弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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市場原理と補助金と

2016年12月02日 08時17分31秒 | 実務関係(著作権・価値評価・周辺業務)
おはようございます!
澄み渡る青空が気持ち良い湘南地方です。

さて、今日はこんな記事。


WEDGE Infinity より引用
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「クールジャパン」×「地方創生」の驚くべき〝惨状〟
無線LANにTPP対策まで、地方で広がる「何でもあり」

予算が出ると思って猫も杓子も使うマジックワードが、地域活性化分野ではその時代時代に存在する。
製造、流通、販売まで農業を一貫する「六次産業化」、都市を小さく集約する「コンパクトシティ」など列挙すればキリがない。
近年は「クールジャパン」と「地方創生」もまさにこのマジックワードの部類に入るが、この合わせ技で予算を獲得する事例が出てきている。

世界が知るクールジャパンといえば「忍者」という話になり、2015年度における地方創生関連交付金で合計約1億7200万円の予算がついた。
さらに、この予算活用のために忍者にゆかりのある三重県・神奈川県・長野県・滋賀県・佐賀県、さらに伊賀市・甲賀市・上田市・嬉野市・小田原市などが発起人となり、日本忍者協議会まで設立された。
とはいえ、内容としては忍者を用いたイベント開催や忍者PR動画を入札して外注するという極めて古典的な手法となっている。結局は、代理店などへの外注頼みの「忍者」事業なのである。



従来から地域活性化は予算を獲得するための名目としてマジックワードを活用してきた。
そして、成果が出ても出なくても責任を求められない目標を掲げ、結局はバブル崩壊の煽りだの、リーマンショックの影響だのといったその時々のマクロ要因に責任を押しつけ、個別事業の責任はないといったような極めて適当な総括をして終わりにしてきた。
そのようないい加減な事業運用の成れの果ての姿が現在の地方である。

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(引用終わり)

民間が手を挙げないような不採算事業に補助金を幾ら突っ込んだところで採算が改善するわけもなく。
市場原理を反故にしてまで“地方の隠れた資源”をゴリ推ししても定着はしない。

雇用対策などと違い、地域へのテコ入れのための補助金に永続性を持たせること自体が矛盾。
一方で伸るか反るかなプロジェクトだと民間での資金調達も容易ではなく、
結果手を変え品を変えた補助事業を食いつなぐ、という負のスパイラルに陥る。
正直者がバカを見る仕組みになっている、ということなのか…。


そういえば今年、うちも小規模事業持続化補助金を申請しようかと一時期検討したことがある。
結果面倒くさくて(というか、その手間をかけるなら本業を普通に頑張ったほうが採算が良い、とか色々考えて)
やめたのだが。。。
一方で雇用関係のキャリアアップ補助金は、要件もハマるし事務所内の制度見直しの機会にもなるので申し込んだ。

なんというか、「複数年契約は選手をダメにする」といったのは野村克也だが、
「補助金は会社/地域をダメにする」ってのも当てはまるんじゃないかな、とまで思う。
要は、真剣味がなくなるのじゃないか、と。
もちろん、複数年でもしっかり活躍する選手もいればそうでない選手もいるように、
補助金をしっかり活用できる会社や地域もあるとは思うけれど、
モラルハザードはあるだろうなぁ。

全てが市場原理に基づいて考えるべきものとは思わないけど、
償還不要なお金を人様から受け取る以上、お金ではない別の形で社会に貢献する取り組みとしなければ間尺が合わないと思う。

コメント
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