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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

2017年3月五者卒業式・入学式対本部の都教委要請文

2017年03月16日 | ノンジャンル
◎ 良心的不服従教員に対して、懲戒処分及び
再発防止研修を行わないことを求める要請

 1月25日に、東京都教育委員会宛に『卒・入学式を前に起立斉唱等の職務命令を出さないこと等を求める要請』を提出したにも関わらず、教育委員会に諮られた形跡もないまま、事務方の紋切り型の回答のみで、私たちの要請は受け入れられることなく、職務命令が発令されてしまいました。
 それでも、子どもたちの思想及び良心の自由の侵害に手を貸すわけにはいかないと考え、教職員としての責務に忠実であろうとして職務命令に従えなかった教職員がいました。「10・23通達」以来14年で、これまで延べ478人が処分されてきましたが、どんなに不利益を課されても良心的不服従を貫く教職員が後を絶ったことはありません。
 2012年最高裁判決では、「稔りなき応酬を終息させることは,関係者全ての責務というべきである」(第一小法廷横田尤孝(ともゆき)裁判官)を始めとしてこれと同趣旨の補足意見が多数つきました。
 「何が子供たちの教育にとって,また子供たちの将来にとって必要かつ適切なことかという視点」(第一小法廷桜井龍(りゆう)子(こ)裁判官)に立って1日も早い解決が求められているのではないでしょうか。
 かつて都立高校生徒の自主性を大切にする自由でのびのびとした所でした。職員会議ではいつも活発な議論が繰り広げられ、学校のことはなんでもみんなで話し合って民主的に決めていました。生徒が卒業する時には、卒業式実行委員会の生徒たちと話し合って創意工夫にあふれた感動的な卒業式を作り上げていました。そこでは生徒も教職員も毎日生き生きと楽しく過ごしていました。
 でも、この自由で民主的な都立高校は「10.23通達」が出てからすっかり変わってしまいました。上意下達の画一的な指導体制で、学力スタンダードや生活指導統一基準など生徒への管理教育もますます強化され、都教委による日本史教科書選定への妨害も続いています。自由や民主主義を教えるべき学校には、今や自由も民主主義もないのです。
 教育の目的は、「人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成」(教基法第1条)にあります。教育委員会の責務とは、教育の目的の実現を目指して職務に専念している教員を、「励まし、援助するように計画されるもの」(ユネスコ教員の地位に関する勧告パラ6)であって、その逆に「教員の自由、創造性、責任感をそこなうようなものであってはならない」(同上)とされています。
 国際社会で尊敬され信頼される日本人を育てるために、国際標準の普遍的な教育理念に基づいて、教育委員会が自らの職責を正しく果たすことを求めて、以下の要請を行います。

