徒然なるまゝによしなしごとを書きつくる

旧タイトル めざせ、ブータン

数学的な宇宙 続き

2017年08月30日 | 物理

やっと読み終えた。と言っても、後半の主題である”宇宙の数学的構造=宇宙の本質は数学”だという著者の主張は哲学的過ぎて私には中々ついていけない内容でした。

しかし最終章あたりで再び物理らしいテーマにもどり宇宙の未来、終末の話や人類の直面する危機、つまり核戦争や気象変動、小惑星、ガンマバースト、大噴火など人類を絶滅させるかもしれない可能性と対処に関する議論は大いに頷くものがあった。

そして最後の話がSETI(地球外知的生命)に関するはなしです。結論から言うと著者と私の認識は完全に一致していて人類以外にこの宇宙には知的生命は存在しないというものです。その根拠は45億年の地球の歴史の上にその痕跡が残ってない、という事実に基づいています。これを読んでる皆さんには、これについていろいろの反論はあるでしょう。MITの教授である著者が学生にこれを問うと、100%の学生が居ると答えるそうです。しかし、正解は居ないですw

もし我々がこの宇宙で唯一の自意識を持つ知性体だとすると、我々がいるから宇宙は意味があることになる。わかりますか? 我々が居ない宇宙はすっからかんのガランドウみたいなもので意味がないのですよ。

ジュリアン・ジェインズによると、我々が意識を持ったのは、ほんの3000年前だという。自意識を持つことにより同時に悩みを持ことになる。それ以前の人間は犬や猫と同様に悩みなんてなかった。ただ、自分の右脳が発する”神の声”に従って行動していた。しかし知恵の実を食べたアダムとイブは突然自分が裸であることに気づき神の声が聞こえなくなり悩み無き園から追放された。この失楽園の物語はヒトが意識を持つことで起こった副作用に関する記述なのです。そして、紀元前5世紀ごろ一斉にユダヤ教、仏教、ゾロアスター教等の世界宗教が花開く。仏陀は煩悩を捨てよと言ったし、キリストは汝、思い煩うことなかれと言った。意識の負の側面を解消する言葉だね。

実は、意識を持つ宇宙で唯一の存在である我々は一人一人が宇宙の孤児であると同時に”神”なのです。宇宙の全生命の存在価値のカギを握っている神なのです。何のために人は生きるのか、なんて神なんだから悩む必要なんてない。存在そのものに意味がある。でも、その存在は先にリストアップしたように極めて脆弱で危機的状態に直面している。この宇宙に生まれた意識を維持するために出来ることをやろう、というのが著者の最後のメッセージです。

 


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