パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

教育を受ける権利が1兆円市場になった奨学金ローン

2014年10月24日 | 格差社会
  《労働情報》 特集:奨学金ローンが重すぎる
 ◆ 当事者も家族もたいへんです
比嘉勝子(奨学金返済に悩む人の会 沖縄)

 学生の2人に1人が借りている奨学金。年々学費は高騰し、親の労働環境悪化による貧困で家計は苦しさが増し、奨学金が親の生活費の一部になる場合も。卒業時には、数百万から1千万の借金に膨らみ半年後から返還が始まる。
 沖縄では非正規労働が全体の7割を超え、不安定雇用の拡大で経済的、精神的に追い詰められ「就職できない、低収入で生活費だけで精一杯、返したくても返還できない、延滞金が膨らみ裁判所から一括請求がくる」など奨学金被害者が増加している。
 私自身も返済困難になり、日本学生支援機構と団体交渉をし、返還期限猶予の条件である年収300万以下を明らかにさせた
 それ以降、沖縄なかまユニオンと奨学金返済に悩む人の会を立ち上げ、ホットラインや面談と300名以上の返還相談と集団申請に取組んだ。
 活動を続けていく中で弁護士、司法書士と繋がり、制度改善を求める国会請願署名を昨年夏から春に全国展開。約3万6千筆が集まり国会議員に提出された。
 沖縄では約3900筆を集めた。過去の相談者や会員から知人、家族へと呼びかけられ、PTAで500筆を集めた母親、普天間基地の野嵩ゲートや県庁前での署名など、基地と貧困は、共通する問題であることを改めて社会に発信できた。
 そして、全国ホットラインを6月15日に奨学金問題対策全国会議と連携し、会員2名の応援で実施。
 「アルバイトで月3万円の返済が苦しく車の購入ローンも組めない、減額返還希望」
 「親からの分割返還相談には回答できないと言われたが、債権回収会社から電話、ハガキ、振込用紙とともに無理な金額を請求された、少しでも返還可能な額で返還したい」と相談が寄せられた。
 一方的に無理な返還を迫られ、深刻な悩みが本人だけでなく保証人の親にも広がっている
 7月20日には、奨学金返済に悩む人の会設立1周年の集いを開催。奨学金問題全国対策会議事務局長の岩重氏を迎え、奨学金問題から女性、子ども、沖縄の貧困まで広い視点と充実した講演内容で、返還当事者や署名協力者と交流。4名の入会があり現在16名まで会員拡大している。
 これまでの活動の成果として、返還期限猶予が5年から10年へ延長し救済制度は前進したが、周知されず、返済滞納者は年々増え続け、全国で約33万人が滞納、滞納額は過去最高の925億円にのぼる。
 これに対して、国は返還困難者の給与などを把握しマイナンバー制度を利用した所得連動型の返済や、延滞者に経済的徴兵制として自衛官への斡旋を検討。
 戦争できる国家づくりや貧困ビジネスに利用するのではなく、人らしく等しく教育を受けられる給付制奨学金が必要だ。
 また、延滞金充当順位改善から延滞金廃止、返還期限猶予上限撤廃、所得に応じた柔軟な返還制度に変えていく活動を仲間を増やして続けていきたいと思う。
『労働情報 896号』(2014/10/1)

コメント    この記事についてブログを書く
« 11.29東京・教育の自由... | トップ | 12.13「予防ひきつぐ会... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

格差社会」カテゴリの最新記事