ゼイディー・スミス「直筆商の哀しみ」
原題は「Autographman」。有名人の直筆サインやゆかりの品を収集、売買することを生業とする人のことで、主人公アレックスはこれで生計をたてています。
物語はアレックスの子供時代、父親に連れられて友人たちとプロレスを観に行ったロイヤル・アルバートホールから始まります。このホールでプロレスをやっていたなんて・・・驚き!。まあ、大相撲のロンドン場所もここですから、同じようなもんですか・・・。
時代が十数年下り現在のアレックスっていうと・・・、酒とドラッグと女にだらしない毎日、ラリってる最中に自分の車を破壊するは、ガールフレンドに怪我を負わせるはとはちゃめちゃです。ここいらあたりから急にお話は難解に・・・。このアレックスっていうのが、中国系のユダヤ人なんですね。で、友人には黒人系ユダヤ教徒がいたりして・・・。民族としてのユダヤと信仰としてのユダヤの知識がない分、交わされている会話にちょっと置いてきぼりになりそうです。構わず読み進めましょう!後半、舞台はニューヨークに。往年のハリウッド女優をめぐる展開が突然スリリングに始まります。それを導くのは「禅」の思想・・・・。うん、これなら共感できます。理解も早い!
「ユダヤ的」と「非ユダヤ的」、「実存」と「シンボル」という軸の対比で語られる物語なのですが、とにかく笑ってしまったのがニューヨークでアレックスを待ち受けていたある女性の存在です。この女性の設定が、なんとある著名なイギリス人俳優とスキャンダルを起こした売春婦ということになっているんですね。つまり「ブリジット・ジョーンズの日記」でも書かれていた、ヒュー・グラント(実存)の「●●●」(シンボル)を咥えてヒューもろとも現行犯逮捕された女性なんです。もちろんヒューの実名は出てこずスコットランドの俳優ってぼやかされてますけど、誰が読んでもあの事件そのままです。この女性が、やっている商売にも係わらずものすごい「潔癖症」っていうのも笑えます。
ロンドンに戻ったアレックスを待つのは死んだ父親の法事(ユダヤ教の)。自分の居場所に懐疑的なアレックスは無事にこの儀式を迎えることができるのでしょうか。
全体の半分以上が泥酔したり薬やったりしている状態ですので、読み手はちゃんと正座して読みましょう。ワイン片手に読んだりすると迷宮にはまっちゃいますよ。
ゼイディー・スミスは75年ロンドン生まれ 母がジャマイカ人、父がイギリス人
原題は「Autographman」。有名人の直筆サインやゆかりの品を収集、売買することを生業とする人のことで、主人公アレックスはこれで生計をたてています。
物語はアレックスの子供時代、父親に連れられて友人たちとプロレスを観に行ったロイヤル・アルバートホールから始まります。このホールでプロレスをやっていたなんて・・・驚き!。まあ、大相撲のロンドン場所もここですから、同じようなもんですか・・・。
時代が十数年下り現在のアレックスっていうと・・・、酒とドラッグと女にだらしない毎日、ラリってる最中に自分の車を破壊するは、ガールフレンドに怪我を負わせるはとはちゃめちゃです。ここいらあたりから急にお話は難解に・・・。このアレックスっていうのが、中国系のユダヤ人なんですね。で、友人には黒人系ユダヤ教徒がいたりして・・・。民族としてのユダヤと信仰としてのユダヤの知識がない分、交わされている会話にちょっと置いてきぼりになりそうです。構わず読み進めましょう!後半、舞台はニューヨークに。往年のハリウッド女優をめぐる展開が突然スリリングに始まります。それを導くのは「禅」の思想・・・・。うん、これなら共感できます。理解も早い!
「ユダヤ的」と「非ユダヤ的」、「実存」と「シンボル」という軸の対比で語られる物語なのですが、とにかく笑ってしまったのがニューヨークでアレックスを待ち受けていたある女性の存在です。この女性の設定が、なんとある著名なイギリス人俳優とスキャンダルを起こした売春婦ということになっているんですね。つまり「ブリジット・ジョーンズの日記」でも書かれていた、ヒュー・グラント(実存)の「●●●」(シンボル)を咥えてヒューもろとも現行犯逮捕された女性なんです。もちろんヒューの実名は出てこずスコットランドの俳優ってぼやかされてますけど、誰が読んでもあの事件そのままです。この女性が、やっている商売にも係わらずものすごい「潔癖症」っていうのも笑えます。
ロンドンに戻ったアレックスを待つのは死んだ父親の法事(ユダヤ教の)。自分の居場所に懐疑的なアレックスは無事にこの儀式を迎えることができるのでしょうか。
全体の半分以上が泥酔したり薬やったりしている状態ですので、読み手はちゃんと正座して読みましょう。ワイン片手に読んだりすると迷宮にはまっちゃいますよ。
ゼイディー・スミスは75年ロンドン生まれ 母がジャマイカ人、父がイギリス人