今回は酒井治が30代の時に家族の日常の一場面を木版画にした作品と詩を紹介します。
遺作展では詩を4編しか展示していませんでしたが、数回に分けて紹介していきたいと思います。
「はい はい」
懸命に前へ進もうとしている 小さな手と小さな足で 前へ前へと 今にもつぶれそうなその体で 思い通りに動けたときの そのひとみは輝いている 前に障害物が ある時のひとみは輝いている そこから前へは進もうとしない それは、あたかも神が 人間にあたえた第一番目の 知恵のように思われる
「発見」
子供の目は偉大だ 何かをいつも発見している 大人達が考えつかないような事を 子供たちは見つけている それをかたっている 子供の目は生き生きしている 発見とは そんな小さな所から 始まるものではなかろうか