英国的読書生活

イギリスつながりの本を紹介していきます

本屋賛歌

2008-06-10 | 日常


本を選ぶ時、何を基準に選んでいますか?当然、好きなジャンル、作家、そして書評などによる評判も当然重要な決め手なのですが、私の場合意外と現物との出会いだったりします。つまり、本屋の書棚で向き合った時、手に取った時の第一印象がけっこう大事なのです。ほとんどの書籍は背表紙しか見えませんから、まずはタイトル、そしてその書体と色ですね。目立てば良いというものではありません。手に取って見て、全体の装丁の具合が一番気になるところ。表紙から見返し中扉あたりの構成を確認したら、カバーがあれば、めくって見て、素肌の状態を見ちゃいます。(けっこうここに秘密があったりするので・・・) 内面の文字組み状態、書体の見やすさ、手触り(今は活字を使っての印刷が無くなってしまいましたが、一昔前は意図的に印圧を掛けて凸凹感を出したものも・・)、紙質(手触りのいい紙で、かつ印刷映えのいい紙はそれなりに高価になりますが・・)、重さ(これけっこう自分的に重要です。書かれている内容とバランスの取れた重さ・・・って)、しおりは付いているのかいないのか、上製本だと「はなぎれ」の色は何色か(じみーな学術書系でここだけ派手な粋な本も・・・)なんて、もちろん最後の奥付も必ずチェック。初版年、改版年、印刷会社、製本会社・・・。
こういうことをじっくり時間をかけてやっていると、かなり変態な書籍フェチに思われちゃいますので、ささっと何気にやっています。なので、私にとってネット書店というのは、優先度がどうしても低くなってしまいます。買うものが確実に決まっていればとっても便利だと思いますが、なんか写真だけのお見合いで結婚相手を決めているような・・・(大袈裟ですね)。でも、これ以上リアルな書店が減少し、ネット書店が全盛となると、確実に出版社は装丁に金をかけなくなるでしょうね。装丁という商売もなりたたなくなるかも。一見すると見映えはいいけれど薄っぺらい書籍だらけになると哀しいです。そうならないためにも、リアルな本屋さんには頑張っていただきたいし、応援したいと思います。
でも、本屋を取り巻く環境は前にも書いたように厳しいのでしょうね。残っていく大型書店もどこも同じ品揃えと陳列だし・・・・、個性的な本屋はもう生まれないのかい。

「パリの本屋さん」

パリの個性的な本屋さんをたくさん紹介してくれるこの本。めくっていると何ともうらやましくなります。好きな本を、好きな人に、好きなように並べて売る。オーナーのビジョンがお店そのものに反映されて、什器一つとっても素敵です。日本でも児童書や古書店では、それなりのお店があったりしますが、新刊書を扱う本屋ではお目にかかりませんね。でも実際はパリも大変みたい。チョット前にBSでやっていましたが、パリの古書店が地価の高騰や若者の活字離れで閉店に追い込まれるケースが多々出ているとか。その番組では、村起こしもかねて寂れた村に古書店を誘致し、定期的な古書市を開催している女性が紹介されていました。今ではカリグラフィー作家や製本業者のアトリエもでき、フランス中から古書市に人が集まるようになったとか。文化を大切に守り、なおかつ商売にきちんと結びつけるパリの人はさすがですね。