パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

杉並師範塾の実態

2007年01月27日 | 平和憲法
 ◎ 杉並師範館は儒教道徳復古塾

◆きわめつけの「杉並師範館」

 一番ひどいのが、最後にちょっと出してありまずけれども、「師範館」の問題です。これを見てもらうとわかりますけれども、「師範館」は、「設立趣意書」というのが後ろの資料に出ています。これを読めばですね、非常にひどいとお感じになると思います。そもそも教員養成というものは、戦後民主教育のひとつの柱でしたよね。
 開放性と、戦前の師範学校がいわゆる閉鎖性の師範で教育勅語を中心にして権力的に上から国の教育方針を、そのまま介入してくるような師範をつくるということで師範学校ができたわけですけれども、それと、言葉も「師範館」ということでまさに同じだし、文章を読んでも「杉並から必ずや新しい学校を日本の未来を切り開く」という気概でやるんだということが書かれています。

◆「天の命ずる」ところで指導すべき~「師範館」教官心得

 で、特にひどいのは、次のページをめくってもらうとですね、運営方針というのがあります。それを読んでいただくと、まあ、びっくりします。
 特にですね、教官心得というところをちょっと読んでみます。
 「忠恕をもって接し、道義をもって説き、知行をもって示し、天命をもって導く。師範館の教官は、常にうそ偽りのない心と、深い思いやりの心で生徒に接しなければいけません。そしてこの宇宙万物の根源であり規範である『道義』を説くことこそが、その責務であります。しかしその示し方は、常に知と行、つまり行動をもって手本を示すことを忘れてはなりません。そしてそれらは、自分の好むところで行うのではなく、天の命ずるところ、つまり天にかわって指導しているという自覚と覚悟をもって行ってほしいのです。」
     
◆日曜日には「孟子」の講習
 これを保護者に見せましたら、「え一っ」とぴっくりしてましたが、「これ、いまの『師範館』の教官心得ですか」と。
 これを読むとですね、いかに時代錯誤の内容を杉並区は行おうとしているのか。
 そしてその次のところにですね、資料で出してありますけれども、日曜日に講義はこんなのをやっています。
 「大学」、「大学」、・・・「小学」、・・・つまり「孟子」ですよね。「孟子」を読む。こんなのずう一っと日曜ごとにやらされます。

◆「見込み」だけの無責任な説明
 そして、「Q&A」。
 またこれも先ほど言った「小・中一貫校」と同じですけれども、いかにでたらめかというのがよくわかりますが、「希望する学校に勤務できますか」ということで、配属校はどこになるかわかりません、というけれども「一応杉並区を基本としています」と書いてある。
 それで、任期付ではなく正規の教員として採用されるんですかということには、「現行法上教員採用を行うのは都道府県または指定都市となっていますが、特区の『市町村負担教職員任用事業』が全国展開されていることが閣議決定されており、平成18年度においては区市町村においても採用が可能となる見込みです」と。見込みをしているわけです。
 で、そのあともちょっと書いてありますけど見えにくく書いてありますよね。

◆「塾生」もぽろぽろと・・・
 とにかく行き当たりばったりで、全体がどう変わるかによって、変わっちゃうわけですよ。こんなあいまいなことをですね、見通しもはっきりしない、それを公然と採ったわけですよ。
 で、30人募集しまして29人採用しましたが、今現在はぽろぽろと歯が欠けてきています。もうこんなのひどい、やっているうちにこれはもうとてもじゃないけれどまともな教員になれないなと思った人たちが多いんだろうと思いますが、もう5人やめています。
 で、さらに夏休みを終えてなんか抜けそうな気配だというふうにいわれていまずけれども。

◆行き当たりばったりの政策だ!
 どう考えても、杉並区の職員として採用されて、お金は杉並区が出せばいい。任用は最終的に東京都と同じような待遇にしますよと言ってまずけれども、法制上はですね、定数にカウントできないわけですよね。いまのままでいったら。
 だからそうなってくると正規の職員といても非常に不安定で、今回条例を、11月ごろに案を出すからというようなことをこの間交渉したときに言ってましたが、それもどんな案が出てくるのかいまだにまったく見えません。だって30人を区だけで採るといういことは、

◆大変な金額ですよね。区費を相当使い込むわけです。
 で、実際にはそれを毎年続けるとなると、法改正が行われない限り、明らかに杉並区で留まらざるをえないわけですから、10年経ったら300人ですよ。
 こんなことが「師範館」の趣意書に見られるような教育を受けた教員を、そして条件にはですね、杉並区はこの「師範館」の塾生を対象として選考します。つまり優先的に杉並区はそれから採用していくんだよとみたいなことを一応方針に掲げていますけれども、非常にあいまいで行き当たりばったりだと思います。

◆一番の被害者は子どもたち
 都立学校の再編が、これほどひどくはないとは思いますけれども、とにかく見通しのないままに思いつきで次々と「改革」案をうちだしているということで、現場の教員も、それから、一番被害にあうのは子供たちだと思います。
 私たちはやっぱり子供たちが、こういう実験台にさせられて、なんかそこに入ったはいいけれども、なんか「小・中一貫」だと言いながら、全然中学と連動していないし、そもそも和泉中は1学級になつちゃったんです。いままで2学級だったんですけど、もう人気なくて、全然希望者がいないということで、だからたぶん「小・中一貫」は途中でつぶれるだろうと思うんです。

◆教員の多忙化、職場の矛盾が爆発する
 そんなことも莫大なお金を使って平気でやるのが「教育改革」、その流れのなかで、教員の多忙化は際限なく進んでいます。確かに最近、7時、8時、9時、あるいは10時ぐらいまで教員がいっぱい残っています。
 土日も先ほど報告がありましたけれども、土日もほんとになしで勤務している人が多いです。それも「報告書」とかですね、そういうことをたくさん書かされる、教育にとってはほとんどまったくメリットのない労働をさせられながら忙しくさせられる。
 こういうことでいま現場が進行してますので、ほんとうに矛盾が各職場で欝積していて、組合員じゃない人も、この前、理科の研修、ここにくるまえに理科の研修で弓ヶ浜に行ってたんですけれども、弓ヶ浜に行った校長が「組合がやっぱりがんばってもらわないとどうしょうもないね」というふうに言ってましたよ。
 主幹の特昇もですね、主幹に割り当てる枠をちゃんと今年から設けるということで通知が来たよと、「あんなこと組合が許すのか?」って。
 しかし、交渉に行ったんですけれどもまったく交渉をさせてもらえない状況になりつつあるということで、非常に苦しいんですけれども。(略)

(『都高教第三支部夏季合宿報告集』「記念講演」<長谷川和男杉教組委員長>より)

「杉並師範館HP」http://www.shihankan.jp/

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