~聴覚障害6級~

話せる。歌える。
聞こえているけど聞き取りにくい。
感音性難聴者が適当に呟きます。

舞台の台本の貸し出し

2014年06月11日 | 字幕
2年くらい前。

言葉が聞き取りにくい人が舞台観劇の際、
台本を貸し出しして下さる劇団が存在することを知りました。

開演前に1時間ほどの貸し出しや、1週間ほどの貸し出し、
また、劇団によっては、台本をいただけることもあったりするそうです。


私が観劇する舞台は、ジャニーズ事務所が主催の所謂、ジャニーズ舞台が主で、
外部舞台(主催がジャニーズではない)だとしても、ジャニーズのタレントが出演している作品です。


以前、ジャニーズ事務所に、台本貸し出しの提案・要望をメールで出してみたことがあります。

「貴重なご意見をありがとうございました。これからも応援よろしくお願いします」的な回答のみでした。

その回答は想定内です。

ジャニーズ事務所は、一部、バリアフリー(車椅子・歌詞字幕など)を導入しているけれど、
台本を貸し出すとなると、著作権問題もあるだろうし、悪用、売買も絡む場合があるので、
実現はまず不可能だと思うからです。

叶う叶わない云々ではなく、
提案や要望を伝えておくことも大切かなと思うのです。

苦情ではなく、あくまでも建設的な意見での提案です。


20年前に、私の知り合いが、コンサートで車椅子席を設置して欲しいと事務所に要望を出したら、
すぐ次のコンサートで実現し、今に至っているし、
スクリーンに歌詞字幕が何曲か流れた時に、私は事務所に感謝の言葉を送ったのですが、
次からは、ジャニーズのどのグループのコンサートも、全曲、スクリーンに歌詞字幕が流れるようになり、
現在に至っています。

先日発売された嵐のコンサートのDVDは、歌詞だけでなく、
MC(トーク)にも全て字幕を導入して下さってるようで、
聴覚障害を持つファンの方々は、大変、喜んでいらっしゃいます。

メンバーが「24時間テレビ」の仕事をして、
沢山の方に楽しんでもらえる方法を、と言うことで、
コンサートDVDに字幕導入を希望したとのことです。


話しは戻って。

この春、私の好きなジャニーズのタレントが、舞台の主演に抜擢されました。

ジャニーズ舞台のような歌とダンスの豪華で派手派手な世界ではなく、
ほぼ台詞のみでの本格的なお芝居(ストレートプレイ)です。

ジャニーズのタレントが出演しますから、台本の貸し出しは難しいかもしれないけれど、
駄目元で、劇場公式サイトの問い合わせフォームから、台本貸し出しの要望を送りました。

回答は少し時間がかかったのですが、どうやら舞台関係各所に掛け合って下さったようで、
1公演のみ、開演までの1時間半、台本を貸し出しして下さるとの回答がありました。


私が送信した要望は、こんな感じです。

問合わせ内容

数年前に「シアターコクーン」にて字幕対応の舞台を上演したことがあるそうですが、
今後、字幕対応で舞台を上演する予定はありますか?
シアターコクーン5月公演「殺風景」を観劇したいと思っているのですが、
通常の舞台は難聴のため補聴器をしていても台詞が1~2割程度しか聞き取れず、内容が理解できません。
障害があっても作品を楽しみたいのは健聴者と一緒なので、
例えば、1公演だけコクーン席にて字幕対応ありなどの企画ができたら嬉しく思います。

また聞き取りにくい人のために台本貸し出しがある舞台もあるそうですが、そのような対応はありますか?
聴覚障害手帳(私は6級を所持しています)掲示でそのような対応があると嬉しいです。
どちらも無理なお願いなのはわかっております。
私のような言葉が聞き取りにくい人たちは、舞台観劇を楽しむことを諦めるしかないのですが、
歌舞伎座にGマーク導入により、字幕対応で生公演を楽しむ劇場も増えて参りました。
どんな人達も楽しめる空間であると嬉しいですね。



