今日は、銀河劇場で、井上芳雄くんの舞台を観てきました。
「組曲虐殺」の再演です。
初演のキャストが再結集しているので、息もぴったり、完成度の高い舞台でした。
この作品は井上ひさしの遺作となった戯曲で、今年の生誕77フェスティバルのフィナーレを飾るもの。
客席には男性の姿も多く、年齢層もやや高めでした。
今回、私の席はA列センター、ほぼ、ど真ん中でした。
こんなすごい席は、もう二度とないかもしれません。
ありがとうございます。
すぐそこに、井上くんが、いいえ、多喜二がいました。
本当に多喜二が生きていました。
…すごかったです。
この舞台は見ている方もすごくつらくて、胸がズキズキ痛みます。
笑いもいっぱいあって、特に一幕めは、結構楽しいです。
でも、その笑いの中にはヒリヒリする悲しみが混じっています。
だから、演じる辛さも半端じゃないと思うのです。
今日のラスト、チマ姉ちゃんの高畑淳子さんも、瀧ちゃんの石原さとみさんも、みんな本当に泣いていました。
でも、毅然として、感傷に流されない、素晴らしいラストでした。
チマ姉ちゃんは、涙と一緒にツーと鼻水もたらしていました。
(最前列ですから)
多喜二はドタバタ捕物帖(この場面は秀逸です)の最後に、チャップリンのモノマネをしながら退場し、その死については、間接的に語られるだけです。
でも、直接的に描かれないからこそ、より一層胸に突き刺さってくるものがあるように思います。
この作品は本当に辛い。
しかも、貧困ブーム?だった三年前より、今の方がより時代性を感じます。
気に入らない新聞社に対し、高圧的に威嚇する政治家がもてはやされるのですから。
でも、絶望するな。
希望をもつには、確かに暗い時代ではあるけれど。
広島公演もあるようです。
ぜひ、見てください。