スティーヴンスン「新アラビア夜話」
19世紀後半のロンドンとパリを舞台としたアラビアンナイト風都市奇談。
物語は大きく2つ。現代の自殺サイトにも似ている会員制「自殺クラブ」。そして人間の欲望の交錯を描いた「ラージャのダイヤモンド」。ボヘミアのフロリゼル王子と従者ジェラルディーン大佐の御忍びコンビが遭遇する冒険物語です。フロリゼル王子の身分を隠しての正義感溢れる堂々とした活躍は、水戸黄門さまか遠山の金さんってところか。面白い設定なのでもっとエピソードを増やすとよかったと思うのですが、スティーヴンソン自身あまり気に入っていなかったのでしょうかね。
革命に追われ、ロンドンで煙草屋の亭主となった王子のその後も知りたいものです。
本家アラビアンナイトと決定的に違うのが、「艶」が一切無いこと・・・。もっとエキゾチックな妖しさを取り入れてもよかっとのでは感じました。
レスタースクエアに隣接するオイスターバーが物語の始まりですが、今のレスタースクエアはファーストフード店やピザ屋ばかりで風情に欠けますね。