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★ 都教委にとって大事なのは、子どもたちの学習権保障よりも
「君が代」不起立教員排除?
教員不足が大きな問題になっていることはご存じのことと思います。
私が住む東京八王子市のK中学校では、新年度が始まった4月から家庭科の講師が充当されず、家庭科の授業がないまま現在に至っています。私は13年前まで中学校の家庭科教員をしていたので、「講師希望」をしたのですが、虚偽の理由をつけて学校側から不採用連絡を受けました。
不採用の本当の理由は、表題のとおりと私は思っています。少し長くなりますが、具体的に事実経過を記します。ご一緒に考えていただけたらと願って。(*写真=根津公子さん)
「家庭科講師を紹介して」との同校副校長のメールを4月25日に友人から受けた私は友人を経由して快諾の意を、「君が代」処分を受け続けてきたことも添えて伝えました。
それを受けた副校長から折り返し私に電話があり、副校長は「これで3年生の内申が出せる」と大喜び。翌朝9時に学校で面接の運びとなりました。
しかし、校長室に通されると校長はにこりともしないで開口一番、「今市教委に心当たりがあり当たってくれていて、見つかるかもしれない」と言いました。他にはなんの応答もなく、面接は終わり。
この時点で私は、校長は「数日後に採用しない」と言ってくるだろうと思っていました。「内申が出せる」と安堵した副校長は、校長からこっぴどく叱られたに違いないとも思いました。
案の定、5月2日に副校長から「市教委が探してくれた方に決まりました」と電話が入りました。
6月3日、同校の中学生に聞くと、「まだ家庭科の授業は始まっていません」と言います。
私はすぐに市教委に行き、名前は名乗らずに「K町に住む者です。K中の家庭科の授業はいつになったら始まるのか、お伺いしたく参りました」と言うと、教職員課の課長補佐が対応し、「市教委のHPでも募集をかけていますが、まだ、応募者がいません」と。
課長補佐さんは、私がK中の生徒の祖母と思ったようで、少し慌てた様子でした(私はK中が学区のK町在住なのです。自宅からK中までは1km)。
「えっ、校長は5月2日に市教委が探してくれた人にお願いした」と私に言いましたけど。申し遅れました。私は13年前まで中学校の家庭科の教員をしておりまして、K中で家庭科の講師がいなくて困っているということなので、講師の希望を伝え、4月末に校長と面接をしました。そして5月2日に「市教委が探してくれた講師に決定した」と副校長から返事を受けました。校長と課長補佐さんの言うことが食い違っていますよね。どちらかが嘘をついているということですか。課長補佐さんが言われたことに嘘偽りはないですか」
と確認すると、彼は「ありません」。
「ならば、今ここで校長・副校長に電話を入れてください。学校側が私に言ったことを確認してください」と私。
課長補佐は電話を入れてくれましたが、やり取りは私のところまで聞こえません。
電話の後、「今、校長・副校長ともに不在だそうです」と言うので、「明日、あなたに電話を入れますから、確かめておいてください」とお願いしておきました。
ついでに、講師の採用手続きについて聞くと、「校長が決めた人を通常市教委は採用しています」と課長補佐。
「通常ではない事例は」と聞くと、「懲戒処分を受けた人」とのこと。
都教委は講師の採用に当たって提出させる文書に「懲戒処分の有無」を書かせる欄を昨年から設けたということですので私の場合、市教委を通過したとしても、都教委が管轄する講師登録の際に落とされたことは間違いありませんが。
校長はこのことを知っていたのかもしれませんし、欠員に困ってはいても講師の候補として根津を市教委にあげたら、自身の汚点になると思ったのかもしれません。
市教委に翌4日、電話を入れたところ、課長補佐は「まだ講師は決まっていないということでした」と言うので、「校長が根津に伝えたことは嘘、作り話だったかを聞きましたか」と聞くと「そこまで聞きませんでした」。「その点を確認してほしいと私は申し上げましたよ」と言っただけで話は終わりにしました。
K中の校長は、子どもたちの学習権を保障できないこと、及び3年生の内申点が出せないことにどう責任を取るつもりなのでしょう。
講師が来てくれると喜んだ副校長は、自身の考えをなぜ押し通すことができなかったのでしょう。
2人の対応は、上意下達の組織では「上」の間違った判断が優先されてしまう現実を物語っているのではないでしょうか。
指示命令に従わない、教育行政にとって不都合な教員を排除する。それが都の教育行政です。異論を排除した教員集団は、誤った指示を出す教育行政に沈黙するしかなく、都の教育行政は悪化するばかりです。現役の教員に聞くと、事実、そうなってしまっているようです。
また、民主主義を学び、自己の考え(思想良心の自由)を形成する場であるはずの学校には、異論を提示しまた、異論の提示を保証する教員が必要です。指示命令に従わない教員を学校から排除するのでは、子どもたちはその学びができなくなります。
私は2004年度から毎年、「君が代」不起立処分を受け続け、その事実を生徒たちに伝え、あるいは投げかけてきました。
生徒たちは、根津がいるから事実がわかるが、根津がいなかったら事実がわからないと言っていました。
さらには、ストレスを発散させるためにしてしまったという盗撮の服務事故が絶えないのも教員希望が減るのも、指示命令が横行する職場環境によると思います。
それを指摘する教育行政の職員は現れないのでしょうね。
皆さん、K中のようなことが生じたら、ぜひ声をあげてください。私の事例を使って「『君が代』処分を受けた退職者を採用すればこと済むではないか」と言ってもらえば、充当できる講師はかなりの数、いるはずです。
なにせ、延べ484人の教員が「君が代」処分を受けていますから。
『レイバーネット日本』(2024-06-13)
http://www.labornetjp.org/news/2024/0613nezu
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