ジェーン・オースティン「エマ」
自分の生活にもっとオースティンを取り入れよう!と勇んで臨んだのですが・・・、正直、読み始め、私のテンションは低めでした。美人で、賢く、お金持ちで、家柄も申し分のないエマ。この彼女が高慢チキに周りの空気読めずに、男女の仲を取り持とうとして、すべりまくるという展開。しかも長閑な田園風景の中、半径数キロ以内での変化のない単調な毎日ですから、いささか心配となってきます。でも、なかなか好きになれないエマにしばらく嫌々付き合っていくと・・・もっとイラつく人物や、吹き出す人物が次から次にと出てくるもんだから、だんだんとエマが可愛く思えてきたりします。いつも風邪を引くのではないかと心配し、ちょっとした物事の変化にも尻込みするエマのお父さん、ミスター・ウッドハウス。そして、いつも止まることを知らず話し続けるミス・ベイツには大笑い。彼女のお喋りが何ページも続く部分では、オースティンが読者を「笑わそう!」という意図が大いに感じられますね。極めつけは、某夫人の「バルーシュ型ランドー馬車」の連呼かな。
物語自体は、ジェーン・フェアファックスが登場するあたりから俄然ミステリアスな展開となってきます。贈られたピアノは誰からのものなのか?最後に結ばれるのは誰と誰なのか?「男女8人夏物語」ってノリですが、終わってみれば収まるべきところにそれぞれが・・・ですか。
あれだけ読み初めに好きになれなかった「エマ」ですが、最後は「会いたい!」と強く思ってしまうのでした。