2022年8月のブログです
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野田知佑『ユーコン漂流』(2019・モンベルブックス)を読む。
東川の道の駅にあるモンベルに、いい本はないかな?と(いい服は?でないところがじーじらしい!)入ってみたところ、ペーパーバック版の本書を発見。
以前、文庫本で読んだことがあるが、そろそろ中身を忘れてきていたので(?)、購入。
値段も手頃で、なかなか格好いい本なので、袋は断わって、手に持った。
表紙のカヌーにのる野田さんとガクの写真がいい。
本書は野田さんと愛犬ガクが30年ほど前にアラスカのユーコン川を3年に分けてカヌーで下った記録。
カヌーによる川下りだけでなく、現地のインディアンやエスキモーとの交遊がとても楽しい。
現地の人々とうまく付き合えないでいる欧米人とは対照的に、野田さんの表裏のない態度での現地の人たちとの付き合いが面白い。
そして、アラスカといえば、クロクマ。
クロクマとの付き合い方も面白い。
野田さんは一応、ライフルを購入するが、結果的にはライフルは鈴の役目で終わる
クロクマの居そうなところにテントを張る時には、鈴の代わりにライフルを数回撃ち、人が居ることを知らせて、遭遇を回避する。
それでだいたいの危険は回避する。
一度、ガクが森の中でクロクマと闘い、野田さんのテントに逃げてくると、野田さんはライフルでクロクマを威嚇し、追い払う。
そして、ガクに、逃げる時には、あっちへ逃げろ、と怒ると、ガクが恐縮して小さくなった、という描写には思わず笑ってしまう。
また、食べ物がなくなって困っている時には、ガクがサケの頭を見つけてきて、それを野田さんと半分ずつ分けるなど、野田さんはガクとも対等の付き合いをする。
そういう野田さんの姿がすがすがしいのだと思う。
社会のゴタゴタで嫌になった時に、読むといい本だと思う。 (2022.8 記)