これに対して、Bunkamuraからの返信が何通か届きました。

○○○○○様

平素よりBunkamuraをご愛顧賜り誠にありがとうございます。
お問合わせをいただきましたシアターコクーンの字幕対応につきまして下記の通りご返答申し上げます。

この度は貴重なご意見を頂き、誠にありがとうございます。
字幕設営に関しては、今後の課題として全社で検討をさせて頂きたく考えています。
現在、「殺風景」の戯曲の事前お貸出しが可能かどうか関係各所に確認をとっております。
可能な限り、ご対応をさせて頂きたく考えております、少々お待ちください。
改めてご連絡をさせて頂きます。

ご連絡が遅くなり申し訳ございません。
今後ともBunkamuraをご愛顧のほどどうぞよろしくお願い申し上げます。



○○○○○様

平素よりBunkamuraをご愛顧賜り誠にありがとうございます。
先日、お問合わせをいただきましたシアターコクーンの字幕対応につきまして
下記の通りご返答申し上げます。

「殺風景」チケットをご購入後、ご観劇日時、お席番を事前にお知らせください。

ご観劇回の【開場】1時間前にBunkamuraインフォメーションにいらして頂き、
コクーン「殺風景」公演担当者をお呼び出しください。
聴覚障害手帳をご提示頂き、台本をお貸し出しします。
来場時(開演前)にコクーンロビーにて担当者にご返却ください。

1時間強という短時間のお貸出しとなってしまいますが、
著作権物の取扱ということでご理解を頂けると幸いです。

なお、公演によって台本貸出の対応は異なりますので予めご了承願います。

今後ともBunkamuraをご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。



○○○○○様

平素よりBunkamuraをご愛顧賜り誠にありがとうございます。
先日、お問合わせをいただきましたシアターコクーンの字幕対応につきまして
再度ご連絡をさせていただきます。

ご返信ありがとうございます。

公演日時と席番をご連絡いただける際に、今回お送りする本メールへの返信ではなく、
下記のURLから再度ご連絡を頂けますでしょうか。
(中略)
こちらの「公演&企画内容について」に必要事項をご記入頂き、
お手数ですが公演日時と席番のご連絡をお願いいたします。
お返事には日数を頂く場合がございますのでお早目のご連絡をお願いいたします。
なお、台本の貸し出しは1回に限らせて頂きます。
何卒ご理解ご協力のほどどうぞよろしくお願いいたします。
それでは○○○様のご来館を心よりお待ち申し上げております。

今後ともBunkamuraをご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。




○○○○○様

平素よりBunkamuraをご愛顧賜り誠にありがとうございます。
お問合わせをいただきました「殺風景」台本貸出の件につきまして下記の通りご返答申し上げます。

5/○(○)○○:00の回ご観劇、承知いたしました。
当日、開場(○○:30)の1時間前からお貸出しできるよう準備いたします。
○○:30~○○:00の間にBunkamura正面入口のインフォメーションカウンターで
コクーン「殺風景」担当者をお呼び出しください。
インフォメーションのスタッフにもその旨伝えておきます。
担当者が伺い、手帳を拝見したのち、台本を1部お貸出しします。
カバーが掛けられていますので、そのままお読みください。
ご来場の際に、劇場ロビーに入って左手のカウンターで、制服を着た
案内係のものに台本をご返却くださいませ。

著作権物となります為、コピー、撮影など堅くお断りいたします。
また、手帳を拝見しての特例のご対応となりますので、
その旨、ご理解をいただきたくお願い申し上げます。
○○○様のご来場を心よりお待ちしております。





このような経緯で、台本をお借りする当日を迎えました。

約束の時刻ぴったりに、
Bunkamuraの入り口を入ったところにあるインフォメーション(受付嬢)に、
「今日、舞台「殺風景」の台本をお借りすることになっています、○○○と申します」と申し出ると、
きちんと連絡が伝わっていたようで、すぐに内線電話で舞台のスタッフに連絡を入れてくれました。