 1,教員の専門職上の自由を束縛し、生徒の公正な教育を受ける権利を阻害し、職務命令による上意下達の画一的な管理教育により、自由で闊達であるべき教育現場から創意工夫や自主性を奪って、結果的に精神疾患者を増大させ、副校長のなり手もなくなるような、教育環境の悪化を招いた元凶である2003年「10・23通達」を撤回すること
 2,教員自らの歴史観・世界観ないし教育上の信念に基づく行動に対して、教員の教育における専門職上の自由を尊重し、いかなる「処分」も科さないこと。とりわけ2012年最高裁判決以降の判例の積み重ねで、違法が明白となった処分量定の機械的累積加重など裁量権の逸脱濫用は厳に慎むこと。
 3,思想及び良心は内心にとどまる限りにおいては絶対的に保障されるところ、不起立行為等の再発を防止すると言うことは、外部に行動として現れる前の内心の改変を迫ることに当たり、そのような研修は、憲法で禁止されているので絶対に行わないこと
 4,不起立行為等に対する服務事故再発防止研修で、どのような成果を求めているのか。これまでにそのような成果は上がってきたのか。答えられたい。
 5,今年、都教委は、卒業式の進行表に生徒の不起立についての対応が書かれていない学校に対して「司会は、生徒の不起立者多数の場合『ご起立ください』と言う」という文言を入れるよう突き返して書き直しを求めたが、それは学校の教育課程編成権(『学習指導要領』「第1 教育課程編成の一般方針 1.」)の侵害に当たり、また「教員が、憲法に保障された基本的人権であります内心の自由にまで立ち入って強制すると判断されるような教育活動を行ってはならない。こういう点につきましては、私ども、今後とも十分留意をして参りたいと思っております」(1999.8.4.文教委員会御手洗政府委員)という、国旗国歌法制定時の政府答弁をも逸脱する、教員に生徒への人権侵害を促す憲法違反・子どもの権利条約違反の、教育委員会の権限を越えた不当な介入なので、直ちに止めること。
 6,『都教委1.24議決』には、教育の目的について「人格の完成と、国家や社会の形成者の育成にあることは普遍の原理」と記載しているが、わが国の『教育基本法』では、教育の目的を「人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者・・・の育成を期して」としている。前者には、後者にある「平和で民主的な」の言葉がないが、「普遍の原理」と言いつつわが国の教育の憲法と称される『教育基本法』にある「平和で民主的な」という言葉をわざわざ外している理由を説明されたい。
 7,『都教委1.24議決』には、「教員の責務」なる用語が使われているが、教育法規等で「教員の責務」という用語が使われている例を示されたい。
 8,『都教委1.24議決』には、「国際社会で尊敬され、信頼され」るためには「国旗及び国歌」の尊重が必要だと書いてあるが、国際条約ないし教育に関する国際的な法令等の中に「国旗及び国歌」に対するrespectをうたった事例があれば、示されたい。
 9,都教委は2013年6月27日、実教出版日本史教科書2種を都立高校において使用することは適切でないとの見解を議決し、全都立高校校長に周知して、その結果当該教科書の採択はゼロとなった。開示資料によれば、「適切でない」理由とは、「学習指導要領及び通達に基づく校長の職務命令に従い、教員が国旗・国歌の指導を適切に行うことは、教員の責務であり、このことを『強制』と記述することは、都教育委員会の考え方と相容れないものである」からという【別添資料】。この点について、
 (1)「職務命令」は「強制」ではない、というのが都教委の考え方で、間違いないか。
 (2)「教員が国旗・国歌の指導を適正に行う」とは、教員が「起立斉唱」することであると書かれている教育法規の該当箇所を示されたい。
 (3)都教委が教職員に対して、国旗掲揚国歌斉唱時の起立斉唱を「強制」しているというのは、「誤った認識」である、ということで間違いないか。
 10,前回【資料3】として、文科省の見解を提示しつつ、要請項目14,で「文科省の見解と、都教委も同じ立場と理解しても良いか」と聞いたのに対して指導部指導企画課は、質問に正対せず「はい」か「いいえ」で答えなかった。
 改めて、文科省は、国旗及び国歌の指導について「各学校は学習指導要領の定めるところに基づき、児童生徒を指導する責務を負うものであり、具体的な指導に当たっては各学校において創意工夫を加えることが必要である」(2015年7月27日)と文書回答しているのに対して、都教委は、国旗及び国歌の指導について、これと異なる方針で臨んでいるのか、問う。質問に正対して、文科省の国旗及び国歌の指導と都教委の国旗及び国歌の指導とは、「同じ」か「違う」で答えられたい。
 11,前回の要請項目15,では、「『思想及び良心の自由』に関わる理由で教育活動の一部または全部に参加できない意思を示す生徒がいた場合の『適正な指導』とは何か、示されたい。」と聞いたのに対し、指導部指導企画課は「学習指導要領・・・に基づき、児童・生徒に国旗・国歌に対する正しい認識をもたせ、それらを尊重する態度を育てることです」と回答した。それでは、より具体的に質問する。
 ある市民の方から「行事のたびにグループごとに国歌を歌い競わせるという学習があり、声の大きいグループから座っていき、声の小さいグループは延々立ったまま歌わされるという『強制学習』がありました。当然、歌わない私を含むグループが一番最後まで歌わされた。」という体験談が私たちのもとに届いている。「君が代」の意味や扱いの変遷、それが社会にもたらした影響等を知り、歌いたくないと意思表明した児童・生徒に対する指導のあり方として、このような「強制学習」が学習指導要領に基づいた「適正な指導」と言えるかどうか、見解を問う。
 12,前回の要請項目16.「わが国が批准した国際人権条約を遵守する義務と国際人権機関からの勧告を尊重し誠実に実行する責務は・・・地方自治体にもあることを確認されたい。」に対する総務部教育政策課の回答は、「東京都教育委員会は、我が国が批准した国際人権規約などについて答える立場にありません。」であった。
 ということは、「わが国が批准した国際人権条約を遵守する義務と国際人権機関からの勧告を尊重し誠実に実行する責務は、地方自治体にはない」と東京都教育委員会は考えていると理解して間違いないか。「はい」か「いいえ」で答えられたい。
 13,前回の要請項目17,に対する総務部教育政策課の回答は、「前回(平成28年4月22日)の要請事項7(4)に回答したとおりです。」というものであった。
 その「前回(平成28年4月22日)の要請事項7(4)」への回答とは、「外務省総合外交政策局人権人道課長から都道府県人権主管部局長あてに発出された文書(平成26年10月3日付総人合第1029号)については、東京都総務局人権部で収受された後、各局等人権主管課長宛に事務連絡されました。教育庁においては、総務部教育政策課で収受し、関係者で情報共有を図りました。」というものであった。
 それでは、上級官庁からの連絡に基づいて教育庁において情報共有を図った「関係者」とは具体的にどの範囲ないし誰を指すのか、「関係者」の部署と職位を列挙されたい。また情報共有したおよその人数を示されたい
以上

五者卒業式・入学式対策本部
 「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会
 再雇用拒否撤回を求める第二次原告団
 東京「再雇用拒否」第三次訴訟原告団
 「日の丸・君が代」強制反対・予防訴訟をひきつぐ会
 「君が代」強制解雇裁判をひきつぐ会
対策本部長:川村佐和(都立美原高校)
(回答期限) 3月21日(火)

2017年3月14日
東京都教育委員会 教育長 中井敬三  殿
 委員  遠藤勝裕  殿
 委員  山口 香  殿
 委員  宮崎 緑  殿
 委員  大杉 覚  殿
 委員  秋山千枝子 殿



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