ロダンとカミーユの愛と憎しみを描いたミュージカル。
ドロドロして、かなり、重たいです。
石丸さんも新妻聖子ちゃんも歌はものすごくうまいし、脇も演技派でガッチリ固めて、ビジュアル担当は伊礼君がいるし、安心して物語に浸れるのですが、話が暗い。
幸せな気分にはなれない。
劇場を出て、街のイルミネーションに癒やされるタイプの劇。
私は天才でも芸術家でも、芸術家の妻でも愛人でも母でもなくて幸せだわ、としみじみ思ったものでした。
一幕最後で右隣の女性が泣きだし、二幕最後の「GOLD」では左隣の女性が鼻をすすっていらっしゃいました。
さて、お二方、誰に感情移入されていたのでしょう?
たぶん、それぞれ思うことは別々だったのではないかと推察いたします。
私は、あまりに過激なカミーユにはまったく共感できませんでした。
カミーユはロダンのミューズ。
だけど、だからこそ、芸術と生活をきっちり「別」と考えているロダンの妻には絶対なれない。
妻になることに固執せず、ミューズであることに満足していたら、こんなに不幸じゃなかったのかな?
名誉欲のすさまじさも、幸せになれなかった理由の一つかな?
とにかく、ロダンもカミーユも自分が一番大切で、相手から奪うばかりで与えようとしない。
我が儘なこども。
疲れます。
伊礼君の「天国の園」は何かのコンサートで聴いたことがあり、綺麗な歌だと思っていたのですが、カミーユに信仰を勧める過激な歌だったのね。
びっくり!
カミーユが生きた時代は女性が芸術家とは認められない時代で、才能ある女性にはたまらない時代だったのでしょうけど、なんだかなあ、と思う普通のおばちゃんなのでした。