ケン・フォレット「大聖堂―果てしなき世界」
「読んだぞ!」というのが率直な言葉。
前作「大聖堂」から18年の時を経ての続編です。物語の時代はだいぶ下って14世紀に。羊毛市で賑わうキングスブリッジの大聖堂は所々傷みが目立ち始め・・・・。
教会と世俗、修道院と女子修道院、親方と弟子、兄と弟、姉と弟、夫と嫁、男と女、男と男、領主と領民、農民と労働者、イギリスとフランス・・・・。あらゆる対立軸で構成される物語は仕掛けがいっぱい。冒頭すぐに埋められる?タイムカプセルの行く末も心配ですが、これでもかと続く陰謀、野心、裏切り、憎しみ、事件、事故に、少々たじたじとなりながらも、やはりページをめくってしまうのです。全体を貫く大きなテーマは「自立する女性」。男性の所有物とならない「結婚」なんて、はたして実現できるのでしょうか。
14世紀のイングランドの王様はエドワード3世。フランスとの100年戦争が有名です。1346年のクレシーの戦いでは、イングランド軍のロングボウ部隊を逆V字型に据えた陣容が、統制の取れていないフランス軍の重騎兵隊を壊滅させたのでした。このエピソードももちろん登場。
そして、ひたひたと押し寄せるあの「疫病」。あらゆる階級の人間に平等に起こる悲劇が国中を何度も襲います。
3巻あわせて約2000ページのボリューム。若干の中だるみもありますが、下巻を読むときは会社の来客用会議室に1日立て籠もっての読了でした。(みんな、ご免!)
肝心のタイムカプセル・・ですが、ちょっと開ける時期が遅かったかな?まあ、歴史を変えるわけにはいきませんから、仕方が無いことか・・・。
ちなみに前作を読んでなくともまったく問題ございません。
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