唐茄子はカボチャ

映画と音楽と・・・

もののけ姫

2011年05月25日 | アニメ
もののけ姫 [DVD]
クリエーター情報なし
ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント


<ストーリー>
中世の枠組みが崩れ始めた室町時代の日本。いまだ人を寄せ付けぬ太古の深い森の中には、人語を解する巨大な山犬や猪などの神獣たちが潜み、聖域を侵す人間たちを襲って、荒ぶる神々として恐れられていた。エミシの末裔のアシタカは、人間への怒りと憎しみによってタタリ神と化した猪神に呪いをかけられ、それを解くために訪れた西の国で、数奇な運命に巻き込まれていく。森を切り開いて、人のための豊かな土地を作り上げようとする、タタラ製鉄集団のエボシ御前は、鉄を打ちながら人間中心の社会を築き上げようとしていた。一方、犬神に育てられた少女サンは、“もののけ姫”と恐れられ、森を守るため神々とともにタタラ集団と戦っていた。双方とも「己が正義」と信じるこの争いに、さらに不老長寿の力があるというシシ神の首を狙う侍たちが絡み、三つ巴の戦いとなる。アシタカとサンは、惨劇の中で出会い、心を通い合わせる。しかし、森を巡る戦いは凄惨を極め、大混乱の中、シシ神の首が奪われてしまう…。
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映画館で見て以来です。
何年前になるのでしょうか。
これを一緒に観た友だちは、最初に「日本の景色じゃないよね」といってましたが、アシタカの設定は無国籍的な日本人とは違う、忘れ去られた民族という感じだし、それを出すために日本的な風景にしなかったのかもしれません。古代の民族のようでもあり、アイヌのようでもあり、遊牧民のようでもあり・・・
昔の日本の国って言ったって、今のように、すべてが国として把握されているわけでもなかったのだろうし、その頃の日本人が踏み入れられない未開の土地という隙間に生まれた民族ですね。日本の国家が成立していく過程で、そのような小さな民族が淘汰されていく様を表したいのかもしれませんが・・・

そして美佳命・・・じゃないって、未開の地、森の奥深くは、人間が立ち入ることのできない神聖な場所、恐れられた場所でもあったのでしょう。
人間の文明が発達するに伴い、その神秘性は失われ、人間によって、森が壊されていく、そんなお話でもありながら、でも、それでも、人間を否定するというお話ではありません。首が飛んだり、人やいのししがいっぱい死んだり、宮崎さんの話の中では珍しく殺伐とした映像もありますが、宮崎さんのその時の気持ちが殺伐としていたのかも知れませんね。「人間が嫌い」と思っていたのは、サンではなくて宮崎さん本人だったのかもしれません。

自分のイメージとしても、このころから、宮崎さんは今までの「いい映画」を作るというイメージから抜け出したかったような、そんな気もします。そして新しいものをつくろうとして限界を見ちゃったような・・・それか、何をつくってもヒットしちゃうのが気に入らなかったのかも。日本を舞台にしておきながら、完全な日本の話しにすることを避けている気もするし・・・。まあ、それでいいじゃんって言われれば別にいいんだけど・・・

自分はこの頃から、宮崎映画から離れていったんですよねえ・・・宮崎映画にたいして、ちょっと否定的な意見を言うことにかっこよさを感じるというか。そんな感じでひねくれ出したのは自分の方かもしれませんが・・・

何となく計算式的な結論というか、もっと複合的ないろんな要素って感じじゃないですよね。数式は複雑だけれど、キチンとすべてその数式で結論を出しちゃうみたいな。その数式を理解することはできるんだけど、心で理解することが何となくできないんですよね。そういう意味では、せりふも数式的です。宮崎映画のせりふは自然な感じじゃなくて、瞬間的に聞いてる方が恥ずかしくなるのが多いです。まあ、人によっての演出の仕方だから、自然なせりふをつくろうとして失敗したというよりは、その言葉がしっくり来るから使っているんだろうし、それは人の好みなんでしょうけど。

エンディングのところで、友だちと、「このあと、村に帰る映像ってなかったっけ?」って話をしました。なんか、そんな記憶というか、映像が頭に残っているんだけど、DVDには収録されていませんでした。
そう言えば、ラピュタでも、そんな都市伝説みたいなのありましたよね?でも、本当にそれがイメージとして残っているんだけど、やっぱり思い込みなのかな?人間って不思議だ。

人間の不思議といえば、あのエボシとかいう女の人、なんであそこまでダイダラボッチをしとめたかったのだろうか。いい人である面と、自然を壊す「悪い」面と両方ある、人間の象徴として描かれていたのか・・・お城(じゃないよね?)を攻められてるのに、あそこまでこだわるのは理解できない。もののけが獣になってしまったように、理性も消されてしまったのでしょうか。

もう一つの不思議は、何であの村の娘さんからもらったお守りをサンに渡しちゃったのか。あれは、村との決別を意味したのかわからないけど、映像以上に残酷な行為ですね。あの女の子がかわいそう・・・
あの女の子と一緒のほうが幸せに暮らせると思うけど、時として人間は安定よりも冒険を選んじゃうんですよね。そういえば、サンがアシタカをシシ神のところに担いで連れて行ったときに人間のにおいがついたとか何とかいってましたが、サンはやっぱり獣くさいんだろうな。獣くさいのはちょっと嫌だな。

未来少年コナンとナウシカ、そしてこのもののけ姫。それぞれ別な話しだけど、同じ気がしちゃうんだよなあ・・・