マスミンのピアノの小部屋

ピアニスト兼ピアノ指導者松尾益民が、ピアノや教育、世の中の出来事など日々感じることを、徒然なるままに綴ります。

ドビュッシー:映像第2集

2016-03-10 22:53:45 | ラ・プロムナード・ミュジカル
明後日のプロムナード・コンサートで弾く、ドビュッシーの映像第2集ですが、ドビュッシーの印象派的なピアノ書法が確立された後の作品で、第1集より一段とその傾向が強まっているのかもしれません。
題名からしてそうですし…。
19世紀末のヨーロッパの芸術では、東洋的なものに対する関心が非常に深く、ドビュッシーのこの曲もご多分に漏れません。
作曲されたのは、1907年です。

第1曲「葉ずえを渡る鐘の音」
木々の葉がかすかに揺れ動く中、遠くから鐘の音が静かに響いてくる…そんな情景が思い浮かぶような音楽です。
ここの鐘は、西洋的な教会の鐘ではなく、東洋的なお寺の鐘…そんな気がします。
第2曲「そして月は廃寺に落ちる」
題名がフランス語で「et」つまり「and」から始まるなんて…です。
東洋、たぶん日本の廃れたお寺につきがかかり、やがて沈んでいく、そんな情景です。
廃寺の静寂と月を音で表現した素晴らしい曲と言えるでしょう。
前奏曲第1集にも「沈める寺」という似たような雰囲気の曲があります。
第3曲「金色の魚」
金色の魚でつい金魚と言ってしまいそうですが、魚は鯉のことです。
2匹の金色の鯉が跳ね回る様子を描いた、日本の漆絵にヒントを得て作られた曲です。
金色の鯉の躍動感を豊かな音色と音の動きによって表現されていて、目の前で鯉が泳いでる様が思い浮かぶようです。
…というような演奏をしたいと思ってますけど…。

静かな音の空間を表現するのはなかなか大変ですし、譜読み的にもややこしいしということで、この曲は敬遠していましたが、実は弾けば弾くだけ良さがわかってくる、そんな曲です。
ホントに印象派の絵画に通じる、輪郭のはっきりしない絵のような音楽です。
プロムナード・コンサートを始めた第1回には映像第1集を弾きましたが、あれから9年経ってやっと第2集に取り掛かれました。
というのでちょっと感慨深いものはあります。

お勧めCD
サンソン・フランソワのドビュッシー:ピアノ曲集第2集~映像、他
映像第1集を弾いてる頃から愛聴しています。
ジャック・ルヴィエのドビュッシー:ピアノ作品全集は、ドビュッシーの独奏曲が全曲入っていて、オーソドックスな演奏で参考になります。
因みに、ジャック・ルヴィエ氏は菊地裕介氏の先生です。
菊地裕介氏のImages Fransaisesも、クリアな演奏でいいですね。