パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

腐りきった日本の司法

2005年01月13日 | 平和憲法
【青色LED訴訟】中村教授が、痛烈に司法批判

 青色発光ダイオード(LED)の特許権対価をめぐる訴訟が十一日、日亜化学工業(徳島県阿南市)が中村修二・米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授(50)に、特許対価約六億円に遅延損害金を加えた計約八億四千万円を支払うことで東京高裁で和解したことを受け、中村教授が共同通信に手記を寄せた。全文は次の通り。

和解受け中村教授が手記

 六億円(遅延損害金を加えると約八億四千万円)という金額を、日本の技術者や子どもたちは一体どう思うだろう。百年に一度といわれる世界的発明の対価として多いか少ないか。それなら芸能人やスポーツ選手の方が夢がある、と考えるのが自然だ。

 昨年一月、正義に基づいた東京地裁の判決に「これで日本が変わる」と大きな喜びを感じた。だが、東京高裁の裁判長は最初から上限額を決めて「これ以上払えば会社がつぶれる」の一点張り。何の根拠も示さぬまま「まず結論ありき」だった。判決を待っていても同じで、最高裁は法律論しか争わないとなれば、私としては和解に応じる以外にない。企業の利益を圧倒的に優先させた封建時代そのままの対応に、日本の司法制度の悪い部分を見た気がして、大きなショックを受けた。

 アメリカでの訴訟経験と比較すると、日本がいかに企業寄りの司法制度なのかがよく分かる。発明者の私は、必要な証拠を丸ごと企業に押さえられたままで、証拠開示にも応じてもらえない。明白なうそをついても偽証罪に問われないことがほとんどだ。陪審員制度での裁判ではありえないことが行われている。これで民主主義国家といえるのか。私はむしろ個人の主張を封じる社会主義、共産主義に近い印象を持っている。

 裁判所が上限として示した和解金額は特許の貢献度に換算すれば信じられないほど低い。金は研究成果の評価を示す尺度であり、発明をした社員が正当な評価として報酬を求めるのは正しいことなのだが「会社に物言うなんてとんでもない」という考えが強い日本では、まだ受け入れられないようだ。これでは競争力のある発明が生まれる土壌とはいえまい。

 裁判を続けた成果があるとすれば、私の訴訟を機に技術者が相当対価を会社に請求できることが広く知られたこと。それと日本を変えようという意欲に満ちた東京地裁の裁判官が判決で正義を示してくれたことだろう。

 この数年で企業の取り組みは劇的に変わり、億単位や上限なしの発明報奨制度も珍しくなくなった。私が当時受け取った報奨金が二万円だったことを考えれば大きな変化だ。日本の技術社員が会社と対等に向き合える日は遠いと感じるが、この訴訟で少しは近づいたかもしれない。

[東京新聞2004/1/12朝刊]

「腐りきってる」と批判された東京高裁の裁判長は、佐藤久夫。
上に行くほど封建的と評される日本の司法制度は、国際社会の批判に堪えないことが歴然。裁判所は批判を真摯に受け止める度量が求められる。

コメント    この記事についてブログを書く
« 検閲に踏み込む都教委 | トップ | (無題) »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

平和憲法」カテゴリの最新記事