる官製運動を進め、都以外の道府県と政令指定都市にオリパラ教育を委託している。
渡部さんは、「④日本人としての自覚と誇り」とは愛国心のことで、「①ボランティアマインド」と表裏一体だという。
共通するのは「お国のため」。支配する側に都合のよいマインドの養成が、真のねらいと見る。
都教委のオリパラ教育実施方針(16年1月)ではオリパラ教育の「レガシー」として、このマインドを「子供たちが親になり、我が子に伝える(世代循環)」とされている。
マインド、つまり子どもの心(精神)を変えることで日本人の精神を丸ごと変えるのが「レガシー」なのだ。
◆ 観戦チケット代41億円、都のオリパラ教育は合計約158億円
都のオリパラ教育予算は14~21年度までの8年間で、実に合計約158億円にのぼる(注1)。
また、スポーツ庁も15~21年度まで合計約17億6400万円の予算を組んでいる(注2)。
現代版「国民精神総動員運動」こそ、このオリパラ教育だ。
コロナ以前までは、オリパラ大会には多くの子どもボランティアが動員される予定だった。
だが、子どもにはタダ働きをさせるのに、他方で組織委が大手広告代理店に委託した大会準備・運営業務では、最高1人1日35万円の契約だと報じられた(5月27日付『毎日新聞』)。
6月23日、渡部さんたちは都に、学校連携観戦を即刻中止するよう要請した。
都内の公立小学校で教える宮澤弘道さん(44歳)は、道徳の時間にオリパラ教育に取り組んできた。
「最大の問題点は、価値の誘導です」と言う。
道徳の教科書にはパラ選手が出てくる。事故で障害を負い、絶望の淵に沈むがパラスポーツに出会い、周囲にも助けられてのめり込み、金メダルを取るまでになった。それは自分の努力だけではないから感謝を忘れない、というような内容だ。
これを読んだ子どもたち(6年)の中には一人だけ「オリンピックとパラリンピックを分けること自体が差別じゃん」と指摘した子がいたが、大半は「スゴイ」「カッコイイ」「障害者に出会ったら助けであげたい」だ。
障害は社会のシステムや偏見を変えるのではなく、自己責任で乗り越えるものという価値観に見事に誘導されていく。
「学校教育の中で一番危険で自重しないといけないところに踏み込むのが道徳とオリパラ教育です」と宮澤さんは言う。
◆ 「読本」で美化と強制
都立高校の元保健体育教師・近藤光男さん(77歳)は、オリパラ教育「読本」には、五輪憲章で五輪で使われるのは「選手団の旗」と明記されているのに、「国旗」と表記している重大な誤りがあるという。
スポーツは国家のためではなく自分のためにやる。そして「自由にやるから楽しいし、個性が発揮される。それは他者の個性も尊重することになり、差別をなくすことにもなります」。
ところが日本のスポーツ界では先輩には絶対服従、指導者は練習を強制する体質が根強く、パワハラ、セクハラ、女性差別などが横行している。
「読本」やオリパラ教育のスポーツ観も、前述のように「重点的に育成すべき資質」が決められており、画一的だ。しかも美化させて、全生徒に強制する。
オリパラが国威発揚の場になり、招致に伴う収賄・贈賄事件や競技場建設で住民や野宿者の排除など「オリンピック災害」が起きていることには触れない。
近藤さんらは「読本」で誤った見方・考え方が子どもに鼓吹され、精神的苦痛を受けたとして2017年に損害賠償を求めて提訴したが、却下され確定。現在2次訴訟が東京地裁で続く。
6月22日、東京都医師会の尾崎治夫は学校連携観戦について「私はやはり止めた方がよいという意見だ」と述べ、学校連携観戦に「ドクターストップ」をかけた。
筆者は都の藤田裕司教育長にそれでも強行する理由を問う質問状を送った。
回答は「感染の状況に応じて実施の可否を判断」するとし、学校連携観戦を進める根拠として、オリパラ感染リスク拡大に関する尾身茂氏ら有志の「専門家の提言」(6月18日)で「小学生を招くことも一つの選択肢」とされていることをあげた。
しかし「提言」は無観客が望ましいとしつつ、観客を入れる場合は「移動経路を含めて感染対策ができるような人々に限る」とし、小学生を例に挙げたのだ。決して子どもを招ぐことが安全だとは言っていない。
コロナ禍は、オリパラを利用して子どもたちの心を支配し、命すら犠牲にしようとする国や都の本質を浮き彫りにした。
(注1)東京都教育庁による。学校連携観戦予算は一部繰り越しを含む。
(注2)大会組織委員会、日本オリンピック委員会も、日本パラリンピック委員会もオリパラ教育をやっているが、予算はいずれも「個別の事業については答えていません」。
※ ながおとしひこ・ルポライター。著書に『ルポ「日の丸・君が代」強制』(緑風出版)ほか。
『週刊金曜日 1337号』(2021/7/16)
「観戦当日は混雑回避のため、会場最寄り駅の2駅前で降り、手荷物検査場を通って会場まで歩いてください」。観戦に児童を引率する教師が下見に行くと、東京都から委託された運営会社の係はこう説明したという。
◆ 「お国のため」の子どもをつくる?
