今、岩国市にある「シンフォニア岩国」で「岩国絵画クラブ」展を開催しています。
約80点の作品が会場に並べられ、日頃の会員の皆さんの絵画に対する真摯な努力が会場を覆いつくしています。
毎年、「能の世界」を描いているこの方は、堂々とした演技者の姿勢に魅せられ、正面から描いている作品が多いように思えます。
「能面」で隠された表情の世界を、私たちはイメージでとらえるしかありません。
しかし、「きらびやかないでたち」とは裏腹に、能面の下では演技者のたゆまない「演技のみがき」に対しての視点に、この方のねらいがあるのではないかと想像します。
一つ一つを丁寧に描写しているその姿は、どこか「能の世界」へ通じるところがあるように思えてなりません。
丁寧に描かれている作品だけに、こちらに伝わる迫力が大きなものとなっているように思えます。
この方はいつも「廃船」を描く方ですが、今年は視点を変え「置き去りにされた自転車」を描いています。
「廃船」にしても、この「捨てられた自転車」にしても、作者の目は「滅び行くもの」への視点になっています。
そうしたものを表現しながら「見る人」に「どのように感じるか」、疑問符を投げかけているような感じがします。
かなり「哲学」めいた題材を好んで描かれるこの方は、常に「時間とともに朽ちていくもの」を我々に「メッセージ」として投げかけているように思えてなリません。
以前描かれた作品がこの「廃船」で、同じようなテーマを追求しているように見えますが、そこに微妙な「心の変化」があるようにも見えます。
とても華やかな作品になっているこの方も、以前は「朽ちた時計」のようなものを描いていましたが、最近ではこうした「明るい世界」を描くようになりました。
何かの「きっかけ」があり、それから「画風」がからりと変わることはよくあることで、その「心境の変化」がとても顕著にでている作品になっています。
「外国」に行った思い出でしょうか、そこにはとても「開放的な雰囲気」が出ていて、我々が持つ「憧れの世界」がとてもよく出ているように思えます。
私は、この作品がとても気になりその理由を考えましたが、私なりに気づいたことは「平和な日常」という感覚です。
どこにでもある景観ですが、そのなかに漂う空気のようなものが、とてもあたたかく平和的に見えるのはどうしてでしょうか。
何気ない「日常の生活」の中のひとコマが、とても「幸せ」を含んでいて、この方の精神的な落ち着きを感じざるを得ません。
船の上で作業しているところも「日常の姿」であり、そこには特別なものは決して見れません。
しかし、「心」がとても落ち着いてくるのは、逆にそうした「無駄な力」を抜いて描いているからかも知れません。
絵を見ていると、その作者の視点が自分なりにイメージでき、とても楽しいものになります。
この展覧会は5日(日)まで行われています。
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