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2017年3月被処分者の会の都教委要請文

2017年03月17日 | 日の丸・君が代関連ニュース
◎ 要 請 書
2017年3月14日
「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会
東京「君が代」裁判原告団 共同代表 岩木 俊一  星野 直之
 東京都教育委員会教育長 中井 敬三 殿

 <要請の趣旨>
 1.東京都教育委員会は、本会の本年1月25日付「要請書」の「6 卒業式、入学式で10.23通達に基づく新たな懲戒処分を行わないこと」との要請に対して「卒業式等の式典において国歌斉唱時の起立斉唱を教員に求めた校長の職務命令が合憲であることは、最高裁判決で繰り返し認められているところであり、職務命令達反があった場合には、個々の事案の状況に応じて厳正に対処します。(所管:人事部職員課)」と回答し(2月15日付)、今次卒業式・入学式でも新たな懲戒処分を行う姿勢を示しています。
 また同「要請書」の「7 同通達に係わり懲戒処分を受けた教職員に対する『服務事故再発防止研修』を行わないこと」との要請に対する回答(2月15日付)では、「懲戒処分の原因となった服務事故の再発を防止するため、関係規定に基づき、懲戒処分を受けた者に対し、服務事故再発防止研修を実施します。(所管:人事部職員課)」とし、卒業式・入学式の被処分者に対する再発防止研修を強行しようとしています。
 2.10・23通達とそれに基づく職務命令違反を理由とした処分は、起立斉唱行為が、「思想及び良心の自由」の「間接的制約」であることを認めた最高裁判決(都教委は「職務命令が合憲であることは、最高裁判決で繰り返し認められている」と回答で述べているが最高裁判決では、「合憲」なる言葉は用いられていない)、教育環境の悪化を危惧して、「教育の現場において…自由で闊達な教育が実施されていくことが切に望まれるところであり、全ての関係者によってそのための具体的な方策と努力が真摯かつ速やかに尽くされていく必要がある」という補足意見(櫻井龍子裁判官 2012年1月16日最高裁判決)、「謙抑的な対応が教育現場における状況の改善に資するものというべき」と述べ、教育行政による硬直的な処分に対して反省と改善を求めている補足意見(鬼丸かおる裁判官 2013年9月6日最高裁判決)などをないがしろにするものです。
 3.都教委は、昨年、卒業式で「君が代」斉唱時に起立しなかったとして特別支援学校教員に減給10分の1・1月の懲戒処分を発令しました。
 これは、「戒告を超えてより重い減給以上の処分を選択することについては,本件事案の性質等を踏まえた慎重な考慮が必要」「処分の選択が重きに失し、社会観念上著しく妥当を欠き、・・・懲戒権者の裁量権の範囲を超え・・・、違法」として減給以上の処分を取り消し都教委による従来の累積加重処分に歯止めをかけた最高裁判決(2012年1月及び2013年9月)などの趣旨に反するものです。
 4.卒業式・入学式の被処分者に対する「服務事故再発防止研修」は、2012年度より質量ともに強化され、「繰り返し同一内容の研修を受けさせ、自己の非を認めさせようとするなど、公務員個人の内心の自由に踏み込み、著しい精神的苦痛を与える程度に至るものであれば、そのような研修や研修命令は合理的に許容されている範囲を超えるものとして違憲違法の問題を生じる可能性があるといわなければならない」(東京地裁民事19部決定 2004年7月23日)に反しています。
  特に、「研修」に先立って課された「受講前報告書」の内容は、①服務事故を起こすに至った状況を振り返り、その原因・理由について記述する、②服務事故を起こしたときの気持ちはどのようであったか、その時の気持ちを記述する、③起こした服務事故に対して、現在の気持ちや考えを記述する、というものです。
 事前課題を含む「研修」は、明らかに受講者に内心の表白を迫り、「思想改造」を企図しており、上記東京地裁決定(2004年7月)に反して「思想・良心の自由」を真っ向から踏みにじるものです。
 5.最高裁、東京高裁、東京地裁で確定した処分取消の総数は、67件・57名に上ります。東京都教育委員会が、最高裁・東京地裁・東京高裁で「違法」とされた処分を行ったことは、教育行政として重大な責任が問われる行為です。私たちは、処分取消が確定した原告らに謝罪し、再発防止策を講じるよう繰り返し求めてきました。しかし、都教委は、要請に正対せず、的外れで不誠実な回答に終始しています。私たちの要請に真摯に向き合い、回答することを強く求めます。
 6.私たちは、これまで「都教育庁の責任ある職員と被処分者の会・同弁護団との話し合いの場を設定すること」「(要請書等を)教育委員会で配付し、慎重に検討、議論し、回答すること」を繰り返し要請してきました。しかるに都教委は、「そのような考えはありません。なお、団体からの要請等については、総務部教育情報課を通じて御意見等をお聞きするとともに、必要に応じて回答をしているところです。」(2月15日付)、「既に方針が決定済みの事項であることから・・・教育委員会での検討、議論は行いません」(2月15日付」)と「回答」しています。
 これでは、教育情報課を隠れ蓑にして、都教委の各所管の責任を曖昧にし、担当部署への直接の要請を拒む都民不在のシステムといわざるを得ません。
 「既に方針が決定済みの事項であることから・・・教育委員会での検討、議論は行いません」というに至っては、教育委員会事務局である教育庁の独断専行であり、一度決定されたらその後いかに状況が変化しても、「決定済み」であるとして教育施策を変更・改善しないことになります。これは都民の要請に背を向けるばかりか、問題解決の努力を放棄するものです。
 以上の趣旨から、以下の諸点を要請します。