~オリパラ教育の集大成はコロナ禍での観戦
永尾俊彦(ながおとしひこ・ルポライター)
今年4月、東京パラリンピック大会の車いすバスケットボール観戦に児童を引率する東京・杉並区立小学校の50代の教師が、会場の有明アリーナ(江東区)までの経路や会場などを下見した際、係から2駅前で電車を降りて歩くように言われた。
教師が2駅分歩いてみると10分強。子どもの足では倍はかかるだろう。当日は遮光用のA3の紙と500ミリリットルの水が配られると聞いた。が、猛暑ならそんな対策が役に立つか。しかもマスクを着けて歩く。
係からは、「手荷物検査場から会場へは人流を滞らせないよう一方通行になっており、後戻りはできません」とも説明された。
子どもの具合が悪くなっても引き返せない。
あきれたのは混雑を避けるため、「試合が始まってから到着し、試合が終わる前に帰ってください」と言われたことだ。
「いったい何のための観戦か。形だけなんだ」と思った。
「人生の糧となる掛け替えのないレガシーを残す」(東京都教育庁)との観戦目的が虚ろに響く。
同区立中学校に孫が通う女性(75歳)は教師から子どもを2駅分歩かせると聞き、「朝礼でも10分を超えると貧血で倒れる子が出るのに」と恐ろしくなった。
過去には中学生が部活中に熱中症で脳梗塞になった例がある。5月には板橋区の中学校で生徒と教職員24人がコロナ感染するクラスターも発生した。
そこで女性は保護者らに呼びかけ、6月18日に同区教育委員会教育長あてに観戦辞退を求める要望書を提出した。
このように保護者や市民らが声をあげたことが世論の批判を高め、観戦を中止する自治体が相次ぐ。
7月8日、政府や東京都、大会組織委員会などの5者協議で五輪は東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県では無観客と決まり、茨城県などを除き、子どもの五輪動員はなくなった。
しかし、パラリンピックについては五輪後の判断に先送りされた。
◆ 東京都が隠蔽?
6月20日付『しんぶん赤旗』日曜版は、「小池都政が『文書』隠ぺい」と報じた。
同紙が入手した大会組織委員会が5月に都や関係自治体に出した文書には、6月1日~23日が学校観戦の「チケットの追加キャンセル受付期間」とされており、埼玉県などは各市町村に連絡したが、都は6月15日現在も連絡せずに“隠蔽”したとする。
「会場を観客で埋めるため(略)観戦を強行しようとしているのでは」と、ある区幹部の推測を紹介している。
そこで筆者が都教育庁に隠した理由を聞くと、同庁指導部の神田恭司・主任指導主事は「隠してなどいません。都は他県より規模が大きく、観客上限数が決まる前に(各自治体に参加するか否かの)意向調査をしてもムダになる可能性があるので上限決定後にする予定でした。その文書は都には『参考情報』としてきました」と説明する。
「『参考情報』とその文書に書いてあったのか」と確認すると、「それは、組織委員会との口頭のやり取りの中で出た言葉」との答え。
そこで組織委は本当にそう言ったのか、筆者は組織委に確認したが「個別の状況は回答を控える」と拒否された。
この観戦は、東京オリンピック・パラリンピックの競技会場がある自治体が、大会組織委員会から児童生徒ら向けに観戦券を購入する「学校連携観戦」と呼ばれる。
都の場合はチケット代がオリンピックは1枚2020円、パラリンピックは競技により500円~2020円が公費で賄われ、予算は41億円だ。
観戦は、オリンピック・パラリンピック教育(オリパラ教育)の「集大成」と位置付けられており、6月21日に開かれた5者協議でも観客上限数とは「別枠」とされた。
都は、オリパラの理念が教育基本法や学習指導要領と「相通ずるものがある」とし、選手から体験談を聞いたり、都が作成した「読本」などでオリパラの理念や歴史などを学んだり、パラ種目を体験するなど、さまざまな教育を展開している。
都の場合、特別支援学校を含む全公立学校2300校の幼児・児童・生徒100万人が週に1時間、年間35時間ほどの授業を2016年から受けている(都教育庁オリパラ教育HP)。
◆ ボランティアを重視
「東京のオリパラ教育を考える有識者会議」(座長=真田久・筑波大学体育専門学群学群長)の「最終提言」(15年12月)は、重点的に育成すべき資質として以下の5点を挙げる。
①ボランティアマインド同提言は「子供たちが原動力となって、将来の日本がボランティア文化が進んだ社会へと変わっていくことも期待できる」とボランティアをとくに重視。
②障害者理解
③スポーツ志向
④日本人としての自覚と誇り
⑤豊かな国際感覚
元高校教師(社会)の渡部秀清さん(73歳)は「子供たちが原動力」とは、「学校中心に『お国のため』というムーブメント(運動)をつくり出した戦前と同じです」と批判する。
