弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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インドネシアだけではない…使用していない商標は取り消されてしまうことも。

2016年02月24日 07時54分05秒 | 実務関係(商・不)
おはようございます。
天気がどうとかいうよりもなんだか目と鼻がむずかゆい湘南地方です。
(…でも、これからお出かけしなければならず)

さて、今日は こんな記事

(lifenesiaより引用) ※元記事に直リンクとする修正を行いました。
インドネシア商標法の落とし穴、家具大手IKEAが現地商標を失う

インドネシアで「IKEA」と名乗れるのは、スウェーデン設立の世界最大家具販売店ではなく、
スラバヤに本拠地を構える籐家具会社。インドネシアの最高裁判所が、そんな判決を下していたことが明らかになった。

 
家具大手の「イケア」はインドネシアで2010年に商標登録をしていたが、
国内に店舗がオープンしたのは2014年後半。
インドネシアの商標法では3年間商標を使用していない場合は削除される可能性を明記しており、
この規定に該当する形となった。
(引用終わり)


この書き方だと、インドネシアが特殊な法制かのように誤解されてしまいそうですが、
日本もそうです。
というより、ほとんどの国で「不使用取消」の制度はあります。
国によって取消対象となる不使用の年数は異なり、例えばベトナムは「5年」ですが、
日本もインドネシアと同様「3年」です。

これは、「継続して」3年なので、例えば特定の商品名を一時的に使用しなくなったとしても
3年以内にリバイバルすれば取消の対象にはあたりません。

上記のIKEAの事案では、出店計画から実際の出店まで時間がかかってしまった、
というところがそもそもの問題の発端だったものと推察されますが、
極論すれば3年切れそうな時点で再度出願(先の出願はその後放棄)といった手法も
考えられたかもしれません。余計なコストはかかりますが、事業計画に支障をきたすより100倍マシです。

このように、先願主義法制を取る国であっても早く出していればよいということでは必ずしもなく、
“ちょうどよいタイミング” で出願する、ということが大事な場面もあります。
つまり、事業計画のタイムスケジュールと権利保護のタイムスケジュールはリンクさせる必要があります

もっとも上記の事案では、“悪意の商標取得”を主張して相手方の権利を消滅させる、
という選択肢もあるかとは思います…が、正直ウマくないです。
時間もお金もかかり結論は不透明。であれば商標の買い取りなり事業そのものの買い取りなり
を検討する方が現実的でしょう。




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