王権をめぐる陰謀に巻き込まれ、良家の令嬢から使用人の身分に
落とされた女性イニョプ(チョン・ユミ)の愛と闘いの物語。
15世紀初頭、高麗から朝鮮王朝へと変わって間もない第3代王、
太宗(テジョン)の治世。イニョプは王の重臣の娘として
何不自由なく暮らしていた。しかし、名家の御曹司ウンギとの
婚礼の日、イニョプは幸せの絶頂からどん底に突き落とされる。
何者かの陰謀により、イニョプの父は謀反を企てた高麗の残党の
濡れ衣(ぬれぎぬ)を着せられ処刑される。
そしてイニョプは逆賊の娘として使用人の身分に落とされることに。
突然、すべてを失い絶望するイニョプだが、彼女を支える
2人の男性がいた。一途に愛を貫こうとする元婚約者ウンギと、
近くで見守る寡黙な使用人ムミョン。
チョン・ユミの熱演が光る「イニョプの道」歴史解説
物語の時代設定は15世紀初頭。
良家の娘イニョプ(チョン・ユミ)は、名家の御曹司ウンギ
(キム・ドンウク)と婚礼の日に悲劇に見舞われる。
イニョプの父が陰謀に巻き込まれて逆賊として処刑されます。
しかも、イニョプは“逆賊の娘”として(最下層の身分)
という身分に落とされることに。
そんなイニョプを支えたのが、元婚約者のウンギであり、
同じ境遇のムミョン(オ・ジホ)だった。
この2人に助けられながら、イニョプはどうやって父の無実を
晴らしていくのか?それが本作の中心となるストーリーです。
やがてイニョプは亡父の無実を証明するために動き出しますが、
父の死の裏には高麗王朝再興をもくろむ危険な秘密組織の
存在を知ることに・・・
とにかく、厳しい運命を背負うことになったイニョプを
演じたチョン・ユミの熱演がとても光っています。
彼女の情念を感じさせる演技は、ドラマをしっかり引き締めて
多くの視聴者の胸に熱く迫ることでしょう。
なお、イニョプを助けるムミョンについての説明です。
韓国語で「ムミョン」とは「無名」を意味している。
つまり、「生まれたときから名前がない」ことを指している。
実は王の庶子だと知らずに奴隷として生活している
なんとも不遇な存在なのです。絶望の果てイニョプは自殺を
試みるがムミョンに助けられます。
はじめはムミョンに反発するイニョプでしたが、次第に彼に
惹かれていくイニョプです。
そして一命をとりとめたイニョプは父の汚名を晴らすために
生きようと決心します・・・
また朝鮮王朝の初期は人口の半分以上が奴隷だったと
言われています。
そんな人々が身分による差別に苦しみながらも力強く生きる
たくましい姿に深い感銘を受けるでしょう・・・
高麗王朝の王家の末路
ドラマのキーポイントをさぐると、それは、イニョプの父が
「高麗王朝の再興を狙って朝鮮王朝滅亡の謀叛を起こそうとした」
という濡れ衣を着せられることです。実際、『イニョプの道』には
高麗王朝の再興をもくろむ秘密組織が登場します。
こうした点を踏まえると、ドラマをより面白く見るためには、
高麗王朝と朝鮮王朝の関係を少しでも知っておく必要がある。
936年に朝鮮半島を統一した高麗王朝は長い歴史を歩んでいたが、
1388年に武将の李成桂(イ・ソンゲ)がクーデターを起こして
成功させる。これによって、高麗王朝は没落してしまう。
やがて李成桂は自ら王になることを決意し、1392年に高麗王朝を
滅ぼして朝鮮王朝を建国する。
『イニョプの道』は朝鮮王朝が誕生してから十数年後を描いており、
当時はまだ高麗王朝の復興をめざす残党が各地に残っていた。
史実のうえでも、朝鮮王朝は高麗王朝の王家一族を容赦なく
全滅させようとして必死だった。
建国当初には、「特別に島を用意しましたから、そこで安心して
暮らしてください」と呼びかけて高麗の王家一族を集め、島に
向かう船をあえて沈没させて乗っていた人たちを水死させるという
非道なことまで行なっている。
このように、高麗王朝の王家一族を目の敵にしたのが朝鮮王朝だった。
本来、高麗王朝の王家は「王(ワン)」という姓なのだが、自らの
出自を隠すために、「王」という姓を「全」、「田」などと変えている。
漢字を変えても、字画にすべて「王」が入っているところが
ミソなのである。
こうした歴史をふまえて『イニョプの道』を見れば、ドラマが
なお一層面白くなるでしょう。
(ワウコリア)
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