◆ 現場から問う公務職場の身分制 (労働情報)
2017年5月の地方公務員法の改定で、公務の最前線で働いている地方自治体の特別職非常勤嘱託職員(全国で22万人以上)が、2020年4月から、一般職会計年度任用職員に任用変更になります。
これについて、政府・マスメディアは、制度が整備され、公務非正規にも期末手当や退職手当の支給が可能になり労働条件が改善される、としています。しかし、決してそうではありません。
何故かといいますと、その目的が、労働基本権を武器にして闘っている私たちのような単独労組や混合労組、地域合同労組を、公務職場から一掃することにあると考えるからです。
特別職非常勤は、正規の常勤職員なら当然のように保持している身分保障や人事委員会(公平委員会)への不服申立ての制度から排除されています。
ゆえに、労働基本権の保持を確認した上で、団体交渉を行い、労働委員会に申立てを行い、ストライキも行いながら、雇用を守り、長い時間を費やして、漸進的に労働条件の改善を勝ち取ってきました。
しかし、特別職非常勤から一般職会計年度任用職員に任用変更されることによって、労働基本権がはく奪され、公務員としての身分保障も不充分なものになってしまいます。
そして、結果として、法改定は、無権利状態のドレイのような職員を公務職場に生みだすことにつながります。このようなことが21世紀の今の時代にあってはなりません。
これに対しては、多種多様な行動が行われています。
たとえば一例として、「連帯労働者組合・杉並」、「連帯労働者組合・板橋区パート」、「あぱけん神戸」と私たちの4団体は、労働基本権はく奪に対して、国際機関からの政府への勧告に希望を見出して、ILO提訴に踏み切っています。
このような、全国各地の取り組みや職場での闘いを通じて、公務で労働基本権を駆使した労働組合運動を、カまず、あせらず、あきらめず、継続していくことが重要だと考えます。
さて公務は、本来、基幹的で恒常的で本格的なものであり、正規の常勤職員が担うべきものです。
しかし、1980年の臨調・行革以降に顕著な傾向ですが、政府が人員の削減を求める一方、業務量が増加し、市民の様々な二ーズに応えるために職種が多様化し、専門的な知識が要求されることから、常勤職員のみでは業務を担いきれなくなりました。
この問題の解決策として、劣悪な労働条件の特別職非常勤を脱法的に代替させ、あるいは外部化・民間委託化を進めました。これが、「官製ワーキングプア」の激増と社会問題化の原因です。
さらに危惧することは、2020年4月以降、公務職場に、〈正規の常勤職員-非正規の会計年度任用職員…非正規の臨時的任用職員-民間委託・派遣労働者〉という差別と身分制が、なおいっそう固定化されてしまうことです。
ぜひ今後とも、公務非正規の運動にご注目をいただくようお願いします。
『労働情報 No.977』(2019年1月)
卜部昌則(ユニオンらくだ・非常勤嘱託職員部会)
2017年5月の地方公務員法の改定で、公務の最前線で働いている地方自治体の特別職非常勤嘱託職員(全国で22万人以上)が、2020年4月から、一般職会計年度任用職員に任用変更になります。
これについて、政府・マスメディアは、制度が整備され、公務非正規にも期末手当や退職手当の支給が可能になり労働条件が改善される、としています。しかし、決してそうではありません。
何故かといいますと、その目的が、労働基本権を武器にして闘っている私たちのような単独労組や混合労組、地域合同労組を、公務職場から一掃することにあると考えるからです。
特別職非常勤は、正規の常勤職員なら当然のように保持している身分保障や人事委員会(公平委員会)への不服申立ての制度から排除されています。
ゆえに、労働基本権の保持を確認した上で、団体交渉を行い、労働委員会に申立てを行い、ストライキも行いながら、雇用を守り、長い時間を費やして、漸進的に労働条件の改善を勝ち取ってきました。
しかし、特別職非常勤から一般職会計年度任用職員に任用変更されることによって、労働基本権がはく奪され、公務員としての身分保障も不充分なものになってしまいます。
そして、結果として、法改定は、無権利状態のドレイのような職員を公務職場に生みだすことにつながります。このようなことが21世紀の今の時代にあってはなりません。
これに対しては、多種多様な行動が行われています。
たとえば一例として、「連帯労働者組合・杉並」、「連帯労働者組合・板橋区パート」、「あぱけん神戸」と私たちの4団体は、労働基本権はく奪に対して、国際機関からの政府への勧告に希望を見出して、ILO提訴に踏み切っています。
このような、全国各地の取り組みや職場での闘いを通じて、公務で労働基本権を駆使した労働組合運動を、カまず、あせらず、あきらめず、継続していくことが重要だと考えます。
さて公務は、本来、基幹的で恒常的で本格的なものであり、正規の常勤職員が担うべきものです。
しかし、1980年の臨調・行革以降に顕著な傾向ですが、政府が人員の削減を求める一方、業務量が増加し、市民の様々な二ーズに応えるために職種が多様化し、専門的な知識が要求されることから、常勤職員のみでは業務を担いきれなくなりました。
この問題の解決策として、劣悪な労働条件の特別職非常勤を脱法的に代替させ、あるいは外部化・民間委託化を進めました。これが、「官製ワーキングプア」の激増と社会問題化の原因です。
さらに危惧することは、2020年4月以降、公務職場に、〈正規の常勤職員-非正規の会計年度任用職員…非正規の臨時的任用職員-民間委託・派遣労働者〉という差別と身分制が、なおいっそう固定化されてしまうことです。
ぜひ今後とも、公務非正規の運動にご注目をいただくようお願いします。
『労働情報 No.977』(2019年1月)
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