 <申し入れ事項>
1 東京都教育委員会が2003年10月23日に発出したいわゆる「10.23通達」を撤回すること、また同通達に基づく一切の懲戒処分・厳重注意等を取り消すこと。
2 3月23日に予定されている第6回東京都教育委員会定例会で卒業式に係わり10.23通達に基づく新たな懲戒処分を決定しないこと。
3 最高裁判決に反して減給処分を行わないこと。

4 「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱について」(平成24年1月24日)の都教委の「議決」を撤回すること。
5 卒業式で処分を受けた教職員を対象とした「服務事故再発防止研修」を行わないこと。
6 同研修対象者に受講前報告書の作成を強要しないこと。

7 4月の入学式で10・23通達に基づく新たな懲戒処分を行わないこと。

8 卒業式被処分者対象の再発防止研修予定日の前に、都教育庁関係部署(人事部職員課、指導部指導企画課、指導部高校教育指導課、教職員研修センター研修部教育経営課など)の責任ある職員と該当者及び被処分者の会・同弁護団との話し合いの場を設定すること。
9 本要請書を教育委員会で配布し、慎重に検討・審議し、回答すること。
 <連絡先> 同会・同原告団事務局長 近藤 徹 
 <回答期限> 2017年3月22日(水)。上記近藤までFAX及び文書で回答すること。
 <追加> 前回要請(1月25日)での追加事項に関して
 1月25日の都教委要請では、追加事項として「秋山委員の就任時に事務局から事業説明を行ったということであれば、そのメンバーと内容を示してほしい。国旗・国歌に関する一連の事項(判決内容など)について説明しているのか。」と求めました。
 これに関して、2月15日の都教委回答の中で、教育情報課名で「別紙のとおりになります。」との「回答」がありました。
 1月25日の要請時に、矢野課長は、「事務局として教育庁から説明をしている。その中には最高裁判決についての都教委の議決(2012年1月24日)、訴訟のことなども含まれる」と答えました。しかし「別紙 東京都教育庁所管事業の説明について」(平成28年10月13日、同10月20日)の記録を見ても「10・23通達、1・24都教委議決、関連訴訟(判決)の説明」などの項目などはありません。
 「国旗・国歌に関する一連の事項(判決内容など)」について「別紙 東京都教育庁所管事業の説明について」のどの担当部のどの説明者が、どの項目で、何をどのように説明をしたのか、具体的にお答えください。

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