スポーツ庁は「オリパラ・ムーブメント全国展開事業」(図参照)なる官製運動を進め、都以外の道府県と政令指定都市にオリパラ教育を委託している。
渡部さんは、「④日本人としての自覚と誇り」とは愛国心のことで、「①ボランティアマインド」と表裏一体だという。
共通するのは「お国のため」。支配する側に都合のよいマインドの養成が、真のねらいと見る。
都教委のオリパラ教育実施方針(16年1月)ではオリパラ教育の「レガシー」として、このマインドを「子供たちが親になり、我が子に伝える(世代循環)」とされている。
マインド、つまり子どもの心(精神)を変えることで日本人の精神を丸ごと変えるのが「レガシー」なのだ。
◆ 観戦チケット代41億円、都のオリパラ教育は合計約158億円
都のオリパラ教育予算は14~21年度までの8年間で、実に合計約158億円にのぼる(注1)。
また、スポーツ庁も15~21年度まで合計約17億6400万円の予算を組んでいる(注2)。
現代版「国民精神総動員運動」こそ、このオリパラ教育だ。
コロナ以前までは、オリパラ大会には多くの子どもボランティアが動員される予定だった。
だが、子どもにはタダ働きをさせるのに、他方で組織委が大手広告代理店に委託した大会準備・運営業務では、最高1人1日35万円の契約だと報じられた(5月27日付『毎日新聞』)。
6月23日、渡部さんたちは都に、学校連携観戦を即刻中止するよう要請した。
都内の公立小学校で教える宮澤弘道さん(44歳)は、道徳の時間にオリパラ教育に取り組んできた。
「最大の問題点は、価値の誘導です」と言う。
道徳の教科書にはパラ選手が出てくる。事故で障害を負い、絶望の淵に沈むがパラスポーツに出会い、周囲にも助けられてのめり込み、金メダルを取るまでになった。それは自分の努力だけではないから感謝を忘れない、というような内容だ。
これを読んだ子どもたち(6年)の中には一人だけ「オリンピックとパラリンピックを分けること自体が差別じゃん」と指摘した子がいたが、大半は「スゴイ」「カッコイイ」「障害者に出会ったら助けであげたい」だ。
障害は社会のシステムや偏見を変えるのではなく、自己責任で乗り越えるものという価値観に見事に誘導されていく。
「学校教育の中で一番危険で自重しないといけないところに踏み込むのが道徳とオリパラ教育です」と宮澤さんは言う。
◆ 「読本」で美化と強制
都立高校の元保健体育教師・近藤光男さん(77歳)は、オリパラ教育「読本」には、五輪憲章で五輪で使われるのは「選手団の旗」と明記されているのに、「国旗」と表記している重大な誤りがあるという。
スポーツは国家のためではなく自分のためにやる。そして「自由にやるから楽しいし、個性が発揮される。それは他者の個性も尊重することになり、差別をなくすことにもなります」。
ところが日本のスポーツ界では先輩には絶対服従、指導者は練習を強制する体質が根強く、パワハラ、セクハラ、女性差別などが横行している。
「読本」やオリパラ教育のスポーツ観も、前述のように「重点的に育成すべき資質」が決められており、画一的だ。しかも美化させて、全生徒に強制する。
オリパラが国威発揚の場になり、招致に伴う収賄・贈賄事件や競技場建設で住民や野宿者の排除など「オリンピック災害」が起きていることには触れない。
近藤さんらは「読本」で誤った見方・考え方が子どもに鼓吹され、精神的苦痛を受けたとして2017年に損害賠償を求めて提訴したが、却下され確定。現在2次訴訟が東京地裁で続く。
6月22日、東京都医師会の尾崎治夫は学校連携観戦について「私はやはり止めた方がよいという意見だ」と述べ、学校連携観戦に「ドクターストップ」をかけた。
筆者は都の藤田裕司教育長にそれでも強行する理由を問う質問状を送った。
回答は「感染の状況に応じて実施の可否を判断」するとし、学校連携観戦を進める根拠として、オリパラ感染リスク拡大に関する尾身茂氏ら有志の「専門家の提言」(6月18日)で「小学生を招くことも一つの選択肢」とされていることをあげた。
しかし「提言」は無観客が望ましいとしつつ、観客を入れる場合は「移動経路を含めて感染対策ができるような人々に限る」とし、小学生を例に挙げたのだ。決して子どもを招ぐことが安全だとは言っていない。
コロナ禍は、オリパラを利用して子どもたちの心を支配し、命すら犠牲にしようとする国や都の本質を浮き彫りにした。
(注1)東京都教育庁による。学校連携観戦予算は一部繰り越しを含む。
(注2)大会組織委員会、日本オリンピック委員会も、日本パラリンピック委員会もオリパラ教育をやっているが、予算はいずれも「個別の事業については答えていません」。
※ ながおとしひこ・ルポライター。著書に『ルポ「日の丸・君が代」強制』(緑風出版)ほか。
『週刊金曜日 1337号』(2021/7/16)
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