2~3分で、舞台の女性スタッフさんが、カバーがついている台本を持って来て下さり、
貸し出し完了。

Bunkamuraは、ゆったりしたスペースが多いので、
ある場所の椅子に座って、約1時間半で、台本を読み切りました。

そして、会場に入場してすぐの左手のところに立っている、
制服を着たシアターコクーンの女性スタッフさんに、台本をお返ししました。

こちらのスタッフさんにも、きちんと事情が伝わっていたようで、
全てかスムーズにできました。

台本をお返しの際、貸し出しにおいて掛け合って下さったスタッフさん宛てに、
お礼と感謝の言葉を書いたポストカードを添えておきました。

シアターコクーンの対応も素晴らしかったので、後日、
お礼と感謝の言葉を、Bunkamura公式サイトの問い合わせフォームより送信しました。


この要望は、舞台が決まってすぐの2月頃、送信したのですが、
その意見の影響があったのはわかりませんが、
5月の舞台上演中に発売されたある演劇誌に、この舞台の台本全文が掲載されました。

勿論、購入。

ジャニーズのタレントが出演している作品なので、
台本を掲載してくれると言うのも、なかなかないことだと思うのです。

台詞が方言なので、健聴者でも聞き取りにくいところもあったからかもですが。

何度も何度も読んだので、観劇の際、全て聞き取れてるようにも感じてました。

健聴者は、何度も観劇すれば、耳から入るものだけで全台詞を憶えてしまうと思うのですが、
私は耳から入るものだけでは全台詞を覚えることは無理なので、
台本が掲載されている演劇誌は宝物です。

活字からの方が記憶しやすいからかもしれません。


本物の台本は、サイズも厚さも、文字の大きさも、
演劇誌に掲載されているものより、全て大き目でした。



これからも、自分にできる範囲で、趣味を楽しみたいです。

そのために、沢山の方に助けていただいたり、ご配慮いただくこともあるかと思います。

その時その時で、感謝の気持ちを忘れずにいたいです。


私のように言葉が聞き取りにくい難聴者は、
気持ちゆっくり話していただけると、格段に聞き取りやすくなります。

どうしても聞き取れない時もあるので、聞き返すことも多いですが、
決して「人の話しを聞いていない」のではなく、
どれほど一生懸命、耳をすまして聞いても、聞き取れないこともあるのです。

外見では障害がわからないし、普通に聞こえて話せるので誤解も多い障害です。

「聞き取りにくいんです」と申告すると、「聞こえてるじゃん」的な軽い感じで、
たまに言われることがあります。

だから。

聞こえますってば。

聞こえても、言葉として聞き取りにくい。

佐村なんとか氏の言っていた通り、言葉が歪んで聞こえる感じです。

水中にもぐったまま、外の会話を聞き取ってる感じを想像していただけるとわかるかな。

そういう障害があると言うことが、少しずつでも理解が広がると嬉しいです。



シアターコクーンへのお礼は、こんな感じで送信しました。

お問合せ内容

ちょうど1ヶ月ほど前、シアターコクーンで上演されました舞台「殺風景」の戯曲(台本)をお借りした者です。
舞台関係者に掛け合って下さり、本当にありがとうございました。
私の要望に対する何度かの返信メールも、当日の対応に対する綿密さも、
当日の各所の対応も、全てパーフェクトで、本当に素晴らしかったです。
インフォメーション・会場スタッフ・舞台スタッフの連携がきちんとできていることに感動しました。
お貸しいただいた台本は、約1時間半でちょうど読み終えることができました。
健聴者のようにはいきませんが、台本を読めたことで、
私のような者でもできる範囲でお芝居を楽しめる・お芝居の世界を感じることができました。
今回、素晴らしい対応をしていただけただけでも、感謝です。
ありがとうございました。
返信は不要です。
Bunkamuraの上の方の方にも、スタッフの素晴らしさが伝わりますように。





余談。


台本の中に、声の大きな刑事に対して、
「あの刑事は難聴なのか。難聴じゃなきゃ、あんな大きな声で話さない」的な台詞が記されていました。

が。

たぶん。

そのあたりの台詞はカットされていたように思います。

私の聴力なので定かではないのですが、ご配慮いただけたのかもしれません。



こちらのブログで、台本を貸し出しして下さる劇団などの情報を発信して下さってます。

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